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ナパヴァレーを訪れるワイン愛好家のだれもが訪問するロバート・モンダヴィ・ワイナリーが、リニューアルされて営業を再開した。創業60周年を記念して近代化された施設は、光学式選別機などの最新醸造設備を取り入れ、ト・カロン・ヴィンヤードが世界クラスのワインを生み出す条件を理解できるランドマークとなった。見ごたえのあるワイナリーを久しぶりに見学した。
オークヴィルのハイウェイ29沿いにあるワイナリーは、ロマネ・コンティの畑やボルドーのシャトー・マルゴーと同じく、ワイン産地のアイコン的な存在。ナパヴァレーのワイン・ツーリズムの核となっている。1966年の創業以来、初めてとなる大規模な改装に3年の月日をかけて、モンダヴィの当初のヴィジョンを引き継ぎ、次の時代への幕開けとなる存在として生まれ変わった。
カリフォルニア屈指の銘醸ト・カロン・ヴィンヤードを基盤にしたワイン造りのエッセンスを、醸造施設、見学の小道やテラス、テイスティング・スペースなどを通じてわかりやすく伝える設計になっている。
世界標準の醸造施設
テイスティングも充実
過去の訪問者が驚くのは、醸造施設だろう。シャトー・レオヴィル・ラス・カーズのような最新式ではないが、発酵は木桶に変わってステンレスタンクが増えている。ブーハーの垂直式圧搾機、光学式選果機など、世界標準の機器を導入している。
象徴的なアーチの門は変わらないが、花の咲く小道を歩き、屋内外のテラスからト・カロン・ヴィンヤードと背後のマヤカマス山脈を眺めると、オーパスワンにも使われるナパヴァレーで最も高価なブドウを産するト・カロンが、モンダヴィの基礎にあることがよくわかる。
ト・カロンはサン・パブロ湾から吹く海風がブドウに酸とバランスをもたらし、マヤカマスから流れ落ちる沖積扇状地のため水はけがいい。その魅力をモンダヴィらトップワイナリーが表現してきた。自然と一体になったブドウ畑の美しい景観と夕方のそよ風。その空間に足を踏み入れるだけで、ナパがボルドーと肩を並べるワイン産地に成長した歴史を体感できる。
土地の広がりを伝えるランドスケープデザインは、この土地の地質学的・生態学的な歴史に基づいて設計された。地殻変動、火山活動、堆積物などを取り込んでいるのだ。「ワイナリーの刷新はワイナリーの内部で起こっている進化を反映したもの」と、ワイナリーの醸造責任者、カーティス・オガサワラは語る。
北棟には3つのテイスティングスペースが設けられた。モンダヴィを所有するコンステレーション・ブランズの傘下にあるシュレーダー、ダブル・ダイヤモンドなど、ほかのブランドのト・カロン・ヴィンヤード産のワインも味わえる。ガイド付きセラーツアーはワイナリーのオンラインから予約できる。
ロバート・モンダヴィが「カリフォルニアワインの父」と呼ばれたのは、自分の足でヨーロッパを訪ねて得た知見やアイデアを、黎明期から惜しみなく、仲間の生産者や後進に広めてきたからだ。カルトワインの頂点にたつハーラン・エステートのビル・ハーランも、フランスに同行してワイナリー設計の着想を得た。
新装されたダイニングスペースで、カベルネ・ソーヴィニヨンのトップキュヴェであるト・カロン・ヴィンヤードの垂直試飲をした。アルコール度はいずれも14.5%から15%。
「ロバート・モンダヴィ カベルネ・ソーヴィニヨン ト・カロン・ヴィンヤード・リザーブ 2022」(Robert Mondavi Cabernet Sauvignon To Kalon Vineyard Reserve 2022)はブラックチェリー、プラム、ダークチョコレート、タンニンがまだ硬いが、肉厚でリッチなフルボディ。カベルネ・ソーヴィニヨン86%、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドが各7%。94点。
「ロバート・モンダヴィ カベルネ・ソーヴィニヨン ト・カロン・ヴィンヤード・リザーブ 2013」(Robert Mondavi Cabernet Sauvignon To Kalon Vineyard Reserve 2013)は明るい果実実、ブラックチェリー、砕いた石、ヨード、しっかりした骨格、タンニンは調和がとれてきた。力強いグリップ。50周年にふさわしい風格がある。さらに20年は熟成するだろう。ワインメーカーはジュヌヴィエーヴ・ジェンセン。95点。
「ロバート・モンダヴィ カベルネ・ソーヴィニヨン ・リザーブ 2001」(Robert Mondavi Cabernet Sauvignon Reserve 2001)はカベルネ・ソーヴィニヨン88%、カベルネ・フラン10%、残りはマルベックとプティ・ヴェルド。腐葉土、鉛筆の削りかす、黒煙、凝縮感があり、きれいに熟成している。ただ、タンニンがやや乾き気味で余韻は中程度。時代が早すぎたか。ワインメーカーはティム・モンダヴィ。93点。
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