- FREE
フランコ体制の下で発展が遅れたスペインは、1980年代に一気に現代化に向かった。国際品種を植え、灌漑し、洗練された醸造技術を取り入れた。そうした流れの中で、固有のテロワールや多様性に目を向けた造り手も大勢いた。アルバロ・パラシオス、ラウル・ペレス、テルモ・ロドリゲス、ホアン・カルロス・ロペス・デ・ラ・カーレ……例を挙げるときりがないが、アルバロとテルモが2人とも、ボルドーで学んでいたのは興味深い。リオハのワイン造りはボルドーのワイン造りを手本に始まったから、関係は深い。
しかし、テルモが目指したのは現代的なボルドーとはある意味、反対にあるワイン造りだった。スペインにしかないテロワールや品種の多様性を掘り下げた。リオハの栽培面積は約6万5000ha。ラ・リオハ州、バスク州アラバ県、ナバーラ州に144の基礎自治体がある。20世紀初頭には50種ものブドウ品種が存在し、フィールドブレンドによって、ワインが生産されていた。テルモはレメリュリとコンパニア・デ・ビノス・テルモ・ロドリゲスの2つのワイナリーをリオハで展開しているが、どちらの根幹にも固有品種と土地の個性の表現がある。
レメリュリはリオハ・アラベサ地区西部のアロに近いラバスティダの、カンタブリア山脈のふもとにある。南向きのこの畑は標高700mにあり、リオハで最も標高が高い。6月中旬の午後6時。低地より早く暑さが和らいできた。テルモが運転する四駆のジープで下生えが茂る山道を縦横無尽に走る。株仕立てのブドウ樹が斜面に点在している。石交じりのやせた粘土の厚い土壌で、大西洋気候の影響が強く雨が多い。冷涼で、春は霜のリスクもある。90haの畑はオーガニックで栽培されるリオハ最大のオーガニック畑。、アーモンド、イチジク、桃、オリーブの樹などが植えられ、生物的な多様性が保たれている。
彼の父は1960年代初期、500年以上の歴史を有する石造りの建物を購入した。14世紀から僧院だったリオハで最も古い建物の1つだ。畑は10世紀から打ち捨てられていたが、父は67年にワイナリーを設立した。1962年生まれのテルモはビルバオ大学を卒業してボルドー大醸造学部に留学。コス・デストゥルネル、エルミタージュのシャーヴ、プロヴァンスのトレヴァロンで修行した。実家に戻ったが、父と意見が対立し、94年にコンパニア・デ・ビノス・テルモ・ロドリゲスを設立した。その後、2010年にレメリュリに帰還した。
テルモはただ、アルタディのような急進的な改革者ではない。アルタディは2014ヴィンテージから、リオハDOCaを離脱し、テーブルワインに当たるヴィノ・デ・メサとして発売し始めた。レメリュリはリオハDOCaにとどまり、内部から改革をしようと努力している。
リオハには、ビウラをベースにした多彩なスタイルの白ワインがあるが、レメリュリのブランコは最高のものの1つだ。標高480-805mの区画から9品種のブレンドで造る。野生酵母によりステンレスととコンクリートタンクで発酵され、様々なタイプの樽で熟成される。
「レメリュリ ブランコ 2015」(Remelluri Blanco 2015)は白ユリ、青りんご、オレンジ、パイナップル、万華鏡のように表情を変え、パレットはフレッシュで、ほろ苦さと甘さが入り交じる。クリーミィで、チョーキー、多彩な要素が継ぎ目なく一体化している。コント・ラフォンのドミニク・ラフォンも一緒に試飲していて、「これはおいしい」とコメントしていた。フィールドブレンドによりレメリュリの地所を表現している。93点。
「レメリュリ レセルバ 2010」(Remelluri Reserva 2010)は最も生産本数が多い。ハウススタイルを表現している。テンプラニーリョ、ガルナッチャ、グラシアーノ、ビウラ、マルヴァジアのブレンド。野生酵母によりステンレスとオークで発酵し、フレンチオークで17か月間の熟成。アーシーで、かすかにフリンティ、レッドチェリー、プラム、ブラウン系スパイス、シルキーで、水平的に広がるヴォリューム感、熟成しているのにフレッシュなパレット。高精細の映像を見るような緻密さがあり、フレッシュな酸でフィニッシュがしめくくられる。93点。
「レメリュリ ラ・グランハ・レメリュリ グラン・レセルバ 2015」(Remelluri La Granja Remelluri Gran Reserva 2015) は弾けるような明るい果実、ダークチェリー、アーシーで、ローズマリー、洗練された上質なタンニン、継ぎ目がなくシルキー、濃厚なエキスと生き生きした酸のバランスがとれ、ハーモニーがある。94点。
「レメリュリ ラ・グランハ・レメリュリ グラン・レセルバ 2012」(Remelluri La Granja Remelluri Gran Reserva 2012) はテンプラニーリョ70%、ガルナッチャ25%、グラシアーノ5%。ブラックチェリー、リコリス、ガリーグ、シルキーなタンニン、しっかりしたグリップ、重厚感と長さがある。エキゾチックで、後を引く長いフィニッシュ。94点。
