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オーストラリア南東部に位置するヴィクトリア州。メルボルンを州都に抱える最も小さな州だが、大陸で最も冷涼なワイン産地でもある。1987年にドメーヌ・シャンドンがヤラ・ヴァレーを本拠に定め、スパークリングワインの基地とした例を引くまでもなく、優れたピノ・ノワールとシャルドネの産地が、いたるところにある。
メルボルンから北西に上ったマセドン・レンジは、ビンディやカーリー・フラットが産地の可能性を示した。メルボルンの南西に広がるモーニントン半島は、ポート・フィリップ湾の冷涼な海風の影響を強く受けている。ピノ・ノワール・セレブレーションが開かれるほどのピノのメッカだが、ピノ・グリやシャルドネも成功している。パリンガ、クーヨン、オーシャン・エイトなど、次々と新しい生産者が登場している。対岸のジーロングも海風の影響を受け、バイ・ファーなどピノ・ノワールに注力する生産者が多い。
東部の内陸にあるビーチワースでは、ジャコンダがローヌ品種でも冴えを見せ、ソレンバーグは卓越したガメイも手がける。少量生産ながら、ヴィクトリア州を語るときに欠かせない生産者たちだ。さらに東に向かったギプスランドには伝説的なバス・フィリップがいる。全く逆の西に向かえば、ヨーロッパで最も冷涼な産地と同じくらい冷涼なヘンティがあり、リースリングが成功している。
何よりもヤラ・ヴァレーを見逃すわけにはいかない。ヤラ・イエリングのような産地の伝統を築いた生産者がいる一方で、メイヤーのような新たな才能も現れている。ピノ・ノワールの里だが、全房発酵を取り入れたシラーズの産地としても注目されている。
傑出は産地別試飲で最多の7銘柄
オーストラリアを特色づける多様性は、ヴィクトリア州にもよくあてはまる。ビッグ・フレーバーのオールドウェイヴもあれば、全房発酵を取り入れたニューウィエヴもある。ヨーロッパほど法規定が厳しくないため、醸造スタイルも多岐にわたる。追いかけきれないほどたくさんの生産者が登場するエキサイティングな産地の一つだ。
今回はオーストラリアで最も影響力のあるジャーナリストの1人マイク・ベニーをテイスターに迎えて、ヴィクトリア州のピノ・ノワールとシャルドネの代表的な生産者を集めて試飲した。歩くオーストラリアワイン事典のようなマイクとの試飲は、刺激的かつ発見に満ちていた。品切れしていた有名生産者も多かったが、平均的な水準の高さに印象づけられた。傑出はこれまでの産地別試飲で最多の7銘柄だった。
傑出のワインはこちらhttps://www.winereport.jp/archive/1609/
優良のワインはこちらhttps://www.winereport.jp/archive/1610/
山本昭彦
ヴィクトリアはきわめて涼しい。オーストラリアでブルゴーニュ品種の可能性を初めて発見した産地だ。マセドン、ヤラ・ヴァレー、モーニントン半島など、テロワールは異なるが、どこも現在の新世界の生産者が求める方向を模索している。早詰み寄りの適切な熟度での収穫、賢明な樽使い、ピノ・ノワールの全房発酵の導入と、どれをとっても、造り手たちの蓄積と情熱がうかがえる。全体にシャルドネの方が成功している。高騰するブルゴーニュの代替になる。注視し続けたい産地である。
大橋健一MW
ヴィクトリアのワインは価格帯が高い。低品質なワインはほぼ存在しないだろうと思っていたが、予想通りだった。基本的にミネラリーであり、バランスがとれた樽のキャラクターが幾分高いかとも思っていたが、過度に強いものもなく非常に適正だった。世界のシャルドネとブラインドで比較しても、すぐにわかるであろう明確なキャラクターは存在する。一方で、キャラクターが際立つ、図抜けた評価を与えられるワインがないのは残念だった。
大越基裕
ヴィクトリアより冷涼でタイトなタスマニアに比べると、もっと果実が先行するかと思っていたが、酸の表現が豊かなものが多かった。フレッシュで、ミネラル感があり、凝縮していても重くない。今の市場に求められているスタイルだ。様々なタイプがあり、マイクロ・クライメットの違いを楽しめた。和食の合わせは工夫がいるが、アジアの果実を使うソースとは面白い。ただ、明確な酸がフレーバーを切ってしまい、点数は極端に伸びなかった。オーシャンエイトのようなウマミが乗るタイプは点数が高くなる。
マイク・ベニー
1980、90年台はビッグフレーバーのシャルドネが多かった。この10年間でやせて、硫化物のニュアンスもあるエレガントなスタイルに変わった。今回のテイスティングはよいワインがそろった。2015年のヤラ・ヴァレーのシャルドネは世紀のヴィンテージと言われたが、ゆっくり熟して、控えめで、バランスのよいナチュラルな表現になっていた。私のトップ評価はヤラ・イエリング、マウント・メアリー、ホッフキルシュ、ボバー。ピュリニー・モンラッシェの2倍の価値がある。ピノ・ノワールは全房発酵を取り入れ、セイバリーで、ワイルドな表現に向かっている。タリントン・ヴィンヤード、ヤラ・イエリングは傑出していて、ホドルスクリークも良かった。ヨーロッパに年間2か月はいるが、ここ10年間はオーストラリアしか飲まない。
