ブルゴーニュの伝説的ブローカー、ベッキー・ワッサーマンが死去

　ブルゴーニュの多くのドメーヌを発掘し、世界に広めた伝説的なブローカーのベッキー・ワッサーマンが20日、亡くなった。84歳だった。

　1937年、NYのマンハッタン生まれ。1968年にブルゴーニュに移住し、前夫と離婚したのをきっかけに、ワイン業界に入った。樽メーカーのフランソワ・フレールやタランソーの米国向けセールスを経て、1979年にLe Serbet（現在のベッキー・ワッサーマン＆カンパニー）を設立。ブルゴーニュ中心に多くの優れたドメーヌを発掘すると同時に、造り手たちに自家元詰を促した。

　ヴォルネイのプス・ドール、ド・モンティーユ、ミシェル・ラファルジュら、最初は今ほど有名ではなかったドメーヌを紹介して、ジャック・フレデリック・ミュニエ、コント・ド・ヴォギュエら大物にも広げた。

　米国にブルゴーニュのトップドメーヌを紹介して、市場を開拓し、世界のインポーターやブローカーは彼女が発掘するドメーヌをフォローした。現在のポートフォリオはアルヌー・ラショー、ボノー・デュ・マルトレ、コント・ラフォン、バンジャマン・ルルー、シルヴァン・パタイユ、プティ・ロワ、オヴェルノワ、ダイス、ピエール・ジェルヴェら100社を超すそうそうたる顔ぶれ。

　2019年に英デキャンターの「ホール・オブ・フェイム」（以前のマン・オブ・ザ・イヤー）を受賞した際は、DRCのオベール・ド・ヴィレーヌ（2016年のマン・オブ・ザ・イヤー）が、「"ブルゴーニュのクリマ "を深く理解し、それを説明できる人です。彼女は50年の間、ブルゴーニュの進化を目の当たりにしてきました。彼女は今でもそこにいて、試金石のような存在であり、すべてを理解しています」と、米国のブルゴーニュの最高のアンバサダーの1人と紹介した。

　オープンマインドで、ビジネスを抜きに、プロから愛好家まで世界のワイン好きの面倒をよくみた。受賞時には、故スティーブン・スパリュア、クライヴ・コーツMW、ジャンシス・ロビンソンOBEら多くの専門家が、彼女の人柄と功績をたたえるお祝いと感謝のメッセージを寄せた。

　ジャスパー・モリスMWの師匠であり、ロバート・パーカーは初めてブルゴーニュを訪問した際に、ワッサーマンからドメーヌを紹介された。ドミニク・ラフォンは、ドメーヌに本格的に参画する前に、1982年から86年までワッサーマンの下で働いて、初めて訪米し、マーケティング感覚を磨いた。

　ブルゴーニュの造り手だけでなく、世界のワイン業界の人間がSNSで、彼女の死を悼むメッセージを投稿している。