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ベル・エポック・ロゼ1985、熟成のうまみ

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 見た目が華やかな女性は誤解を受けがちだ。

 シャンパーニュもそうかもしれない。ペリエ・ジュエのベル・エポック。アネモネを焼き付けたボトルがわかりやすいがゆえに、シャンパーニュおたくからは敬遠されているふしがある。米国や英国は別として、日本の愛好家は禁欲的だから。

 しかし、見た目が派手だからといって、中身が薄いわけではない。ポイントはきちんと熟成させること。シャルドネをベースに仕上げるベル・エポックは中途半端な時期に飲むと、果実香と熟成香の中間にあって、どっちつかずの印象を受ける。

 今回飲んだのは1985年。文句のつけようがない。収穫量は少ないが、ピノ・ノワールもシャルドネも熟したヴィンテージ。私の経験でも85で失望させられたことはない。クリュッグ、クリスタルなど今が飲み頃だ。ベル・エポックのロゼも華麗に咲き誇っていた。

 エレガント。この一言に尽きる。押し付けがましいところがなく、かといって、控えめでもない。内側からにじみだす品格を感じさせる。ローストしたコーヒー、カラメルの香り。南国的なまめかしさを感じさせる。空気に触れると、じわじわと黒ブドウに根ざす香りが広がるが、決して野生的ではない。甘みを伴う余韻が長き続き、熟成したロゼのうまみを堪能した。

 それでもなくても高価なベル・エポックのロゼを飲む機会はなかなかない。この85年も緊張しながら開けたが、熟成香がきれいに開き始めた絶妙の段階にあった。

 ベル・エポック・ロゼの良さは、万人受けを狙っているところだ。これがクリュッグやクリスタルのロゼだと、焦点が絞られていて、気軽に飲めない。値段の問題ではない。気軽にあけられない威厳と緊張感がある。ベル・エポックは料理にも、人にも寄り添う間口の広さがある。

 麹町のフレンチ「オー・グー・ド・ジュール」で食事した後の締めシャンにふさわしかった。オー・グー・ド・ジュールはとりわけ驚く料理は出てこないが、安定感と心地よいサービスは抜群だ。

(2013年8月 麹町のフレンチ「オー・グー・ド・ジュール」)
シャンパーニュ ペリエ・ジュエ ベル・エポック・ロゼ 1985
購入先:米西海岸のショップ 225ドル
死ぬまでに一度は飲みたい度:94点

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