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シチリアの大地を味わう モントーニの農園で

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 イタリアのスローフードが一時もてはやされた。「運動」と呼ばれた時点で、マーケティングのにおいがしてなじめなかった。食の世界の本物のプロは、料理人も、農家も、ワインの造り手も、レッテルを貼られるのを潔しとしない。寿司職人は自ら名人と言わない。農家は野菜や果物を実直に生産するだけ。DRCやルロワはブドウ栽培家を自称する。
 シチリア南部アグリジェント県カマラータに本拠を置くフェウド・モントーニを訪れて、かつては貴族所有の大規模農園だったフェウドの意味が実感された。こちらでいただいたランチはすべて広大な自社の畑からとれた素材だった。それが当たり前の生活を送ってきたわけで、そこにスローフードというキャッチはむなしく響く。
 調理してくれたのは当主ファビオ・シレーシの妻メリッサ。ニューヨークで育ち、コロンビア大でジャーナリズムを学んだ。祖母のいるシチリアに小さな頃から通ううちに、この島の風土や料理に興味を持ち「シシリー:ザ・クックブック」という大著を出版した。22歳から、ニューヨークでシシリア料理レストランを開き、繁盛していたが、都会の暮らしに疲れ、3軒を売り払い、移住した。
 オリーブの実も、カポナータも、レンズ豆のパスタも、家のすぐ近くの畑からとれたもの。前菜のリコッタは朝搾ったばかり。2皿目の子ヤギは朝に屠ったばかり。これにピュアなモントーニの白ワイン、カタラットやグリッロ、ネロ・ダーヴォラの赤ワインを合わせるのだからおいしくないわけがない。地産地消とはこのこと。都会でシチリア料理を食べていても一生わからない食がここにあった。
朝搾ったばかりのリコッタ。これが本物。フレッシュでジューシー。豆腐のようだ。
ナスが、トマトが、玉ねぎが強く自己主張しながら、見事なハーモニー。フレッシュで、甘さと酸味のバランスがとれたカポナータ。太陽が詰まっている。
天日で乾かしたレンズ豆をたっぷり使ったパスタ。ひなたくさい香りと甘い味わい。シチリアの大地の香りがする。
イタリア風オムレツのフリッタータ。生のミントをいれて、さわやかでスパイシー。卵の濃厚な滋味がすべてを包み込む。
朝屠ったばかりの子ヤギ。いただきますとは命をいただくことである。
アツアツのメリッサとファビオ。著書を手に。

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