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ボルドー・プリムール2019、UGCBがゴーサイン

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 格付けシャトー主体で構成するユニオン・デ・グランクリュ・ド・ボルドー(UGCB)は4日、2019ヴィンテージのプリムール試飲会を予定通り、3月末に行うことを発表した。


 2019ヴィンテージの試飲会は、3月30日から4月2日に、ボルドー市内のイベント会場やシャトーで行われる予定。UGCB会長のロナン・ラボルドは「UGCBは当面、プリムール週間の試飲会が行われることを確認する」というコメントを発表した。


 ボルドーのプリムール試飲会は、UGCBが毎年春に主催する。前年の秋に収穫されたブドウから仕込んだ熟成中のワインのバレル・サンプルを、各国のバイヤー、ソムリエ、ジャーナリストらの評価に供する。バイヤーやソムリエは試飲結果に基づいて買い付けし、ジャーナリストはメディアに発表する。


 ラボルド会長は「我々は強く警戒を保ち、状況の推移を注意深く監視する」とし、「プリムール週間の日程と形式を前提に、すべての必要な条件が整って、訪問者をできるだけ安全な方法で迎えられることを切望している」と述べた。


 この声明は、プロヴァインやヴィネクスポ香港が延期になったのを受けて、プリムールを実施する方針を改めて確認した内容となっている。


 プリムールは、1970年代に始まり、80年代に定着した。ほかの国際的な見本市と違って、直接的な取り引きの場所という性格が強い。生産者側のシャトーは世界中のプロフェッショナルに向けて、数か月で試飲サンプルを準備する。トレードやメディアの反応と世界の景気に基づいて値付けし、夏までに売り出す。各国のインポーターやレストラン経営者は、自らの試飲とジャーナリストの評価を参考に、ネゴシアンに注文を出す。


 ボルドーワインは通常、収穫の18-24か月後に瓶詰めして発売される。シャトーはプリムールで生産量の大半を販売することで、キャッシュフローを改善できる。翌年の収穫やワインの熟成にかかるコストを先物販売によってまかなえるというメリットがある。バイヤーからネゴシアンへの支払いは通常、プリムールが行われた年内に行われる。


 生産するシャトーと販売するネゴシアンにとっては、宣伝のための資金や人的なコストをかけなくても、世界中からバイヤーが現地にやってくる便利なシステムだ。両者の経営の根幹に組み込まれた仕組みとなっている。プリムールの日程がずれると、ビジネスの流れに大きな影響が出る。


 ワインを世界に販売して手数料を稼ぐネゴスには、日程の変更は大きなインパクトを与える。現在のプリムールは、格付けシャトーだけでなく、小規模なシャトーも参加しており、資金の面で影響が大きい。


 フランスのワインとスピリッツは、航空・宇宙分野に次ぐ第二の輸出産業。その中でもトップのボルドーワイン産業は、米国の追加関税、新型コロナウイスルの拡大による中国を含む世界的な景気減速、大きな輸出市場の英国のブレグジットなど、様々な試練に直面している。よほどのリスクがない限り、プリムールを例年通りに実施したいというのが、産業全体の本音だろう。

 

 2019年4月に行われたプリムール週間の試飲会には、記録的な7000人のビジターが、UGCBに事前登録した。ビジターは厳しくプロフェッショナルに限定されており、極めて多い数字だ。2018年の格付けワインの輸出額は11億ドルに達した。プリムールを左右したロバート・パーカーの引退が、自分の舌でワインを評価するビジターの増加を招いているという見方もある。


 私は既に、シャトーでないと試飲できない左岸の1級シャトーやスーパーセカンド、右岸のトップシャトーに訪問予約を入れた。シャトー側の対応は例年と変わりがない。残り3週間で、感染が拡大しないことを祈っている。それはプリムールに参加する関係者に共通する感情だろう。

盛況だった2019年4月に行われたプリムール試飲会

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