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シャトー・マルゴー、サードワイン2009お披露目

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 ボルドー1級シャトー・マルゴーのポール・ポンタリエ総支配人が来日し、17日、東京・新橋のホテル・コンラッドで、サードワイン「マルゴー・デュ・シャトー・マルゴー」のお披露目と、2013年ヴィンテージのバレル・サンプルの試飲会を行った。

 シャトーはこれまで、グランヴァンのシャトー・マルゴーとセカンドのパヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー、白ワインのパヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴーしか生産せず、基準に届かないワインはバルクワインとして売却してきた。1997年からサードワインのためのセレクションはしてきたが、2009年の品質が素晴らしかったため、新たなキュヴェとして始めることにした。英国では昨年に発表されていた。

 パヴィヨン・ルージュが1908年、パヴィヨン・ブランが1920年の発売で、約1世紀ぶりの新ワイン導入となる。生産比率はグラン・ヴァンとセカンドが3分の1ずつ、サードが6分の1、残り6分の1は売却する。ネゴシアン部門を備える1級のオーブリオン、ラフィット&ムートン・ロートシルトはセカンドに使えないワインをネゴスのワインに使うが、マルゴーとラトゥールはネゴシアン部門がないため、サードワインを独立させて、ブランド化するマーケティング戦略をとる。

 「歴史的な転換となる。1997年からサードワイン用の選別はしてきたが、2009年は瓶詰めして良かったので発売を決めた。生産量は4万本。日本ではレストランに8割を振り向ける。若者に手の届く価格設定を意識した。レストランでの販売価格は1万5000円を希望している」と、オーレリアン・ヴァランス販売担当役員。

 まるくて、バランスがよい。09年の濃密さはそのままに、統合されたタンニン、花や炭の香り、マルゴーらしい抜けの良さがある。90年代のパヴィヨン・ルージュに匹敵する。デカンタージュせずに、そのまま楽しみたい。メルロ50%、カベルネ・ソーヴィニヨン40%、残りはプティ・ヴェルド。茶色のラベルだ。

 日本での正規輸入元は、エノテカ、ファインズ、徳岡、モトックスの4社。エノテカは21日から1万円で販売する予定。

 このお披露目に合わせた趣向として、異例のアッサンブラージュ前のバレルサンプル試飲が実現した。1級シャトーが3月末に始まるプリムール商戦前に、サンプルを公開するのは初めて。現地ではちょうどアッサンブラージュの作業中で、史上初の試みだ。

 「13年は難しい年。開花が不安定で、9月にカビが広がり、収穫量は大きく減った。こういう年こそ、テロワールの差が出る。カベルネ・ソーヴィニヨンの年だ。94%を使い、プティ・ヴェルドは1%程度。カベルネ・フランは樽が強すぎて持ってこなかった」とポンタリエ氏。

 サンプルは(1)カベルネ・ソーヴィニヨン・ル・ミュール(Le Mur) キュヴェ№43(2)カベルネ・ソーヴィニヨン・レ・パンテ(Les Pantes) キュヴェ№19(3)カベルネ・ソーヴィニヨン・プシュ・センペイユ(Puch Sempeyre) キュヴェ№20(4)プティ・ヴェルド・メレ(Mellet) キュヴェ№50の4種。(1)は粘土の混じった小石混じり土壌、(2)と(3)は小石主体、(4)は料理のスパイス的な役割を果たすという説明だった。

 (1)はやや粗くて太いタンニンで柔らかい。(2)は優しさと香りの高さがあり、マルゴーらしい個性。(3)は濃度と太さがあり、そこに長さが加わる。背骨がしっかりしている。(4)は濃度と酸が強く、フレッシュだが、タンニンは落ち着いていない。

 日本ソムリエ協会の石田博氏のコメントは「(1)がフレッシュでチャーミング。(2)は厚みがあり、酸が余韻を伸ばす。(3)は長さと複雑性がある。(4)は酸と甘みが強い」。

 今年のプリムール商戦について、ポンタリエ氏は「生産者によって千差万別の挑戦的なヴィンテージ。テロワールの違いが表れた。これからアッサンブラージュを進める。仕上がりを見ていて欲しい」と自信を見せた。

 パヴィヨン・ブラン・デュ・シャトー・マルゴー2011、パヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴー2004、シャトー・マルゴー1999も供された。ソーヴィニヨン・ブラン100%で、収穫量の3分の1のみ詰めたパヴィヨン・ブランはユリ、ハーブ、白桃のコンポートなどが豪華に香るリッチな仕上がり。ポールの息子でアジア担当(香港駐在)のティボーは「セカンドワインでなく、グランヴァンだ」と。

 パヴィヨン・ルージュは、熟成香が出始めたところで、きめ細かなタンニンに支えられたしなやかな口当たり。マルゴーは99は湿った土、キノコ、焼き栗の香り。優しさと柔らかさの中に1本筋が通っている。

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