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羊が新年早々に畑から盗難、除草剤全廃目指すモエ・エ・シャンドンで

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 シャンパーニュ最大のメゾン、モエ・エ・シャンドンが冬季の除草のためにブドウ畑に放していた羊が新年早々、盗まれる事件があった。


 シャンパーニュ地方の地元ユニオン紙によると、14頭の羊が盗まれたのはアイの畑。1月2日に羊飼いが気づいて、畑の責任者に報告した。責任者は羊を囲い込むための電気柵向けの電力をまかなうための太陽光パネルも盗まれたことに気づいた。プロの羊飼いが誘導したのか、車で運んだのか、手口はわかっていない。


 盗まれた羊は草を食むためにブドウ畑の5haの区画に放牧されていた。放牧することで、除草剤を使わず、栽培スタッフが人力で除草作業をせずにすむ。羊は畑の雑草を食べて、糞を落としてくれる。


 LVMHグループのワインズ&スピリッツ部門を担う「モエ ヘネシー」は2020年2月、シャンパーニュの畑で除草剤を全廃して、サステイナブル農法の科学的な研究を行うシャンパーニュの新リサーチセンターに2000万ユーロを投資する方針を発表した。アイの畑はそのために、羊を放していた。


 羊や馬などの動物を放牧して牧草を食べさせる「ECO-GRAZING」(エコ・グレイジング)は、環境と調和する形で生物多様性を保つ手法として注目されている。薬品による土壌汚染を避け、トラクターの二酸化炭素排出量や騒音を減らし、土壌の圧縮を防げる。農業の分野では伝統的に行われてきたが、効率優先ですたれてきた。


 サステイナブル農法に取り組む新世界のニュージーランド、カリフォルニアやイギリスなどのワイナリーが取り組む例がよく知られているが、フランスでもブルゴーニュのドメーヌやボルドーのシャトーが行っている。


 モエ・ヘネシーは世界に22ブランドを抱える。シャンパーニュには、モエ・エ・シャンドン、ドン・ペリニヨン、ヴーヴ・クリコ、ルイナール、クリュッグ、メルシエの6メゾンを抱えて、1200haの自社畑を所有する。

凍てつく12月に羊が放牧されたポマール・プルミエクリュ クロ・ド・ラ・コマレーヌの畑

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