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全日本ソムリエコンクール延期、有力ソムリエたちは既に水面下で戦い

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 3月17日、18日に予定されていた全日本最優秀ソムリエコンクールは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って延期され、5月 7日、8日にホテル雅叙園東京で開かれる。日本ソムリエ協会が2日発表した。「出場者ならびに観戦者、スタッフの健康と安全を考慮して決断した」としている。出場選手は精神・肉体面の調整を迫られるが、水面下での戦いは既に始まっている。


 全日本最優秀ソムリエコンクールは9回目。優勝者と準優勝者は2021年5月にメルボルンで開かれるアジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクールに日本代表として出場する。そこで優勝すれば、2022年5月にパリで開かれる世界最優秀ソムリエコンクールに、アジア・オセアニア代表として出場する切符を手にする。


 全日本最優秀ソムリエコンクールの二次審査は2月19日に行われ、23人が通過した。5月7日に準々決勝と準決勝が行われ、8日に決勝が行われる。


 「ロオジエ」(東京・銀座)の井黒卓、「銀座レカン」の近藤佑哉、「マンダリンオリエンタル東京」(東京・日本橋)の野坂昭彦、「Yakiniku House れんがや」(兵庫・姫路)の星山厚豪、「コンラッド東京」(東京・新橋)の森本美雪さんらが、有力選手と見られている。いずれも各種コンクールで入賞歴がある。2017年4月に行われた前回の全日本最優秀ソムリエコンクールの2位から5位は、井黒、野坂、森本、星山さんの順だった。


 中でも、今後のソムリエ業界を牽引すると見られている若手が井黒さんと森本さん。井黒さんは、職場の3つ星レストラン「ロオジエ」のシェフソムリエで日本ソムリエ協会副会長の中本聡文さんから指導を受けている。森本さんは世界最優秀ソムリエコンクールに4回連続で出場している「コンラッド東京」エグゼクティヴソムリエの森覚さんの愛弟子。語学力に優れる2人が、世界舞台での戦い方をコーチから学び、戦いに挑む。


 また、前回3位の野坂さんの安定感も見逃せない。2017年のポメリーソムリエコンクールで優勝。フレンチの名門「トゥール・ダルジャン」を経て、マンダリンオリエンタル東京のシェフソムリエとなった。トップワイナリーのワインメーカーのイベントが都内で最も多いホテルの一つで、1つ星レストランを3軒抱える。グローバルなワインリストをそろえて、欧米やアジアのVIPを接客している。

 

 近藤さんは、昨年のポメリー・ソムリエコンクールとボルドー&ボルドー・シュペリュールワイン・ソムリエコンクールで優勝。星山さんは短期間でWSETのディプロマに合格した俊英。


 コンクール出場者たちが、2週間後の本番にピークが来るように、肉体・精神面で調整していたのは間違いない。1か月半もコンクールが延期されるとペースは狂うが、緊張感を保ちながら、前向きに準備を進める精神的なタフさが求められる。そうした試練を克服するのも勝つのに必要な能力の一つだろう。


 近年の世界最優秀ソムリエコンクールは、アジア・オセアニア代表と日本代表の2人の日本人が出場するパターンが定着している。日本代表となる条件は、今回のコンクールも含めて日本最優秀ソムリエコンクールの優勝者。複数の人間が手を挙げると、公開の選考会で代表を決める。

 

 日本代表の有力候補は2人。岩田渉さんは、2017年の日本最優秀ソムリエコンクールと2018年のアジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクールを制して、2019年の世界最優秀ソムリエコンクールに出場した。既に出場の意思を表明している。4回連続出場の森覚さんは意思を明確にしていないが、もし出場を希望するなら、2人の一騎打ちとなる。


 世界のソムリエ界は、若返りが進んでいる。昨年3月のベルギー・アントワープ大会では、27歳のドイツ代表マルク・アルメルトが優勝した。日本のソムリエ界も世代交代が進んでいる。世界の頂点に立つソムリエを目指す新世代ソムリエたちの戦いが熱を帯びている。

左上から時計回りに、井黒卓、森本美雪、近藤佑哉、星山厚豪、野坂昭彦の各ソムリエ
岩田渉さん(右)と森覚さん(2018年11月)

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