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イタリア・ボルゲリのオルネッライアを去る支配人のアクセル・ハインツが、ボルドー・マルゴーの2級のシャトー・ラスコンブ(Chateau Lascombes)のディレクター兼CEOに就任する。ボルドー在住のジャーナリスト、ジェーン・アンソンが主宰する「インサイド・ボルドー」が報じた。
シャトー・ラスコンブは昨年11月、ナパヴァレーのハイツ・セラーなどを所有する億万長者の実業家ゲイロン・ローレンスが設立したローレンス・ワイン・エステーツ(Lawrence Wine Estates)に買収された。
ローレンスは2018年にハイツ・セラーを買収し、マスター・ソムリエのマッコイ・ジュニアMSがエステーツのCEOを務めている。2020年にバージェス・セラーズ、2021年にストーニー・ヒルをそれぞれ買収した。ラスコンブはヨーロッパで初めてのワイナリーとなる。
17世紀にさかのぼる歴史を持つラスコンブは120haの土地を有し、ミシェル・ロランをコンサルタントに迎えている。1952年に米国のワインライター、アレクシス・リシーヌが買収し、その後、英国のビール会社バス・チャリントン、投資企業コロニー・キャピタルを経て、保険企業MACSF(Mutuelle d'Assurance du Corps de Sante Francais)が2011年に買収していた。
ブラーヌ・カントナック、デュルヴォール・ヴィヴァン、ローザン・ガッシー、ローザン・セグラと並んで、マルゴーに5つしかない2級シャトーの1つ。
ラスコンブはマルゴー最大の栽培面積を誇り、砂利、粘土砂利、粘土石灰質など多彩な土壌が広がっている。ハインツがオルネッライアとマッセートで見せた、テロワールに最適な品種の栽培と正確な醸造の能力を期待されていると見られる。
オルネッライアでは毎年、新ヴィンテージのヴェンデミア・ダルディスタをオンラインで世界に向けて披露してきた。ボルドーの当主に必要なプレゼンテーション能力も優れている。
ハインツの母はボルドーのアルカション出身のフランス人で、父はドイツ人。ドイツで育ったが、ボルドーの農業高校を経て、ボルドー大学でフランス国家醸造士の資格を取得。シャトー・ラ・トゥール・カルネなどで働き、2005年にボルゲリのオルネッライアに着任した。
ハインツのオルネッライアの前任者はシャトー・パルメの支配人トーマス・デュロー。パルメをビオディナミに転換し高い評価を受けるデュローは、2001年から2004年までオルネッライアのワインメーカーを務めた。
プリムール試飲で、デュローから「アクセルは毎年欠かさずパルメを訪れる」と聞いたことがある。ハインツは元々、ボルドーでキャリアを積む夢を抱いていた。ラスコンブへの異動は故郷に帰るようなものだ。
オルネッライアの評価を高めた2人のワインメーカーが、マルゴーの異なるシャトーで競うことになる。
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