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英国グラスゴーで開かれている第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で二酸化炭素排出量の削減目標が議論される中で、ワイン業界でも軽量ボトルの使用を求める議論が盛んになっている。
注目を集めたのは、英国デカンター誌の編集者アレーシャ・ハンセルが、「Change.org」に投稿した嘆願書。ジャーナリストのジャンシス・ロビンソンも署名し、11日現在で420人を超す賛同が集まった。
ハンセルは「私たちはもはや気候変動ではなく、私たちが知っているワインの未来を脅かす気候の緊急事態に直面している」と述べ、二酸化炭素排出量に大きな影響を与えるガラス瓶の生産と輸送について、ワインに携わる人々に3点の要求を提言した。
1)すべての技術資料にボトル重量を記載すること。数値を明記することで生産者は不必要に重いボトルを排除するはず。
2)コメンテーターはレビューにボトル重量を記載すること。消費者が十分な情報を得た上で選択できるようになる。
3)ワインに関わるすべての人々が真に効果的なガラスのリサイクル・プログラムのキャンペーンを奨励すべき。
ボトルが重いほど中のワインも良い?
カリフォルニアワイン協会が2011年に行った調査によると、ガラス瓶はワインの二酸化炭素排出量の29%を占め、最大の要因となっている。業界誌「Wine Business Monthly」は昨年、約850グラム(30オンス)もの重いボトルの使用が増えているという調査結果を発表した。
同誌は「軽いボトルへの切り替えを阻む最大の要因は、米国の消費者の間で、ボトルが重いほど中のワインが良いという認識が残っていること」と述べた。だが、ボトルの重さがワインの質の高さを示すものではないのは言うまでもない。
一方で、変化の兆しはある。カナダ・オンタリオ州で酒類購入を管理するオンタリオ州酒類統制委員会は、2023年以降、420グラム(14.8オンス)以上のボトルに詰められたワインを購入しないと発表した。価格が15カナダドル(約12米ドル)以下のワインに適用される。
カリフォルニアのジャクソン・ファミリー・ワインズやタブラス・クリーク、ポルトガルのシミントン・ファミリー・エステートは軽量ボトルを導入し、二酸化炭素排出量に向けて真剣に取り組んでいる。
英国のジャーナリスト、ジェーン・アンソンが、自らのサイトで発表した、ブドウ栽培の専門家グレゴリー・ガンベッタ教授の研究によると、ナパヴァレーとボルドーの生育期の平均気温は過去60年間で大幅に上昇した。ナパで2度、ボルドーで3度上昇している。この上昇は1980年代に急激に起きた。ボルドーの最適な生育期の平均気温は17.3度と予測されたが、10年以上前にその温度を超えて1度も高くなっているという。
シャンパーニュよりも重いブルゴーニュのボトルも
手元にあった重そうな空瓶3本の重さを測った。内圧に耐える必要のあるシャンパーニュが最もヘビー級と予想していたが、意外な結果が出た。
最も重かったのはドメーヌ・ルロワのヴォーヌ・ロマネ2000。993グラムだった。これは持っただけで予想できた。続いて、ラ・ターシュ1997が924グラム。クリュッグ1998は907グラムで、この中では最も軽かった。
ついでに、ラ・ターシュ1976も測った。845グラムだった。20年間で1割も重さが増している。最近飲んだクロ・デュ・マルキ1996は540グラムだった。
ルロワもDRCもビオディナミを導入している。環境との調和を保ち、DRCは耕作の一部に馬を使っているから、ディーゼルトラクターを使う造り手より二酸化炭素排出量は少ない。ボトルの重さは、残念ことにそうしたメリットを打ち消し、その面だけ見れば、サステイナビリティの低下を招いている。
DRCは木箱で出荷する際のボトルを包む緩衝材も、リサイクルが可能な、果物の梱包に使うような紙をベースにした素材を使っている。それだけに、ヘビーボトルは残念だ。
とはいえ、ブルゴーニュに限らず、ハイエンドワインがすぐに20世紀のような軽量瓶に戻るとは思えない。経験的に言って、評価や価格が高いワインほど重くて厚いボトルを使っている。評論家や生産者がボトル重量を表示するのも容易ではない。
消費者心理はすぐに変わらない。エルメスのバーキンを買ったセレブがティッシューで包んだだけで持ち帰るはずがない。同様に、地球に優しくないと頭でわかっていても、愛好家が大枚をはたいてレストランや自宅で、軽々と注げる高級ワインを飲みたいかというと、多くは違うだろう。パッケージングもワインの一部であり、重量感は高級感につながっている。
気候変動を防ぐためにヘビーボトルを排除するのが正しいのは間違いないが、簡単に実現できるとは思えない。2021年のフランスのワイン生産量が、気候変動により過去半世紀で最低になったという数字を振り返りながら、問題の重さに悩まされている。
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