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2020年のボジョレーは、2003年に次ぐ早い収穫となった。事前に懸念された収穫時の衛生対策も障害はなく、乾燥した暑い夏の恩恵を受けたバランスのとれたワインが期待されている。
ボジョレーワイン委員会によると、2020年は冬が温暖で、3月下旬から5月にかけて気温が高く、日照時間も長かった。6月は気温が下がり、雨も多かったが、ヴェレゾンは早いところで7月18日ごろに始まった。7月は1964年以来3番目の乾燥で、8月の最初の20日間は高温が続いた。収穫開始は8月20日。2003年に次ぐ早さとなった。
収穫が早いと、発酵、マセラシオン、熟成により時間をかけられる。今年は新型コロナウイルス対策で、生産者からの出荷日を例年より1週間早めているので、醸造にじっくりと時間をかけられるメリットがある。
手摘みが主体のボジョレーでは、2万5000人の収穫人を迎え入れる。ボジョレーワイン委員会は労働監督局やアン県農業共済組合と協力し、新型コロナウイルスに対応する収穫ガイドマニュアルを作成。畑や宿舎での感染予防対策のために、事前に5万5000枚のマスクなどを配布した。
収穫量は平均より少なめだが、最初の試飲では、赤ワインはまろやかでフルーツの香りがふんだんにあり、非常に深い色調を見せているという。
ボジョレーワイン委員会のドミニク・ピロン会長は「偉大なミレジムを迎えようとしているように思える。ガメイ種は気候変動への高い順応性を見せた。安心材料だし、将来に対してのプラスポイントだ」とコメントした。
ボジョレーはローヌ県とソーヌ・エ・ロワール県にまたがる。96の村に1万4200haの畑があり、12のAOCが存在する。2000を超すドメーヌ、9つの協同組合、200のネゴシアンがいる。赤ワインの生産量は95%、ロゼは3%、白は2%。2019年の生産量は53万ヘクトリットル(約7000万本)。
2017年から最大の輸出市場は米国で、輸出量は660万本。続いて、英国向けは580万本。日本は520万本で3番目の輸出市場。ただし、ヌーヴォについては輸出の50%のシェアを占めるNo.1市場。
ボジョレー・ヌーヴォーの対日輸出量は、減少傾向にある。ボジョレー・ヌーヴォーとボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォーの赤とロゼは、2012年の6万6266ヘクトリットルから2019年は3万6586ヘクトリットルへと減少した。2019年の輸出額は178億500万ユーロ。
委員会は「ボジョレー・ヌーボーの販売量の低下を止めたい。クリュ・ボジョレーをはじめヌーヴォー以外のボジョレーについても日本市場に知ってほしい」と期待している。
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