5000ドルのハンバーガーとペトリュスセット、空き瓶のお土産が付いて「偽造犯には掘り出し物」……偽造ワイン鑑定家怒る

　米ラスベガスのホテルに、ペトリュス1995年をセットにした5000ドルのハンバーガーが登場した。食べたゲストは空き瓶を土産として持ち帰れる。NYマンハッタンのタブロイド誌が「ワイン偽造犯なら、5000ドルは掘り出し物」と紹介したところ、偽造ワイン鑑定の権威モーリーン・ダウニーが、偽造ワインの被害者を生むとして、Facebokで批判した。
　5000ドルのハンバーガーは、ラスベガスのホテル「マンダレイ・ベイ」内のレストラン「フルール・バイ・ユベール・ケラー」のメニュー。これを食べたCNBCのロバート・フランクのレポートによると、1パウンド（0.45キロ）当たり100ドルの和牛、1パウンド当たり45ドルのフォアグラ、1パウンド当たり1500ドルの黒トリュフに、ベーコンとたっぷりのバターを使って、ブリオッシュのバンズではさんでいる。これにレストランで5000ドル以上で売っているペトリュス1995を組み合わせて、5000ドルで提供している。既に28人が注文したという。
　食べた客はワイングラスとペトリュスの空き瓶を土産として持ち帰れる。マンハッタンのタブロイド誌「ラグジュアリー・リスティングス・NYC」は、このハンバーガーを、「ワイン偽造を始めたい人間には詐欺の手段を提供する」とジョークをまぶしてコラムで紹介し、「ワイン偽造犯なら、5000ドルは掘り出し物」という見出しをつけた。そのため、偽造ワインの撲滅に力を入れているダウニーは「なんてばかげたアイデア。信じられない」と、Facebokでかみついた。
　米国では、ダウニーがFBI捜査に協力した偽造犯ルディ・クルニアワンを追ったドキュメンタリー映画「サワー・グレープス」も公開され、ワイン偽造の手口が広く知られるようになっている。クルニアワンの手口は、空き瓶に偽のワインを詰めたり、ラベルやコルクを偽造するものだった。
　高級ワインの空き瓶は、偽造犯には重要なツールの一つ。オークションサイト「ebay」では、ロマネ・コンティ1985の空き瓶が250ポンドで落札され、ペトリュス1981の空き瓶は最低価格140ドルで出品されている。ハーラン・エステートやペトリュスが、プロや愛好家向けにレストランで試飲会や食事会を主催する際は、再利用できないように、ラベルに×印をつけさせて廃棄することも珍しくない。
　今回のコラムは冗談半分だったとしても、偽造ワインの深刻な被害が広がっているワイン業界の専門家にとっては、笑いごとではすまされない内容だった。