- FREE
シャンパーニュでピノ・ノワールというと、どこのクリュを思い浮かべるだろうか?
ブラン・ド・ノワールのファンはアンボネイ、ブージー、アイあたりを挙げるだろう。南向きで日照に恵まれて熟度が高い。有名なグローワーが多く、メゾンも所有している。近年、私が注目しているのはヴェルジーだ。ピンとこないかもしれないが、1985年にグランクリュに昇格したグランド・モンターニュのクリュである。
ルイ・ロデレールのヴィンテージ・キュヴェの核をなすピノ・ノワールはここから生まれる。初代当主が1841年に購入した。後のクリスタルにつながる白亜質土壌だ。2019年からはシャルドネをブレンドせず、ブランド・ノワールに生まれ変わる。
モンターニュ・ド・ランス北部の北向き斜面から、シャンパーニュを象徴するフィネスとエレガンスを生むピノ・ノワールを産する。チョーキーなタッチと緊張感が持ち味。気候変動でアルコール度の上がる環境にも適している。
ヴェルジーを代表するグローワーがアドリアン・ルノワールだ。10年以上前にシャサーニュ・モンラッシェのPYCMを発見して興奮した時を思い出す。現地のワインバーなどで見つけるたびに喜んで飲んでいる。
マッサール・セレクションのブドウ樹
シャルドネも優れるヴェルジー
2019年に父ヴァンサンから畑を受け継ぎ、辛抱強く有機栽培に転換して認証を得た。ビオディナミを実践し、アグロフォレストリーも行っている。7haの畑を所有する。畑のほぼ半分は量産型クローンが広がった1965年以前のブドウ樹からマッサール・セレクション(集団選抜)したブドウが植えられている。
野生酵母で発酵させる。ステンレスタンクの代わりにニュートラルな228Lの樽で醸造する。パーペチュアルを含むリザーヴワインはフードルで保存している。これがまろやかなテクスチャーと微妙な酸化を生む。SO2は圧搾時のみに使用する。デゴルジュマンの際はジェッティングして純粋さと還元性を保っている。ルーツに戻りながらモダンな技術も使っている。
ノンヴィンテージとリューディ、コトー・シャンプノワを仕込んでいる。ブドウはもちろんすべてグランクリュ。樹齢は50年を超す。
「シャンパーニュ アドリアン・ルノワール グランクリュ ル・テロワール エクストラ・ブリュット」(Champagne Adrien Renoir Grand Cru Le Terroir Extra-Brut)は樹齢50年のシャルドネとピノ・ノワールが半々。2022年が80%で2021年が20%。白い花、レモンオイル、オレンジ、ペイストリー、キレのある酸、ふくよかで程よい厚みがある。繊細なムース、ほのかな冷涼感があり、引き締まっている。ドザージュは0.8g/L。91点。
「シャンパーニュ アドリアン・ルノワール グランクリュ ル・セパージュ エクストラ・ブリュット」(Champagne Adrien Renoir Grand Cru Le Cepage Extra-Brut)は樹齢50年のブラン・ド・ノワール。2022ベース。ビームのように正確。芳醇で明るい。鮮やかな酸味、純粋でふくよかな果実味、きめ細かいムース。肉厚で、フレッシュな余韻。ドザージュは1.6g/L。92点。
「シャンパーニュ アドリアン・ルノワール グランクリュ レ・ザネ エクストラ・ブリュット」(Champagne Adrien Renoir Grand Cru Les Annees Extra-Brut)はピノ・ノワール100%。ベースの2022年に2013年から始めたパーペチュアル・リザーヴをブレンド。ネクタリン、ミント、ジンジャーブレッド、奥行きが深く凝縮感がある。ほのかにヴァニラ、ミッドパレットの厚みがあり、チョーキーな余韻。ドザージュは2.4g/L。93点。
「シャンパーニュ アドリアン・ルノワール グランクリュ レ・モンタン エクストラ・ブリュット 2020」(Champagne Adrien Renoir Grand Cru Les Montants Extra-Brut 2020)は唯一のブラン・ド・ブラン。表土が50センチでアヴィーズやクラマンに似ている。東側のヴィレール・マルムリに近い畑はワクシーなシャルドネに適している。白い花、洋ナシ、桃、生き生きとした酸味、ワクシーで多層的。チョーキーなエキスがフィニッシュに絡みつく。ドザージュは1g/L。1932本。94点。
「シャンパーニュ アドリアン・ルノワール グランクリュ レ・ヴィーニュ・ゴワス エクストラ・ブリュット 2020」(Champagne Adrien Renoir Grand Cru Les Vignes Goisses Extra-Brut 2020)は祖父が1962年に植えたムニエ100%。1mの石灰岩の下が白亜質。黄色のリンゴ、洋ナシ、桃、チョーキーなテクスチャー、しっかりした構造がありたっぷりした果実味。さわやかな酸味、塩気を帯びた余韻。ドザージュは1.6g/L。93点。
「シャンパーニュ アドリアン・ルノワール グランクリュ ロゼ・ド・アッサンブラージュ レ 2 テロワール エクストラ・ブリュット」(Champagne Adrien Renoir Grand Cru Rose d'Assemblage Les 2 Terroirs Extra-Brut)は2022年のヴェルジーのピノ・ノワールにヴェルズネイの赤ワイン5%をブレンド。クランベリー、チェリーの皮、オレンジ、生き生きした酸味、肉厚な果実味、力強さの奥にすっきりしたうまみと塩味を秘めている。ハーモニーがある。ドザージュは3g/L。93点。
最後は「ドメーヌ・アドリアン・ルノワール コトー・シャンプノワ ヴェルジー・ブラン 2023」(Domaine Adrien Renoir Coteaux Champenois Vergy Blanc 2023)は軽快で白い花、白い果実、ヘーゼルナッツ。柔らかい口当たり、チョーキーなタッチ、食欲をそそる酸、白胡椒、塩気を帯びた余韻が長い。ブランは2020、2022も造った。2樽で700本。90点。
アドリアンはヴェルジーのテロワールを誇りにしていて、嬉しそうに語る。仲間のPierre DevilleやMouzon Lerouxの話もはずんだ。
購読申込のご案内はこちら
会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!