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リオハは新しい時代に入る。原産地統制呼称委員会が2017年に打ち出した変革が、2019年1月から導入される。最大の変化は単一畑の表示が認められる。村の名前とサブリージョンも表示できる。スパークリングワインの生産も許可された。各地のブドウをブレンドして造るシャンパーニュ的な生産モデルが続いてきた産地に、テロワールの概念が大胆に取り入れられた。
もっともこれには現状の追認という側面がある。テルモ・ロドリゲスやアルタディらは、早くから単一畑を押し出してきた。世界で2番めに大きなアペラシオンであるリオハでは長く、熟成年数によって格付けが定められてきた。両者ともそこに不満があった。アルタディのオーナー、ホアン・カルロス・ロペス・デ・ラ・カーレは2014ヴィンテージから、DOCaリオハを離脱し、テーブルワインに当たるヴィノ・デ・メサとして販売している。
リオハ・アラベサのラグアルディアに本拠を置くアルタディは1985年、13人の農民からなる協同組合としてスタートした。当初はカルボニック・マセラシオンによるデイリーワインを造っていたが、1991年にホアン・カルロスが建物とブランドを買収し、テロワールを表現するワインへの道を歩み始めた。今ではナバラ、アリカンテにもプロジェクトを展開する
セラーは超モダン。ドメーヌ・ルロワのように黒く塗った開放式発酵桶が整然と並び、熟成用セラーは定期的に湿度を補給する蒸気が吹き出る。刷新中のビジネスセンターも最先端を行っていた。一方の畑は伝統に回帰し、オーガニックで耕作している。
フラッグシップ「エル・ピソン」(Vina El Pison)は周囲を林に囲まれて少し孤立した2.8haの畑。馬で耕すようになって3年目になる。6月ともなると、午前11時でも立っているだけで気が遠くなる。暑くて、乾いている。黙々とクワを引く馬の根気強さと、操る人間の忍耐力に感心させられる。粘土まじりの石灰質土壌の質は軽そうではないが、馬が往復すると、土が湿り気を帯び、生き生きした感触が出る。
単一畑の「ラ・ポサ・ド・バレステロス」(La Poza de Ballesteros)と「バルデジネス」(Valdegines)は小川をはさんで、西向きと東向きに向き合う段丘の斜面に広がっていた。午後の強い日差しが当たる畑と、柔らかい朝日が当たる畑。粘土石灰岩に堆積土壌がまじっている。畑の向きからだけでも違いが想像できる。
試飲は4アイテム。
「アルタディ ヴィニャス・デ・ガイン ブランコ 2014」(Artadi Vinas de Gain Blanco 2014)はビウラのみ。一部をフレンチオークで発酵し、ステンレスタンクのオリの上で2年間の熟成。白い花、白桃、カリン、波のしぶき、際立った酸があり、生き生きしている。なめらかなテクスチャーで厚みがある。ペサック・レオニャンの上質な白を思い出させる。軽いフェノリックスとストラクチャーがあり、フィニッシュは強い塩気を帯びている。シリアスな白ワイン。90点。
「アルタディ ヴィニャス・デ・ガイン ティント 2016」(Artadi Vinas de Gain Tint 2016)は、ラグアルディアとエルヴィラールの標高の高い畑のテンプラニーリョ100%。フレンチオークで12か月間の熟成。紫の色調が強く、ブラックベリー、墨汁、ガリーグ、凝縮した果実に金属的なタッチ、タンニンはチリチリときめ細かい。単一畑ほどの複雑さはないが、クリーンで端正なアルタディのスタイルをきれいに表現している。お買い得。90点。
「アルタディ バルデジネス 2015」(Artadi Valdegines 2015)は野生酵母により、開放式桶で発酵。新樽と2年めの樽で10か月間の熟成。グリップがあり、タイトなストラクチャー、ピュアな果実は濃厚だが、柔らかさがあり、上品で、エレガント。ダークチェリー、タップナード、滋味深いパレット、伸びのあるフレッシュなフィニッシュ。92点。
「アルタディ ラ・ポサ・ド・バレステロス 2015」(Artadi La Poza de Ballesteros 2015)は力強く、豊満で、ブラックチェリー、リコリス、集中力があり、横に広がるヴォリューム感。アルコール度は14.5%に達するが、重さはない。統合されていて、ハーモニアス。フィニッシュは丸いが、タンニンがやや乾く。91点。
