ポムロールにスター支配人誕生、ル・パン造るスペイン人女性ダイアナ・ベルーエ・ガルシア

　ボルドー・ポムロールで最高値で取引されるル・パンは、偉大なヴィンテージと目される2022年から、スペイン生まれのダイアナ・ベルーエ・ガルシア（Diana Berrouet Garcia）が指揮する。右岸にはまだ多くない女性支配人が誕生した。

　ダイアナは4代続くワイン生産者の家系。バレンシア地方で最初のカバを造った醸造学者を父に持つ。ヴァランスで農業エンジニアとして学び、アンジェのビジネススクールESA（Ecole Superieure d'Agricultures d'Angers）でブドウ栽培を学んだ。2006年にシャトー・マグドレーヌで研修した。

　ポムロールのシャトー・マゼール、サン・ジュリアンのシャトー・レオヴィル・ポイフェレなどで働いた後、2015年からプティ・ヴィラージュの技術責任者を務めた。夫はペトリュスの醸造長を務めたジャン・クロード・ベルーエの次男で、家族ワイナリーのシャトー・サミオンとイルレギーのエリ・ミナで醸造長を務めるジャン・フランソワ・ベルーエ。

　ジャック・ティエンポンと妻のフィオナ・モリソンMWが所有するポムロールのル・パン、サンテミリオンのリフ、カスティヨン・コート・ド・ボルドーのレートルは、2022年1月にドメーヌ・ジャック・ティエンポンの下で統合された。彼女は38歳にして、重要なワイン・グループの総責任者に迎えられた。

　3つのエステートはティエンポン家の人脈が絡み合っている。ヴュー・シャトー・セルタンのギョーム・ティエンポンはル・パンの栽培に助言している。リフはパヴィ・マカン当主ニコラ・ティエンポンの息子シリルが管理している。レートルはリュック・ティエンポンの息子マキシムが管理している。彼女はそうしたネットワークを管理しながら、ワイン造りを進める。

　ダイアナは義父のジャン・クロードやペトリュスの醸造責任者を務める義兄のオリヴィエから、不動産やワイン醸造のアドバイスを受けられる。ティエンポン一族とペトリュスのリソースを活用できる。

　ポムロールに誕生した数少ない女性スター経営者。シャンパーニュだけでなく、ボルドーでも女性の活躍が始まっている。