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スペインワインで最も信頼している評論家は、ルイス・グティエレス(ロバート・パーカーズ・ワイン・アドヴォケイト)とティム・アトキンMWである。2人とも生産者から信頼されている。マドリッド在住のルイスは、「ジャンシス・ロビンソン・コム」のスペイン通信員も務めたことがあり、スペインとポルトガルに特化して、精力的に執筆している。英国在住のティムは30年近くスペインの取材を続け、毎年、リオハの格付けを発表している。MWらしいグローバルなビジョンに基づく分析力と鋭い試飲能力を誇る。
そのティムが2018年の格付けで1級に選んだ生産者は14社。ワインメーカー・オブザ・イヤーにボデガス・ムガのホルヘ・ムガが輝き、「オーバーオール・レッド・ワイン・オブ・ザ・イヤー」に「ムガ アロ 2010」を選んだ。本社はアロの駅に隣接するバリオ・デ・ラ・エスタシオン地区にあり、隣はリオハ・アルタ、わきの道路を登るとヴィニャ・トンドニアとロダ、線路を隔てた向かいはクネと重要なボデガが集中している。
ムガのボデガスは1932年に設立されたが、元々は栽培農家である。320haの自社畑を有し、150haの契約農家から供給を受ける。主にリオハ・アルタに広がる畑は粘土石灰質土壌がベース。地中海、大西洋、大陸製気候の影響を受ける。赤はテンプラニーリョ、ガルナッチャ、マスエロ、グラシアーノ、白はビウラ、マルヴァジアを栽培している。
ここでの見ものは自家製の樽工房。3人の職人が全量の15%に当たる約2000もの樽を製造する。200の小樽と1万4000ものカスクがワインの熟成に使われている。フランス産樽材が80%を占め、残りはアメリカン。醸造は伝統的な手法に従い、4か月ごとにラッキングを行う。清澄は卵白で。
ムガは5人の兄弟が率いている。その1人で輸出担当のエドワルドと一緒に試飲した。ここのお買い得はベーシックな白と赤にある。上級キュヴェはモダンタッチと伝統的な大樽による造りをミックスしている。
「ボデガス・ムガ ブランコ 2017」(Bodegas Muga Blanco 2017)はビウラ90%、ガルナッチャ・ブランカとマルヴァジア10%。レモンの皮、さわやかな柑橘、新鮮なハーブ、キレのある酸、まろやかで、クリーミィなパレット、リフレッシュさせられる。湿度の高い日本の夏に合いそうな白。60%は6000Lの大樽、40%はフレンチ新樽で発酵、3か月間はバトナージュしている。88点。お買い得の2400円。
「ボデガス・ムガ レセルバ 2014」(Bodegas Muga Reserva 2014)は明るいルビー、ほのかなヴァニラ、フローラルで、ザクロ、レッドチェリー、軽やかな果実、しなやかなテクスチャー、統合されたパレットは塩気を帯びている。フレッシュで、ミネラル感あるフィニッシュ。バランスがよく、つい2杯目に手が出るリオハの教科書。テンプラニーリョ70%、ガルナッチャ20%、マスエロとグラシアーノ10%。65%は自社畑。225Lのアメリカンとフレンチのカスクで24か月間の熟成。89点。
レセルバ・セレクション・エスペシャルは、標高の高いテラスの畑から低収量で摘み、野生酵母で発酵。29か月間熟成している。レセルバより凝縮度が強い。
「ボデガス・ムガ レセルバ・セレクション・エスペシャル 2014」(Bodegas Muga Reserva Seleccion Especial 2014)は濃いめのルビー、ダークチェリー、鉛筆の芯、シルキーで、よく熟したタンニンはなめらか、高めの酸と果実が、バランスよく統合されている。濃密で、タイトだが、よく伸びるフィニッシュ。92点。
「ボデガス・ムガ レセルバ・セレクション・エスペシャル 2012」(Bodegas Muga Reserva Seleccion Especial 2012)はフレッシュ感が際立っている。肉厚で、レッドチェリー、黒鉛、ハモンイベリコのうまみ、果実とオークがきれいに溶け合ったモダンなスタイル。湿った土のアロマ、ジューシーなフィニッシュ。92点。
良作年にサハサラ(SAJAZARRA)の畑から造られる古典的なワインが、プラド・エネア・グラン・レセルバ。フラッグシップといっていい。テンプラニーリョ80%とガルナッチャ、マスエロ、グラシアーノ20%。最低36か月間の大樽熟成と最低36か月間の瓶熟成。樽職人はこのワイン専用の樽を造る。こちらはややモダンなタッチ。
