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ポール・ボキューズの2つ星への降格で注目されていたフランスのミシュランガイド2020の内容が27日、パリで発表され、パリの小林圭シェフ(42)の「Restaurant Kei」が日本人オーナーシェフのレストランとして、初めてフランスで3つ星に輝いた。アジアから来た若い料理人がフランス料理の頂点に立った快挙を、フランスの主要な新聞、雑誌が小林シェフの写真入りで報じている。
小林シェフは1977年、長野県で日本料理の料理人の父の下に生まれた。アラン・シャペルのドキュメンタリー番組を見てフランス料理の料理人を志した。21歳でフランスに渡り、ジル・グージョンの3つ星「オーベルジュ・デュ・ヴュー・ピュイ」など各地の星付きレストランで働き、パリの「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」で7年間働いた。最後の4年間はスーシェフを務めた。
2011年にパリ1区に「Restaurant Kei」を開店。翌年の2012年版で1つ星を獲得した。2017年には外国人オーナーシェフとして初となる2つ星を獲得した。30席。クラシックをベースに、日本人の繊細な感覚や旬の食材を複雑に融合したデリケートな料理で、日本人初の3つ星という呼声が高かった。シグネチャーディッシュの「野菜の庭園」は、季節の野菜を盛り込んだ色彩豊かな見た目にも美しいお皿で、シェフのセンスをよく表現している。
ル・モンドによると、授与式でミシュランガイド国際ディレクターのグウェンダル・プレネックが名前を呼ぶと、「イエス!イエス!イエス!ケイ」という声が自然に会場に広がったという。小林シェフは「スピーチを準備していません。大きな驚きです」と述べ、「あなたたちが受け入れて、我々の場所をくれた。ありがとう、ありがとうフランス」と挨拶した。
生粋の外国人でミシュラン3つ星を獲得したシェフは、2019年にコートダジュール・マントンにある「ミラズール」で得たマウロ・コラグレコがいる。
今回は、小林シェフのほかに新たな3つ星が2軒生まれた。 クリストファー・クータンソー・シェフが南西部で腕をふるう「ラ・ロシェル」(La Rochelle)が3つ星に昇格し、1990年に降格されたボー・ド・プロヴァンスの「ルストー・ド・ボーマニエール」(L'Ousteau de Baumaniere)がグレン・ヴィエル・シェフの下で3つ星に返り咲いた。
ラ・ロシェルはフランス南西部の港町で、クリストファー・クータンソー・シェフが、新鮮な魚介料理を供している。モナコの「ルイ・キャーンズ」(Louis XV)でシェフソムリエを務めたニコラ・ブロサールとタッグを組んでいる。
3つ星で降格されたのは、ポール・ボキューズだけ。ミシェル・ゲラールやジョルジュ・ブランら、懸念されていたベテランは3つ星を保った。ミシュランガイド国際ディレクターのグウェンダル・プレネックは「ミシュランに例外はない」と述べ、評論家やメディアからボキューズ降格に対して上がっている批判に応え、3つ星は生涯のものではないという原則を強調した。
また、ランスの田中一行シェフの「ラシーヌ」(Racine)が2つ星に昇格した。田中シェフは1985年博多生まれ。2015年にランスで妻のマリーヌさんと共に開店し、1年半で1つ星を獲得した。和の要素を取り入れた料理で、シャンパーニュの生産者や各国の常連でにぎわっている。ランス周辺には3つ星「ラシエット・シャンプノワーズがあり、2つ星「レ・クレイエール」と並ぶ存在となった。
3つ星シェフのヤニック・アレノが2019年版で1つ星を獲得したパリの「ラビス・オ・パヴィヨン・ルドワイヤン」(L’Abysee au Pavillon Ledoyen)も2つ星に昇格した。アレノが3つ星のパヴィヨン・ルドワイヤン内で経営するこの寿司レストランでは、アレノが東京でスカウトした岡崎泰也シェフが寿司を握っている。日本人シェフの技術と感性がますます注目されている。
新たな1つ星は49軒、2つ星は11軒。かつての3つ星から1つ星に降格されていたパリの「タイユヴァン」(Le Taillevent)はシェフのダヴィッド・ビゼとソムリエのアントワーヌ・ペトリュスのコンビで2つ星に昇格した。
2020年版の星付きレストランの数は、掲載された3439軒のうち計628軒で2019年の632よりわずかに減ったが、2018年の621より増えた。ミシュラン3つ星は世界で130軒。
また、パリのフォー・シーズンズ・ジョルジュV・ホテル内の3つ星「ル・サンク」のソムリエで支配人のエリック・ボーマールが、ミシュラン・ソムリエ・アワードを受賞した。ボーマールは1998年の世界最優秀ソムリエコンクールで準優勝した。
2020年版の3つ星レストランは以下の通り。
「レストラン・クリストフ・バキエ」(クリストフ・バキエ) 2018年から ル・カステレ ヴァール
「ラムロワーズ」(エリック・プラ) 2007年から シャニー ソーヌ・エ・ロワール
「ル・1947・オー・シュヴァル・ブラン」(ヤニック・アレノ) 2017年から クールシュヴェル サヴォワ
「レ・プレ・ドゥジェニー」(ミシェル・ゲラール) 1977年から ウジェニー・レ・バン ランド
「オーベルジュ・デュ・ヴュー・ピュイ」(ジル・グージョン) 2010年から フォンジュクス オード
「ル・プティット・ニース」(ジェラール・パセダ) 2008年から マルセイユ
「フロコン・ド・セル」(エマニュエル・ルノ) 2012年から メジェーヴ サヴォワ
「ル・クロ・デ・センス」(ローラン・プティ) 2019年から アヌシー サヴォワ
「ラ・ロシェル」(クリストファー・クータンソー) 2020年から シャラント・マリティーム
「ミラズール」(マウロ・コラグレコ) 2019年から マントン コートダジュール
「ルイXV・アラン・デュカス」(アラン・デュカス) 2003年から モンテカルロ モナコ
「レストラン ケイ」(小林圭) 2020年から パリ1区
「ランブロワジー」(ベルナール・パコー) 1988年から パリ4区
「ギィ・サヴォワ」 2002年から パリ6区
「アルページュ」(アラン・パッサール) 1996年から パリ7区
「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」(アラン・デュカス) 2016年から パリ8区
「ル・サンク」(クリスチャン・ル・スケール) 2016年から パリ8区
「エピキュール・ア・ロテル・ブリストル」(エリック・フレション) 2009年から パリ8区
「アレノ・パリ・オー・パヴィヨン・ルドワイヤン」(ヤニック・アレノ) 2015年から パリ8区
「ピエール・ガニェール」 1998年から パリ8区
「ル・プレ・カトラン」(フレデリック・アントン) 2007年から パリ16区
「ラシエット・シャンプノワーズ」(アルノー・ラルマン) 2014年から ティンクエ シャンパーニュ
「トロワグロ」(ミシェル・トロワグロ) 1968年から ロアンヌ ロワール
「レジス・エ・ジャック・マルコン」 2005年から サン・ボネ・ル・フロワ オー・ロワール
「ラ・ブイット」(ルネ&マキシム・メイユール) 2015年から サン・マルタン・ド・ベルヴィル サヴォワ
「ウストー・ド・ボーマニエール」(グレン・ヴィエル) 2020年から ボー・ド・プロヴァンス
「ラ・ヴァーグ・ドール」(アルノー・ドンケル) 2013年から サン・トロペ
「ピック」(アンヌ・ソフィー・ピック) 2007年から ヴァランス ドローム
「ジョルジュ・ブラン」 1981年から ヴォナス アン
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