メルボルンから北西に上ったマセドン・レンジは、ビンディやカーリー・フラットが産地の可能性を示した。メルボルンの南西に広がるモーニントン半島は、ポート・フィリップ湾の冷涼な海風の影響を強く受けている。ピノ・ノワール・セレブレーションが開かれるほどのピノのメッカだが、ピノ・グリやシャルドネも成功している。パリンガ、クーヨン、オーシャン・エイトなど、次々と新しい生産者が登場している。対岸のジーロングも海風の影響を受け、バイ・ファーなどピノ・ノワールに注力する生産者が多い。
東部の内陸にあるビーチワースでは、ジャコンダがローヌ品種でも冴えを見せ、ソレンバーグは卓越したガメイも手がける。少量生産ながら、ヴィクトリア州を語るときに欠かせない生産者たちだ。さらに東に向かったギプスランドには伝説的なバス・フィリップがいる。全く逆の西に向かえば、ヨーロッパで最も冷涼な産地と同じくらい冷涼なヘンティがあり、リースリングが成功している。
何よりもヤラ・ヴァレーを見逃すわけにはいかない。ヤラ・イエリングのような産地の伝統を築いた生産者がいる一方で、メイヤーのような新たな才能も現れている。ピノ・ノワールの里だが、全房発酵を取り入れたシラーズの産地としても注目されている。
傑出は産地別試飲で最多の7銘柄
オーストラリアを特色づける多様性は、ヴィクトリア州にもよくあてはまる。ビッグ・フレーバーのオールドウェイヴもあれば、全房発酵を取り入れたニューウィエヴもある。ヨーロッパほど法規定が厳しくないため、醸造スタイルも多岐にわたる。追いかけきれないほどたくさんの生産者が登場するエキサイティングな産地の一つだ。
今回はオーストラリアで最も影響力のあるジャーナリストの1人マイク・ベニーをテイスターに迎えて、ヴィクトリア州のピノ・ノワールとシャルドネの代表的な生産者を集めて試飲した。歩くオーストラリアワイン事典のようなマイクとの試飲は、刺激的かつ発見に満ちていた。品切れしていた有名生産者も多かったが、平均的な水準の高さに印象づけられた。傑出はこれまでの産地別試飲で最多の7銘柄だった。
傑出のワインはこちらhttps://www.winereport.jp/archive/1609/
優良のワインはこちらhttps://www.winereport.jp/archive/1610/
山本昭彦
ヴィクトリアはきわめて涼しい。オーストラリアでブルゴーニュ品種の可能性を初めて発見した産地だ。マセドン、ヤラ・ヴァレー、モーニントン半島など、テロワールは異なるが、どこも現在の新世界の生産者が求める方向を模索している。早詰み寄りの適切な熟度での収穫、賢明な樽使い、ピノ・ノワールの全房発酵の導入と、どれをとっても、造り手たちの蓄積と情熱がうかがえる。全体にシャルドネの方が成功している。高騰するブルゴーニュの代替になる。注視し続けたい産地である。
大橋健一MW
ヴィクトリアのワインは価格帯が高い。低品質なワインはほぼ存在しないだろうと思っていたが、予想通りだった。基本的にミネラリーであり、バランスがとれた樽のキャラクターが幾分高いかとも思っていたが、過度に強いものもなく非常に適正だった。世界のシャルドネとブラインドで比較しても、すぐにわかるであろう明確なキャラクターは存在する。一方で、キャラクターが際立つ、図抜けた評価を与えられるワインがないのは残念だった。
大越基裕
ヴィクトリアより冷涼でタイトなタスマニアに比べると、もっと果実が先行するかと思っていたが、酸の表現が豊かなものが多かった。フレッシュで、ミネラル感があり、凝縮していても重くない。今の市場に求められているスタイルだ。様々なタイプがあり、マイクロ・クライメットの違いを楽しめた。和食の合わせは工夫がいるが、アジアの果実を使うソースとは面白い。ただ、明確な酸がフレーバーを切ってしまい、点数は極端に伸びなかった。オーシャンエイトのようなウマミが乗るタイプは点数が高くなる。
マイク・ベニー
1980、90年台はビッグフレーバーのシャルドネが多かった。この10年間でやせて、硫化物のニュアンスもあるエレガントなスタイルに変わった。今回のテイスティングはよいワインがそろった。2015年のヤラ・ヴァレーのシャルドネは世紀のヴィンテージと言われたが、ゆっくり熟して、控えめで、バランスのよいナチュラルな表現になっていた。私のトップ評価はヤラ・イエリング、マウント・メアリー、ホッフキルシュ、ボバー。ピュリニー・モンラッシェの2倍の価値がある。ピノ・ノワールは全房発酵を取り入れ、セイバリーで、ワイルドな表現に向かっている。タリントン・ヴィンヤード、ヤラ・イエリングは傑出していて、ホドルスクリークも良かった。ヨーロッパに年間2か月はいるが、ここ10年間はオーストラリアしか飲まない。
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