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時代を牽引するルクレール・ブリアン、オーガニック・シャンパーニュの歴史をたどる

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 オーガニック・ブドウを生かして自然のエネルギーみなぎるシャンパーニュを造るルクレール・ブリアンの輸入元がファインズに変わり、セラー・マスターのエルヴェ・ジェスタンが来日した。独自の思想と手法で孤高の道を歩むエルヴェのワイン造りを総括する。


オーガニック・シャンパーニュの先駆者


 ルクレール・ブリアンの道程はオーガニック・シャンパーニュの歴史でもある。キュミエールで創業したのは1872年。4代目ベルトランは1960年代にオーガニック栽培に着目し、55年にエペルネに本拠を移転し、ルクレール・ブリアンと名付けた。ベルトランの息子パスカルが友人のピエール・フルーリーと共にオーブでビオディナミを実践し、90年に初めてのビオディナミ・シャンパーニュを仕込んだ。


 パスカルは2010年に亡くなり、後継者がいなかったため約30haの畑の約半分は主にランソンBCCとルイ・ロデレールに売却された。ランソンがオーガニック認証を得た「グリーンラベル」はその時の畑から造る。ルイ・ロデレールが購入した14haは2021年に取得したオーガニック認証のベースとなっている。


 ルクレール・ブリアンに救いの手を差し伸べたのが、米国の投資家マーク・ニュネリーとデニス・デュプレのカップル。2012年に残された畑とメゾンを購入した。2人はラグジュアリー・ホテル「ロイヤル・シャンパーニュ」を刷新し、ポマールに購入したクロ・ド・ラ・コマレーヌを、ホテルとスパ付きのブティックホテルに変身させた。


 優れた投資コンサルタントのカップルは、巨額の資金を必要とするシャンパーニュ・メゾンに最高の人材をリクルートした。ディレクターに元モエ・エ・シャンドンのフレデリック・ゼメットを据え、1957年生まれの鬼才エルヴェ・ジェスタンを起用した。エルヴェは亡くなったパスカルと交流があり、ルクレール・ブリアンをよく知っていた。


 エルヴェはランス、ボルドー、ディジョンの大学で醸造学とワイン法を修めた後、82年から2006年までデュヴァル・ルロワで醸造長を務めた。その後、醸造コンサルタントを始め、2012年にクロ・ド・キュミエールを購入して、シャンパーニュ・ジェスタンを興した。マルゲでもリリースする「サピエンス」はビオディナミ・シャンパーニュの極北にそびえている。


自社畑はオーガニック認証
一流ヴィニュロンが契約農家


 ルクレール・ブリアンの自社畑は14ha、契約農家は20ha。自社畑はオーガニックとビオディナミ認証を得ている。契約するサプライヤーはブノワ・ライエ、デウー、オリヴィエ・オリオ、マルク・オーギュスタンら一流のヴィニュロンも多い。40年超のキャリアでテロワールを知り尽くすエルヴェが納得するブドウを入手している。


 契約畑の資金はもちろんだが、機能的に刷新されたカーヴ、実験的な金張りのタンク、ワイングローブ、セラミックスなどエペルネの地下35mの1キロに延びるカーブには彼のアイデアをうかがわせる機器が詰まっている。ビオディナミで栽培をするヴィニュロンは多いが、エルヴェはビオディナミの思想を醸造に持ち込んでいる。


 生体内のエネルギーの流れを研究するバイオエナジェティックス(Bioenergetics)を学んでいる。自然の産物であるワインがストレスを感じないように、タンクや発酵槽にアースを取り付けて、静電気を放出している。アンフォラは横に寝かされ、大地とコネクトしている。最も純粋な金属である金を内貼りしたステンレスタンクは錬金術の象徴で、宇宙とつながっている。


 造り手が手を加えるとエネルギーが乱れるからバトナージュはしない。亜硫酸も最小限にとどめて、ドザージュも極めて少ないかノンドゼ。ビオディナミの根幹にある宇宙と大地と植物の調和を、細かい規則が多くて技術的な醸造を求められるシャンパーニュで実現しているのがエルヴェの造るワインである。


生体エネルギー論を突き詰めたアビス


 生体エネルギー論を突き詰めたのがアビスだ。カキ殻や海の微生物の死骸を含む純粋な白亜質土壌と海底のエネルギーを共鳴させている。ブルターニュ西端のウェサン島沖のスティフ湾の水深60mに沈めている。セラーでは得られないエネルギーを得られるという。


 「ルクレール・ブリアン アビス 2018」(Leclerc Briant Abyss 2018)は石灰岩豊富な自社畑のビスイユ(Bisseuil)のシャルドネ34%、Maillyのピノ・ノワール33%、Hautvillersのムニエ33%。2022年1月にデゴルジュマンしたボトルを海底で12か月間熟成した。リンゴ、白桃、ほのかにミラヴェルプラム、潮の飛沫、純粋な酸、サテンのテクスチャー、繊細で粒子の細かいムース。フレッシュ感があふれて垂直的。エネルギーが透明なヴェールに包まれている。ブレンドする畑が変わり力強さが増した。ドザージュは1.63g/L。4万円。97点。


 ここではNVは単一年で仕込まれる。世界最優秀ソムリエのオリヴィエ・プシエが試飲してすぐに「素晴らしい」と電話してきた2021ベースのNVを、昨年5月のメゾンに続いて再び試飲した。


 「ルクレール・ブリアン レゼルヴ エクストラ・ブリュット」(Leclerc Briant Reserve Extra-Brut)は2021年のピノ・ノワール42%、シャルドネ33%、ムニエ25%。みずみずしい酸、直線的で、焦点が合っている。レモンオイル、オレンジの皮、ビスケット、デリケートで丸みのあるムース。果実味は純粋でふくよか。クリーミィで調和している。デゴルジュマンは2025年9月。ドザージュは4.5g/L。1万円。92点。


 ルクレール・ブリアンはグリーンガイドの2つ星。2022年のラ・ルヴュ・デュ・ヴァン・ド・フランス・グランプリでブランド・オブ・ザ・イヤーを受賞した。世界で最も称賛されるシャンパーニュ・ブランド2026で31位。日本はトップ輸出市場の1つ。


 輸入元はファインズ。


 

アビス2018(左)とレゼルヴ エクストラ・ブリュット
レッヒャー・アンテナでエネルギーを計測
エルヴェ・ジェスタンとジェネラル・ディレクターのフレデリック・ゼイメット(左)
内部を金張りしたステンレスタンク

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