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フリーマン・ヴィンヤード初のスパークリング、冷涼なオクシデンタルで仕込んだブラン・ド・ブラン

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 アキコ&ケン・フリーマン夫妻がカリフォルニア・ソノマで営むフリーマン・ヴィンヤード&ワイナリーが、初めてスパークリングワインを生産した。泡物が好きなアキコさんが妥協せずに造ったブリュット・ナチュールのブラン・ド・ブラン。わずか20数ケースが日本に上陸した。


 スパークリングワインは2001年のワイナリー創設から20周年を記念して醸造された。「ユーキ・エステート 20周年記念 ブラン・ド・ブラン ソノマ・コースト 2019」(2019 Yu-ki Estate Blanc de Blancs Sparkling Wine 20th Anniversary)と名付けられた。


 自社畑ユーキ・エステートのシャルドネで仕込まれたブラン・ド・ブラン。広大なソノマ・コーストAVAで、海沿いで涼しい地域はトゥルー・ソノマ・コーストと呼ばれるが、その中でもとりわけ冷涼なオクシデンタル(Occidental)地区に畑は位置する。


 スティーブ・キスラーの家族ワイナリー「オクシデンタル」や「コブ」が、太平洋の影響を受けたテロワールから、世界クラスのピノ・ノワールをこの地で造っている。ユーキ・エステートも太平洋まで6.6キロ。標高300mに位置する。真夏の昼間に訪れても、上着がなければ震え上がるほどに寒い。


 フリーマンは5.6haを8区画に分けて、ピノ・ノワールのヘリテージとディジョンクローンを植えていた。レッドウッド(セコイア)の森の陰で涼しい0.2haのブドウ樹にシャルドネを接ぎ木したところ、はつらつとした味わいのワインに仕上がり、スパークリングワインを仕込んだ。


泡好きなのですべて自分で造りたかった
ブリュット・ナチュールのブラン・ド・ブラン


 ワインメーカーのアキコさんが、カリフォルニアを代表するスパークリングワイン生産者「シュラムスバーグ」の元醸造責任者クレイグ・ローマーの助言を受けて、野生酵母で発酵させた。古いフレンチオークで熟成し、清澄・濾過はなし。2020年5月に瓶詰めして、瓶内二次発酵で熟成し、2021年6月にディスゴージ(オリ抜き)した。補糖しないブリュット・ナチュール。甘めのスパークリングが好まれる米国市場では挑戦的なスタイルだ。


 突き刺すような酸、レモンの皮、青りんご、フレッシュなハーブ、熟していて、クリーミィな泡、デリケートなテクスチャー。冷涼感たっぷりで、リフレッシュさせられる。ジンジャー、白コショウ、潮の飛沫、抑制されていて正確。緊張感が持続する。90点。1万500円。


 240ケースが生産され、半分はワインクラブの顧客に販売され、母国の日本には20数ケースが輸入された。2020と2021は少量のロゼも仕込まれた。オリとの接触期間を伸ばすレート・ディスゴージドも発売する予定。


 帰国したアキコさんは「元々泡が好きです。カリフォルニアのワイナリーは、ラック&リドル(Rack & Riddle)のようなスパークリング専業メーカーに委託して仕込む例が多いが、それだとみな同じような味になってしまうので、すべて自分で造ろうと考えました。」と語った。


 フリーマン・ヴィンヤードは、ソノマのロシアン・リヴァー・ヴァレーAVAの西端にワイナリーを構えた。ホワイトハウスで2015年に行われた安倍首相とオバマ大統領の公式晩餐会で「フリーマン 涼風 シャルドネ 2013」が供されて、アメリカン・ドリームを実現した。


 ドメーヌ・デュジャックを好むアキコさんの感性とワイン造りが生むエレガンスは、スティルワインにもスパークリングワインにも宿っている。


 米国に2021年に輸出されたシャンパーニュは、前年比62%増の3400万本に達し、英国を抜いて最大の輸出市場となった。それでも、コロナ禍を経た米国ではシャンパーニュが不足している。フリーマンのスパークリングの需要も高そうだ。


 輸入元はWINE TO STYLE。

ワイナリー入り口にて
丘を掘削したケーブ
夫のケンと自宅居間で
自宅から畑を望む

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