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各国がコロナ禍で苦しむ中で、韓国の2020年のワイン輸入額は過去最高を記録した。アジア3番めのワイン市場の韓国は成長が期待されている。
韓国の関税庁によると、2020年1-11月の輸入ワイン額は2億3900万米ドルで、2019年1年間の2億400万米ドルを上回った。12月を含めると、2020年は前年を通年ではるかに上回る。2011年の輸入額は1億1300万米ドルで、ほぼ右肩上がりで成長し、10年間で倍増した。
市場調査会社IWSRによると、韓国の2019年のスティルワイン消費量は4300万ケース。2014年から2019年にかけての年平均成長率は5.2%。1人あたりの消費量は0.9リットルと少ないが、日本、中国に次ぐアジアで3番目の市場に成長している。
韓国では70%の関税がかけられるワインは一種のぜいたく品。1万円のフランスワインを輸入すると7000円の関税がかかる。そのため、レストランやワインバーなどオントレードでワインを楽しめるのは富裕層に限られ、デイリーから中級のオフトレードの市場が強い。ワインのオンライン販売が禁止されているため、消費者はロッテ・リカー、エノテカ・コリア、コストコなどでワインを購入する。
日本と同じく、2020年の韓国は新型コロナウイルスの感染者数が爆発的に増加しなかった。そのため、家庭でのワイン消費が進んだと見られる。ただ、第三波に襲われ、1月12日現在の感染者数は計6万9651人に達した。レストランやワインバーなどオントレードに対しては規制が強化されている。
韓国で最もマスター・ソムリエに近いソムリエの1人Soo Min Cho(スー・ミン・チョ)さんによると、2020年12月から午後9時以降は4人以上の集会が禁じられたため、多くのレストランやワインバーが閉店している。「昨年はショップから購入して自宅で楽しむ人がふえたのでは。高めのお酒のワインでストレスを発散させる人もいるだろう」と語っている。
関税庁によると、韓国に最も多く輸入される赤ワインはチリで、フランス、米国、イタリア、スペインと続く。白ワインはフランス、イタリア、チリ、米国、ニュージーランド。
チョさんは「多くの愛好家は新しいタイプのワインや小さな生産地のワインに関心を抱く新たな段階に入っている。小規模や中規模の輸入業者が長年かけて育てたブランドを大手企業が一瞬で奪ってしまうため、ブランドの育成が難しい」と指摘する。
ただ、35歳のチョさんが支配人を務めるソウルのハイエンドなワインバー「Madeira Club」のビジネスは好調だという。センスのよいシャンパーニュ、ボルドー、ブルゴーニュを供している。もっとも、生徒向けのレクチャーが開けないのが痛手だという。
ともあれ、韓国のワイン市場のポテンシャルは大きい。ワイン専門市場調査会社「ワイン・インテリジェンス」が発表した「グローバル・コンパス 2020」で、韓国は米国に次いで「最も魅力的なワイン市場」に選ばれた。50のカギを握るワイン市場の新型コロナウイルスの影響などの要素も含めてリサーチした。ワイン・オーストラリアは期待を表明している。
韓国ではワイン教育も充実してきて、ワインスクールの人気が高まっている。マスター・ソムリエ協会(CMS)の「レベル2 Certified Sommelier」と「レベル3 Advanced Sommelier」の試験が、韓国内で行われているため、レベル4のマスター・ソムリエを目指すアドバンスト・ソムリエの資格保有者はチョさんを含めて8人いる。受験生は現在は海外渡航が不可能だが、学習プログラムに入って、CMSの米国支部での受験を目指している。
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