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スーパータスカンを代表するオルネッライアとフレスコバルディのCEOを務めて、イタリアワインが世界市場に進出する道を切り開いたジョヴァンニ・ゲッデス・ダ・フィリカーヤが引退を表明した。
グローバルな経営手腕とラグジュアリーなマーケティング
ジョヴァンニはケンブリッジで教育を受けた。1970年代に入社したレミー・マルタンとアンティノリを経て、1996年にフレスコバルディに参画した。グローバルな経営手腕とラグジュアリーなマーケティング感覚の持ち主。オルネッライアやマッセートを世界的なブランドに育てた。
オルネッライアの株50%を所有していたロバート・モンダヴィが2004年にコステレーション・ブランズに買収されたのを受けて、コンステレーションからオルネッライアの持ち株を購入し、フレスコバルディが完全所有する道筋をつけた。
2009年から、芸術とワインを融合させたヴェンデミア・ダルティスタを限定生産し、オークションで販売する収益によりチャリティに役立てた。高品質なスーパータスカンだったオルネッライアをラグジュアリーなブランドに育てた。
オルネッライアが造るメルロー・ワインという位置づけだったマッセートを、独立したブランドに転換したのも業績の1つ。イタリアワインとして初めて2008年に、ラ・プラス・ド・ボルドーで販売した。2019年にマッセート独自のワイナリーを創設し、セカンドワインも造った。
オルネッライアとマッセートを競争させるのではなく、国際市場でボルドーの1級シャトーやペトリュスのライバルとなる品質とラグジュアリーな物語を持つブランドに育てた。コンステレーションから移り、オーパスワンをスーパー・ブランドにしたデヴィッド・ピアソンと交流が深かったという。
ジョヴァンニに取材した現地ニュースによると、2005年のセラー価格はオルネッライアが50ユーロ、マッセートが75ユーロだったが、現在の消費者向け価格はオルネッライアが230-240ユーロ、マッセートが500ユーロに上がった。2005年から2022年までに売り上げは5倍に増えたという。ワイン・サーチャーによると、オルネッライアの平均価格は261ドル、マッセートは1009ドルとなっている。
ラ・プラス・ド・ボルドーを活用して、ワインの価値と評価を高める手法はイタリアの生産者たちを刺激して道を開いた。アンティノリのスーパータスカン、ポッジョ・ディ・ソットのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、マッツェイ、バローロなど多くのワインが、ボルドーのネゴシアン経由で取り引きされている。
オルネッライアは今年3月、支配人のアクセル・ハインツがボルドーに戻り、10月には醸造責任者オルガ・フザーリが退任する。転換点に立っている。
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