「レメリュリ 1995」(Remelluri 1995)は熟成したポムロールのようだ。なめらかで、香り高い。黒みの強い腐葉土、タバコ、タップナード、硬さを残すが、うまみの乗ったパレット、チョーキーなミネラル感、洗練されたバランス感では近年のヴィンテージにかなわらないが、素朴でむきだしの力強さがある。93点。
しかし、テルモが目指したのは現代的なボルドーとはある意味、反対にあるワイン造りだった。スペインにしかないテロワールや品種の多様性を掘り下げた。リオハの栽培面積は約6万5000ha。ラ・リオハ州、バスク州アラバ県、ナバーラ州に144の基礎自治体がある。20世紀初頭には50種ものブドウ品種が存在し、フィールドブレンドによって、ワインが生産されていた。テルモはレメリュリとコンパニア・デ・ビノス・テルモ・ロドリゲスの2つのワイナリーをリオハで展開しているが、どちらの根幹にも固有品種と土地の個性の表現がある。
レメリュリはリオハ・アラベサ地区西部のアロに近いラバスティダの、カンタブリア山脈のふもとにある。南向きのこの畑は標高700mにあり、リオハで最も標高が高い。6月中旬の午後6時。低地より早く暑さが和らいできた。テルモが運転する四駆のジープで下生えが茂る山道を縦横無尽に走る。株仕立てのブドウ樹が斜面に点在している。石交じりのやせた粘土の厚い土壌で、大西洋気候の影響が強く雨が多い。冷涼で、春は霜のリスクもある。90haの畑はオーガニックで栽培されるリオハ最大のオーガニック畑。、アーモンド、イチジク、桃、オリーブの樹などが植えられ、生物的な多様性が保たれている。
彼の父は1960年代初期、500年以上の歴史を有する石造りの建物を購入した。14世紀から僧院だったリオハで最も古い建物の1つだ。畑は10世紀から打ち捨てられていたが、父は67年にワイナリーを設立した。1962年生まれのテルモはビルバオ大学を卒業してボルドー大醸造学部に留学。コス・デストゥルネル、エルミタージュのシャーヴ、プロヴァンスのトレヴァロンで修行した。実家に戻ったが、父と意見が対立し、94年にコンパニア・デ・ビノス・テルモ・ロドリゲスを設立した。その後、2010年にレメリュリに帰還した。
テルモはただ、アルタディのような急進的な改革者ではない。アルタディは2014ヴィンテージから、リオハDOCaを離脱し、テーブルワインに当たるヴィノ・デ・メサとして発売し始めた。レメリュリはリオハDOCaにとどまり、内部から改革をしようと努力している。
リオハには、ビウラをベースにした多彩なスタイルの白ワインがあるが、レメリュリのブランコは最高のものの1つだ。標高480-805mの区画から9品種のブレンドで造る。野生酵母によりステンレスととコンクリートタンクで発酵され、様々なタイプの樽で熟成される。
「レメリュリ ブランコ 2015」(Remelluri Blanco 2015)は白ユリ、青りんご、オレンジ、パイナップル、万華鏡のように表情を変え、パレットはフレッシュで、ほろ苦さと甘さが入り交じる。クリーミィで、チョーキー、多彩な要素が継ぎ目なく一体化している。コント・ラフォンのドミニク・ラフォンも一緒に試飲していて、「これはおいしい」とコメントしていた。フィールドブレンドによりレメリュリの地所を表現している。93点。
「レメリュリ レセルバ 2010」(Remelluri Reserva 2010)は最も生産本数が多い。ハウススタイルを表現している。テンプラニーリョ、ガルナッチャ、グラシアーノ、ビウラ、マルヴァジアのブレンド。野生酵母によりステンレスとオークで発酵し、フレンチオークで17か月間の熟成。アーシーで、かすかにフリンティ、レッドチェリー、プラム、ブラウン系スパイス、シルキーで、水平的に広がるヴォリューム感、熟成しているのにフレッシュなパレット。高精細の映像を見るような緻密さがあり、フレッシュな酸でフィニッシュがしめくくられる。93点。
「レメリュリ ラ・グランハ・レメリュリ グラン・レセルバ 2015」(Remelluri La Granja Remelluri Gran Reserva 2015) は弾けるような明るい果実、ダークチェリー、アーシーで、ローズマリー、洗練された上質なタンニン、継ぎ目がなくシルキー、濃厚なエキスと生き生きした酸のバランスがとれ、ハーモニーがある。94点。
「レメリュリ ラ・グランハ・レメリュリ グラン・レセルバ 2012」(Remelluri La Granja Remelluri Gran Reserva 2012) はテンプラニーリョ70%、ガルナッチャ25%、グラシアーノ5%。ブラックチェリー、リコリス、ガリーグ、シルキーなタンニン、しっかりしたグリップ、重厚感と長さがある。エキゾチックで、後を引く長いフィニッシュ。94点。
「レメリュリ 1995」(Remelluri 1995)は熟成したポムロールのようだ。なめらかで、香り高い。黒みの強い腐葉土、タバコ、タップナード、硬さを残すが、うまみの乗ったパレット、チョーキーなミネラル感、洗練されたバランス感では近年のヴィンテージにかなわらないが、素朴でむきだしの力強さがある。93点。
購読申込のご案内はこちら
会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!