- FREE
1月31日はシャンボル・ミュジニーの日だった。
ヴォギュエは外したが、朝9時からジャック・フレデリック・ミュニエとジョルジュ・ルーミエを連続で。いずれも世界で最もエレガントなピノ・ノワールの造り手だが、とりわけミニュエは脱帽だった。
10年も前か、イタリアのワイン商マルク・ディ・グラッツィアと話していたら、お気に入りがミュニエだった。バローロ・ボーイズを売り出した彼のイメージと合わなかったのだが、このエレガンスを愛していたのだろう。今ならわかる。
ミュジニーは飲むだけで、宇宙が現出するワインだ。
砂漠に登場した、いわばピラミッド。壮大すぎて全体像がつかめない。近すぎるとなおさら。中に入ったら、そのスケールに圧倒され、迷いを覚える。これはまさにワインを超えている。巨大な迷路だ。つかもうとするりとこぼれおちる。
ミュニエも「そう。ワインは飲み物だが、このミュジニーはワイン以上のものを含んでいる。自然とのつながりを翻訳するのが私の仕事」と。
実際、個人のちいさな体験で測るのは無理がある。そう思った。
巨大な球体。よくそういう表現が使われるが陳腐だと思った。
このワインは、あるべきものがあるべき位置にある。秩序だって配置されているのだ。そのスケールが大きすぎて、我々の想像力を超えている。おそらく半世紀も越えて成長するだろう。
かつて飲んだ1972のヴォギュエのミュジニーがそうだったように。
11しかないバレルの2012は魔法陣のように、セラーの中心で睥睨していた。フレディが無言でボトルを持ってきた。「ミュジニー2006」。彼が小声でつぶやく前から、オーラすら漂っていた。そんな液体の宝石が現れるとは。震えながら飲んだ。
「まさにホーリー・グレイル(聖杯)」
フレデリックははにかみながらうなずいた。エンジニア出身の恥ずかしがり屋なのだ。だが、ディテールを突き詰める鬼でもある。
このミュジニーは生きとし生けるものをすべて抱合して、屹立している。すごみすらあるエレガンスの塊だった。
朝からすごいものを体験して、腑抜けになったが、元気を出して、隣のジョルジュ・ルーミエへ。
ヴォギュエは外したが、朝9時からジャック・フレデリック・ミュニエとジョルジュ・ルーミエを連続で。いずれも世界で最もエレガントなピノ・ノワールの造り手だが、とりわけミニュエは脱帽だった。
10年も前か、イタリアのワイン商マルク・ディ・グラッツィアと話していたら、お気に入りがミュニエだった。バローロ・ボーイズを売り出した彼のイメージと合わなかったのだが、このエレガンスを愛していたのだろう。今ならわかる。
ミュジニーは飲むだけで、宇宙が現出するワインだ。
砂漠に登場した、いわばピラミッド。壮大すぎて全体像がつかめない。近すぎるとなおさら。中に入ったら、そのスケールに圧倒され、迷いを覚える。これはまさにワインを超えている。巨大な迷路だ。つかもうとするりとこぼれおちる。
ミュニエも「そう。ワインは飲み物だが、このミュジニーはワイン以上のものを含んでいる。自然とのつながりを翻訳するのが私の仕事」と。
実際、個人のちいさな体験で測るのは無理がある。そう思った。
巨大な球体。よくそういう表現が使われるが陳腐だと思った。
このワインは、あるべきものがあるべき位置にある。秩序だって配置されているのだ。そのスケールが大きすぎて、我々の想像力を超えている。おそらく半世紀も越えて成長するだろう。
かつて飲んだ1972のヴォギュエのミュジニーがそうだったように。
11しかないバレルの2012は魔法陣のように、セラーの中心で睥睨していた。フレディが無言でボトルを持ってきた。「ミュジニー2006」。彼が小声でつぶやく前から、オーラすら漂っていた。そんな液体の宝石が現れるとは。震えながら飲んだ。
「まさにホーリー・グレイル(聖杯)」
フレデリックははにかみながらうなずいた。エンジニア出身の恥ずかしがり屋なのだ。だが、ディテールを突き詰める鬼でもある。
このミュジニーは生きとし生けるものをすべて抱合して、屹立している。すごみすらあるエレガンスの塊だった。
朝からすごいものを体験して、腑抜けになったが、元気を出して、隣のジョルジュ・ルーミエへ。
購読申込のご案内はこちら
会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!