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LVMHグループのワインズ&スピリッツ部門を担う企業「モエ ヘネシー」は、2020年末までにシャンパーニュの畑で除草剤を全廃し、サステイナブル農法の科学的なリサーチを行うシャンパーニュの新リサーチセンターに2000万ユーロを投資することを発表した。
モエ・ヘネシーがパリで開かれたヴィネクスポ・パリに出展し、「リビング・ソイルズ」フォーラムを行って、フィリップ・シャウスCEOが発表した。モエ・ヘネシーは世界に22ブランドを抱える。シャンパーニュには、モエ・エ・シャンドン、ドン・ペリニヨン、ヴーヴ・クリコ、ルイナール、クリュッグ、メルシエの6メゾンを抱える。
モエ・ヘネシー傘下のメゾンは1200haの自社畑だけでなく、契約農家がサステイナブルの認証を受けるための支援を行う。また、リサーチを通じて「リビングソイル・ユニバーシティ」を設立して、情報や知識を共有する。
LVMH傘下のメゾンは2018年に約6490万本を出荷した。モエ・エ・シャンドンとヴーヴ・クリコは出荷量で1番と2番目のメゾン。シャンパーニュ地方全体の総出荷量約3億190万本の2割を超すシェアを誇るグループが、除草剤の廃止に踏み切ったインパクトは大きい。
シャンパーニュの栽培面積約3万4000haのうち9割は約1万6000軒の栽培農家が所有していて、1軒の規模は小さい。冷涼で雨がちな気候もあって、除草剤や農薬に頼らざるをえないため、費用と手間のかかる有機栽培は進まない。オーガニックの認証を受けている畑は2%にすぎず、その5分の1はルイ・ロデレールが所有している。
ただ、時代の要請もあってサステイナブルを意識した農法への関心は高まっている。シャンパーニュ委員会は2003年、世界のワイン産地で初めてカーボン・フットプリントの測定を始め、醸造で使う排水や廃棄物の再利用も促進してきた。
委員会は除草剤を25年までにゼロにする計画だ。HVE(環境価値重視認定)やシャンパーニュ地方独自のサステイナブル認証「VDC」(Viticulture Durable en Champagne)などを取得するよう生産者に奨励している。
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