「ボデガス・ムガ プラド・エネア グラン・レセルバ 2010」(Bodegas Muga Prado Enea Gran Reserva 2010)はレッドチェリー、ナッティなイベリコハム、厚みあるタンニンとはちきれんばかりの果実、高い熟度と高めの酸が統合されている。豊満で、凝縮度は高い。深い情感を呼び覚ますような奥行きがあり、塩気を帯びたフィニッシュは長い。95点。
「ボデガス・ムガ プラド・エネア グラン・レセルバ 2004」(Bodegas Muga Prado Enea Gran Reserva 2004)は、淡い色調でまだ若々しい。濃密で、グラスを回すと腐葉土、黒オリーブのタップナード、ブラウン・スパイス、ハーモニアスなパレット、焦点のあったフィニッシュ。2010より古典的で、うまみがたっぷり。96点。7500円。
トレ・ムガはEl Estepal(エル・エステパル)、La Loma(ラ・ロマ)、Baltracones(バルトラコネ)、La Loma Alta(ラ・ロマ・アルタ)、Sajazarra(サハサラ)のトップ畑から選りすぐったブドウから。テンプラニーリョ75%、マスエロ15%、グラシアーノ10%。大樽で発酵し、フレンチカスクで18か月間の熟成。1991年に始めた。
「ボデガス・ムガ トレ・ムガ 2014」(Bodegas Muga Torre Muga 2014)はブラックチェリー、木炭、パワフルでモダンなスタイル。ジューシーで、香り高く、開放的。現時点では濃厚で、タイト。93点。1万3000円。
「ボデガス・ムガ トレ・ムガ 2015」(Bodegas Muga Torre Muga 2015)は明るさがあり、濃厚だが、ピュア。ボルドー的で、がっしりしたストラクチャーとミンティなフレッシュ感がきれいに統合されている。モダンリオハの一つの形。94点。
最後にうれしいサプライズ。エドワルドの誕生年の1976年のグラン・レセルバをライブラリーから取り出してきた。「ボデガス・ムガ グラン・レセルバ 1976」(Bodegas Muga Gran Reserva 1976)は淡いルビー、ドライナッツ、コアントロー、タバコ、キノコのダシ、ほっそりとしたボディ、松茸のお吸い物のようなうまみが精妙なパレットに広がる。熟成したリオハの清涼感を伴う複雑感を体験した。91点。
古典から現代まで多彩なスタイルを造り分けているのがムガの面白みであり、古いリオハの熟成力も確認できた。
輸入元はジェロボーム。
そのティムが2018年の格付けで1級に選んだ生産者は14社。ワインメーカー・オブザ・イヤーにボデガス・ムガのホルヘ・ムガが輝き、「オーバーオール・レッド・ワイン・オブ・ザ・イヤー」に「ムガ アロ 2010」を選んだ。本社はアロの駅に隣接するバリオ・デ・ラ・エスタシオン地区にあり、隣はリオハ・アルタ、わきの道路を登るとヴィニャ・トンドニアとロダ、線路を隔てた向かいはクネと重要なボデガが集中している。
ムガのボデガスは1932年に設立されたが、元々は栽培農家である。320haの自社畑を有し、150haの契約農家から供給を受ける。主にリオハ・アルタに広がる畑は粘土石灰質土壌がベース。地中海、大西洋、大陸製気候の影響を受ける。赤はテンプラニーリョ、ガルナッチャ、マスエロ、グラシアーノ、白はビウラ、マルヴァジアを栽培している。
ここでの見ものは自家製の樽工房。3人の職人が全量の15%に当たる約2000もの樽を製造する。200の小樽と1万4000ものカスクがワインの熟成に使われている。フランス産樽材が80%を占め、残りはアメリカン。醸造は伝統的な手法に従い、4か月ごとにラッキングを行う。清澄は卵白で。
ムガは5人の兄弟が率いている。その1人で輸出担当のエドワルドと一緒に試飲した。ここのお買い得はベーシックな白と赤にある。上級キュヴェはモダンタッチと伝統的な大樽による造りをミックスしている。
「ボデガス・ムガ ブランコ 2017」(Bodegas Muga Blanco 2017)はビウラ90%、ガルナッチャ・ブランカとマルヴァジア10%。レモンの皮、さわやかな柑橘、新鮮なハーブ、キレのある酸、まろやかで、クリーミィなパレット、リフレッシュさせられる。湿度の高い日本の夏に合いそうな白。60%は6000Lの大樽、40%はフレンチ新樽で発酵、3か月間はバトナージュしている。88点。お買い得の2400円。
