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ロワールにあるのは素晴らしいカベルネ・フランだけではない。心震わせるシュナン・ブランも忘れてはいけない。代表格がソミュールのドメーヌ・ギベルトー。1年ぶりにクロ・デ・カルムを試飲して魂を揺さぶられた。コート・ド・ボーヌのグランクリュに負けない。ロワールのコルトン・シャルルマーニュと呼びたい。
物語はほぼ1世紀前に始まる。1934年、ソミュールから20分のサン・ジュスト・シュル・ディーヴ(Saint-Just-sur-Dive)村にロマン・ギベルトーの曽祖父クレマン・マンガンがドメーヌを興した。ロマンの祖父ロベールは1954年、名高いブレゼの丘陵に数ヘクタールの土地を購入した。
ロベールは1975年に引退し、息子たちは継がなかったためドメーヌは外部に委託された。ロマンは法学の学生だったが、リース契約の更新に際して、家業のブドウ畑を継ぐ決断をした。家族の隣人クロ・ルジャール(Clos Rougeard)のフーコー兄弟の助手として働いた。1997年に初めて醸造した5000本の赤ワインはすぐに売れ、協同組合に売っていたブドウを取り戻し始めた。
17世紀に創設されたクロ・ルジャールはシャトー・モンローズを所有するブイグ家の傘下に入ったが、フーコー兄弟はフランス最上のカベルネ・フランの造り手で、白ワインのソミュール・ブレゼも優れている。今で言う自然派的なワイン造りで先駆け、同じ村のアルノー・ランベールらの精神的な支柱でもあった。
クロ・ルジャールのフーコー兄弟から学ぶ
カルト的なアルチザンのロマン
ロマンは父と叔父のブドウ園を統合し、赤ワインと白ワインを生産する土地を19.4haまで広げた。そのうち、事実上のグランクリュと言われるブレゼは10.58ha。2.6haのクロ・デ・カルムはロマンが復活させ、2007年に初めて瓶詰めされた。
ロマンはドメーヌ・デ・ロッシュ・ヌーヴのティエリー・ジェルマンからインスピレーションを受けて、バンジャマン・ダグノーとも親交が深い。洗練された雪のように純粋なシュナン・ブランは、ロワール最上のヴィニュロンたちから吸収したエレガンスを昇華している。
2007年に有機認証を取得。被覆作物を植えて、硫黄や銅、植物の煎じ液しか使用しない。手摘みし、野生酵母で発酵させる。清澄やろ過は行わないミニマルなアプローチを貫いている。ロワールのベンチマークとなったギベルトーのロマンはカルト的なアルチザンとなった。
クロ・デ・カルムの2021と2017を試飲した。ブレゼにある9つのクロの1つ。ブレゼの丘の中腹に位置する南向きの畑。石灰岩粘土土壌。2004年に区画全体に大量選別された挿し木を植えた。畑の0.8haがクロ・デ・カルムに使用され、残りはソミュール・ル・ブールとブレゼに詰められる。
全房圧搾して樽発酵させて24か月間の熟成。1年間の瓶内熟成を経てリリースされる。フランスの3つ星レストランで置いてない所を探す方が難しい。
すがすがしい酸とミネラル感のシュナン・ブラン
「ドメーヌ・ギベルトー ソミュール・ブラン クロ・デ・カルム 2021」(Domaine Guiberteau Saumur Blanc Clos des Carmes 2021)は黄色の花、ミラヴェルプラム、砕いた石、張りのある酸、濃厚な果実味。正確で流れるような輪郭が素晴らしい。引き締まった中に活力がみなぎっている。チョーキーで塩気を帯びた余韻が長く続く。2万8000円。94点。
「ドメーヌ・ギベルトー ソミュール・ブラン クロ・デ・カルム 2017」(Domaine Guiberteau Saumur Blanc Clos des Carmes 2017)はフリンティで繊細、果実味とはつらつとした酸が凝縮されている。熟した洋ナシ、プラム、ドライフルーツ、シームレスで深みがある。重層的で突き刺すようなミネラル感と塩気がコアにある。緊張感と透明感を備えている。3万円。95点。
シュナン・ブランはスパークリングや甘口など多彩なスタイルで造られるが、優れた辛口はすがすがしい酸とミネラル感が際立っている。ギベルトーのソミュールの品格と優雅さは飲まないと後悔する。
輸入元はヴァンパッシオン。
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