輸入元はBB&R。
もっともこれには現状の追認という側面がある。テルモ・ロドリゲスやアルタディらは、早くから単一畑を押し出してきた。世界で2番めに大きなアペラシオンであるリオハでは長く、熟成年数によって格付けが定められてきた。両者ともそこに不満があった。アルタディのオーナー、ホアン・カルロス・ロペス・デ・ラ・カーレは2014ヴィンテージから、DOCaリオハを離脱し、テーブルワインに当たるヴィノ・デ・メサとして販売している。
リオハ・アラベサのラグアルディアに本拠を置くアルタディは1985年、13人の農民からなる協同組合としてスタートした。当初はカルボニック・マセラシオンによるデイリーワインを造っていたが、1991年にホアン・カルロスが建物とブランドを買収し、テロワールを表現するワインへの道を歩み始めた。今ではナバラ、アリカンテにもプロジェクトを展開する
セラーは超モダン。ドメーヌ・ルロワのように黒く塗った開放式発酵桶が整然と並び、熟成用セラーは定期的に湿度を補給する蒸気が吹き出る。刷新中のビジネスセンターも最先端を行っていた。一方の畑は伝統に回帰し、オーガニックで耕作している。
フラッグシップ「エル・ピソン」(Vina El Pison)は周囲を林に囲まれて少し孤立した2.8haの畑。馬で耕すようになって3年目になる。6月ともなると、午前11時でも立っているだけで気が遠くなる。暑くて、乾いている。黙々とクワを引く馬の根気強さと、操る人間の忍耐力に感心させられる。粘土まじりの石灰質土壌の質は軽そうではないが、馬が往復すると、土が湿り気を帯び、生き生きした感触が出る。
単一畑の「ラ・ポサ・ド・バレステロス」(La Poza de Ballesteros)と「バルデジネス」(Valdegines)は小川をはさんで、西向きと東向きに向き合う段丘の斜面に広がっていた。午後の強い日差しが当たる畑と、柔らかい朝日が当たる畑。粘土石灰岩に堆積土壌がまじっている。畑の向きからだけでも違いが想像できる。
試飲は4アイテム。
「アルタディ ヴィニャス・デ・ガイン ブランコ 2014」(Artadi Vinas de Gain Blanco 2014)はビウラのみ。一部をフレンチオークで発酵し、ステンレスタンクのオリの上で2年間の熟成。白い花、白桃、カリン、波のしぶき、際立った酸があり、生き生きしている。なめらかなテクスチャーで厚みがある。ペサック・レオニャンの上質な白を思い出させる。軽いフェノリックスとストラクチャーがあり、フィニッシュは強い塩気を帯びている。シリアスな白ワイン。90点。
「アルタディ ヴィニャス・デ・ガイン ティント 2016」(Artadi Vinas de Gain Tint 2016)は、ラグアルディアとエルヴィラールの標高の高い畑のテンプラニーリョ100%。フレンチオークで12か月間の熟成。紫の色調が強く、ブラックベリー、墨汁、ガリーグ、凝縮した果実に金属的なタッチ、タンニンはチリチリときめ細かい。単一畑ほどの複雑さはないが、クリーンで端正なアルタディのスタイルをきれいに表現している。お買い得。90点。
「アルタディ バルデジネス 2015」(Artadi Valdegines 2015)は野生酵母により、開放式桶で発酵。新樽と2年めの樽で10か月間の熟成。グリップがあり、タイトなストラクチャー、ピュアな果実は濃厚だが、柔らかさがあり、上品で、エレガント。ダークチェリー、タップナード、滋味深いパレット、伸びのあるフレッシュなフィニッシュ。92点。
「アルタディ ラ・ポサ・ド・バレステロス 2015」(Artadi La Poza de Ballesteros 2015)は力強く、豊満で、ブラックチェリー、リコリス、集中力があり、横に広がるヴォリューム感。アルコール度は14.5%に達するが、重さはない。統合されていて、ハーモニアス。フィニッシュは丸いが、タンニンがやや乾く。91点。
輸入元はBB&R。
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