「ボデガス・ムガ レセルバ 2014」(Bodegas Muga Reserva 2014)は明るいルビー、ほのかなヴァニラ、フローラルで、ザクロ、レッドチェリー、軽やかな果実、しなやかなテクスチャー、統合されたパレットは塩気を帯びている。フレッシュで、ミネラル感あるフィニッシュ。バランスがよく、つい2杯目に手が出るリオハの教科書。テンプラニーリョ70%、ガルナッチャ20%、マスエロとグラシアーノ10%。65%は自社畑。225Lのアメリカンとフレンチのカスクで24か月間の熟成。89点。
レセルバ・セレクション・エスペシャルは、標高の高いテラスの畑から低収量で摘み、野生酵母で発酵。29か月間熟成している。レセルバより凝縮度が強い。
「ボデガス・ムガ レセルバ・セレクション・エスペシャル 2014」(Bodegas Muga Reserva Seleccion Especial 2014)は濃いめのルビー、ダークチェリー、鉛筆の芯、シルキーで、よく熟したタンニンはなめらか、高めの酸と果実が、バランスよく統合されている。濃密で、タイトだが、よく伸びるフィニッシュ。92点。
「ボデガス・ムガ レセルバ・セレクション・エスペシャル 2012」(Bodegas Muga Reserva Seleccion Especial 2012)はフレッシュ感が際立っている。肉厚で、レッドチェリー、黒鉛、ハモンイベリコのうまみ、果実とオークがきれいに溶け合ったモダンなスタイル。湿った土のアロマ、ジューシーなフィニッシュ。92点。
良作年にサハサラ(SAJAZARRA)の畑から造られる古典的なワインが、プラド・エネア・グラン・レセルバ。フラッグシップといっていい。テンプラニーリョ80%とガルナッチャ、マスエロ、グラシアーノ20%。最低36か月間の大樽熟成と最低36か月間の瓶熟成。樽職人はこのワイン専用の樽を造る。こちらはややモダンなタッチ。
「ボデガス・ムガ プラド・エネア グラン・レセルバ 2010」(Bodegas Muga Prado Enea Gran Reserva 2010)はレッドチェリー、ナッティなイベリコハム、厚みあるタンニンとはちきれんばかりの果実、高い熟度と高めの酸が統合されている。豊満で、凝縮度は高い。深い情感を呼び覚ますような奥行きがあり、塩気を帯びたフィニッシュは長い。95点。
「ボデガス・ムガ プラド・エネア グラン・レセルバ 2004」(Bodegas Muga Prado Enea Gran Reserva 2004)は、淡い色調でまだ若々しい。濃密で、グラスを回すと腐葉土、黒オリーブのタップナード、ブラウン・スパイス、ハーモニアスなパレット、焦点のあったフィニッシュ。2010より古典的で、うまみがたっぷり。96点。7500円。
トレ・ムガはEl Estepal(エル・エステパル)、La Loma(ラ・ロマ)、Baltracones(バルトラコネ)、La Loma Alta(ラ・ロマ・アルタ)、Sajazarra(サハサラ)のトップ畑から選りすぐったブドウから。テンプラニーリョ75%、マスエロ15%、グラシアーノ10%。大樽で発酵し、フレンチカスクで18か月間の熟成。1991年に始めた。
「ボデガス・ムガ トレ・ムガ 2014」(Bodegas Muga Torre Muga 2014)はブラックチェリー、木炭、パワフルでモダンなスタイル。ジューシーで、香り高く、開放的。現時点では濃厚で、タイト。93点。1万3000円。
「ボデガス・ムガ トレ・ムガ 2015」(Bodegas Muga Torre Muga 2015)は明るさがあり、濃厚だが、ピュア。ボルドー的で、がっしりしたストラクチャーとミンティなフレッシュ感がきれいに統合されている。モダンリオハの一つの形。94点。
最後にうれしいサプライズ。エドワルドの誕生年の1976年のグラン・レセルバをライブラリーから取り出してきた。「ボデガス・ムガ グラン・レセルバ 1976」(Bodegas Muga Gran Reserva 1976)は淡いルビー、ドライナッツ、コアントロー、タバコ、キノコのダシ、ほっそりとしたボディ、松茸のお吸い物のようなうまみが精妙なパレットに広がる。熟成したリオハの清涼感を伴う複雑感を体験した。91点。
古典から現代まで多彩なスタイルを造り分けているのがムガの面白みであり、古いリオハの熟成力も確認できた。
輸入元はジェロボーム。
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