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フランスのマクロン大統領は、発がん性をめぐって議論を呼んでいるグリフォサートをベースにした除草剤を、2021年までにフランスの農地から根絶する方針を、2月にパリで開かれた農業見本市で表明した。
マクロン大統領は「我々はグリフォサートを使わない畑を世界で初めて持てると信じている」と発言した。フランス当局は今年1月、ラウンドアップと関連商品の販売を禁止している。
グリフォサートは米国の大手バイオ化学メーカーのモンサントが1970年代に「ラウンドアップ」の商品名で発売し、農業やブドウ栽培で幅広く使われている。現在の販売権は、モンサントを買収したドイツ製薬大手バイエルが保有する。WHO(世界保健機関)の研究で発がん性が指摘とされたが、その後に発がん性を否定する研究結果も発表されている。カリフォルニア州は2017年7月、グリフォサートを発がん性物質に加えた。
農薬を排除する動きはフランスで徐々に進んでいる。ボルドーのサンテミリオンと衛星アペラシオンの生産者団体は、2019ヴィンテージから、オーガニックかビオディナミのようなサステイナブル農法で栽培するブドウからワインを生産しなければならないとする規定を定めた。だが、グリフォサートに替わる農薬がないのが現状で、INRA(フランス国立農学研究所)や生産者団体が代替品の開発に取り組んでいる。
グリフォサートは160か国で使われている。米国の公益擁護団体「US PIRG」が、5つのワインと15ビールの計20アルコール飲料を調査したところ、19品からごく少量のグリフォサートが検出された。クアーズライト、バドワイザー、ベリンジャー、サターホームなどの有名ブランドも含まれる。検出量は米国とEUの食品安全基準をはるかに下回り、人間の健康には影響がない。
調査レポートによると、飲料からの検出量は穀物からの量より少ないが、オーガニックの全粒穀物パンやクラッカーからも検出された。これは成分が空気中を漂流し、川や雨を通じて地中に浸透するためとみられる。グリフォサートは幅広い食物連鎖に浸透している。
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