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ルソーを再評価、冷涼さ映すシャンベルタン2012

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 アルマン・ルソーを、正直言って過小評価していた。

 デュガ・ピィが、ジュブレ・シャンベルタンで最高の造り手と思っていたが、少し修正しなければいけない。ルソーも決して劣らないと。生産量が多いから、キュヴェによって少し揺れがあるのだが。

 興味深かったのは、2012のバレル試飲で、シャンベルタンとクロ・ド・ベーズの比較。シャンベルタンの方がコンブ(扇状地)の冷たい空気の影響を受けるので、タイトでミネラリーに仕上がる。クロ・ド・ベーズの方が早くから開いている。よく言われることだが、まさにそうだった。

 クロ・ド・ベーズの方が新樽の影響が強いため、試飲の順番は先。これはヴィンテージにより、進化の度合いにより変わるらしい。シャンベルタンが先の場合ももちろんある。シャンベルタンは口中に豊かな液体を注ぎこまれたようで、心も体も満たされる。確かに、シャンベルタンの方が統合されていて、今は近づきやすい。

 このドメーヌで凄いのは、ドメーヌを今の地位にもってきたシャルル・ルソーがいまだに現役なこと。90歳のシャルルは入り口わきの部屋に10時に来ていた。56歳のシャルルに口を出すでもなく、いることに意味があるという。企業でいえば相談役。存在感がドメーヌに緊張感を与える。

 農家も企業も、意外に本質は変わらないかもしれない。

 と思ったが、社外取締役がいることによって、健全な経営を保つのがグローバル・スタンダード。ジュブレ・シャンベルタンの片隅で、世界に通用するワインを生産している生産者には余計なお世話だろう。家族経営の強みは、継続性と判断の速さだ。それは長年培ったワイン造りの知恵の集積でもある。素晴らしいワインを飲んだ後に、少し難しいことを考えてしまった。

 シャンベルタンが男性的。と考えるのはあまりに単純だ。モレ・サン・ドニのロベール・グロフィエに聞けば、クロ・ド・ベーズはボンヌ・マールより涼しい畑から生まれるということになる。確かに、両者を比べれば、クロ・ド・ベーズはコンブの影響から逃れられない。ボンヌ・マールは暖かい気候を映す。それがテール・ブランシュであれ、テール・ルージュであれ。

 コート・ド・ニュイの生産者を回っていると、一般論の意味のなさを思い知る。

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