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世界最大級で、最良とされる国際的なワイン・コンペティション「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」(IWC)が、ロンドンで開かれている。ワイン部門のアソシエイト・ジャッジ(見習い審査員)として初めて、2日間にわたり参加し世界中のワインを審査した。
IWCは英国を拠点とするウィリアム・リード・ビジネス・メディア社が開催し、2017年で34年目に入る。11月と4月の2度にわたり開かれる。初回はだれもが見習いから始める。参加できたのは20日と21日の2日間。ブラインドでワインを「Out」(アウト)、「Commended」(コメンデッド)、「Medal」(メダル)の3段階で評価する。
審査は3段階にわたる。「ラウンド1」は5人ずつのチームが24のテーブルに分かれる。テーブルにはパネル・チェアマンがいて、チームの意見をまとめて評価を与える。ここで「アウト」か「コメンデッド」と評価されたすべてのワインを、別テーブルにいる6人のコ・チェアマンが試飲して評価を確定する。「ラウンド2」でも、コ・チェアマンはゴールド、シルバー、ブロンズの「メダル」を含むすべてのワインを再試飲し、評価を検証する。「ラウンド3」では、「ゴールドメダル」と評価されたワインを審査するトロフィーラウンドが行われ、コ・チェアマンが再び試飲して、地域別、国別などのメダル、チャンピオントロフィーなどを決める。
イベント・ディレクターのクリス・アシュトンによると、2017年4月期の審査には約500人の審査員が参加し、55か国から約1万5000銘柄のエントリーがあった。1つのテーブルには「アソシエイト・ジャッジ」「ジャッジ」「シニア・ジャッジ」「パネル・チェア」が存在する。パネル・チェアはほぼMW(マスター・オブ・ワイン)で、シニア・ジャッジにもMWがいる。6人のコ・チェアマンは、ジェイミー・グッド、ティム・アトキンMW、ピーター・マッコンビーMW、オズ・クラークら世界的に有名なテイスターばかり。審査を何重にも確認するシステムがとられていて、それが厳格な評価につながっている。また、審査員同士が同じテーブルの審査員を評価し、コメントをする欄があり、審査員の質も常に検証されている。
私のテーブルのパネル・チェアは1日目がスウェーデンのマデレーン・ステンレスMW、2日目が英国のアン・クレベールMW。1フライトが5本前後。産地とヴィンテージ、品種は明らかにされている。「アウト」か「コメンデッド」か「メダル」という品質評価を短時間で行うので、集中力が必要となる。試飲ノートは不要。香り、バランス、テクスチャー、長さ、個性などを総合的に判断する。腐敗酵母(ブレタノマイセス)や過度な酸化のあるものはすべて「アウト」となった。
試飲するワインは、コート・デュ・ローヌからプロセッコ、チリのピノ・ワノール、ヴィンテージ・シャンパーニュ、アルザスのゲヴェルツトラミネール、バルバレスコ、ニュージーランドのピノグリなど実に多岐にわたる。ヴィンテージ・シャンパーニュはほとんどが「メダル」となったが、ほかの産地で、樽が強すぎたり、テクスチャーがラフなものは、「コメンデッド」か「メダル」かに迷うものもあった。ほかの審査員と判断が異なる場合は、その理由を説明する。自分の意見を根拠とともに主張するため、正確さが求められる。英国のスーパーのバイヤーらは、品質評価の精度が高く、日本との違いに驚かされた。
アシュトンは「市場で手に入るワインを評価する。コ・チェアマンが重複して審査することで、品質が保たれている。イングリッシュ・スパークリングも早い段階で品質を評価し、流行の先駆けとなった。審査は独立性が保たれ、スポンサーへの配慮も必要ない。そうした点が、高い権威性につながっている」と語った。
アソシエイトもジャッジも、ギャラは出ない。飛行機も宿泊も自己負担となる。審査員は英国を中心にヨーロッパの人間が多いが、米国や香港からきていた人間もいた。偽造ワイン鑑定の権威として有名なモーリン・ダウニーも、サンフランシスコから飛んできた。「ワイン鑑定の仕事とは無関係。私はワイントレードの出身。ワイン評価をするのは純粋に楽しい」と語った。
日本でワイン審査に参加した経験から言えば、透明性と厳格性の点でIWCのレベルは極めて高い印象を受けた。コンペティションは生産者から出品料をとっている。ある程度はメダルのワインを出する必要に迫られており、話し合いで下駄をはかせることもある。IWCは純粋に品質のみの判断で、それを検証する厳密な仕組みがある。朝9時に始まり、昼食をはさんで、約100本を試飲して終わるのは午後3時すぎ。ボルドーのプリムールと試飲する量はほぼ同じだが、プリムールはオープンで、素性もわかっている。星付きレストランを訪ねるようなものだ。世界のあらゆる産地の品質がバラバラなワインを試飲するIWCは、とぎすまされた集中力と体力を求められる仕事だった。
IWCは英国を拠点とするウィリアム・リード・ビジネス・メディア社が開催し、2017年で34年目に入る。11月と4月の2度にわたり開かれる。初回はだれもが見習いから始める。参加できたのは20日と21日の2日間。ブラインドでワインを「Out」(アウト)、「Commended」(コメンデッド)、「Medal」(メダル)の3段階で評価する。
審査は3段階にわたる。「ラウンド1」は5人ずつのチームが24のテーブルに分かれる。テーブルにはパネル・チェアマンがいて、チームの意見をまとめて評価を与える。ここで「アウト」か「コメンデッド」と評価されたすべてのワインを、別テーブルにいる6人のコ・チェアマンが試飲して評価を確定する。「ラウンド2」でも、コ・チェアマンはゴールド、シルバー、ブロンズの「メダル」を含むすべてのワインを再試飲し、評価を検証する。「ラウンド3」では、「ゴールドメダル」と評価されたワインを審査するトロフィーラウンドが行われ、コ・チェアマンが再び試飲して、地域別、国別などのメダル、チャンピオントロフィーなどを決める。
イベント・ディレクターのクリス・アシュトンによると、2017年4月期の審査には約500人の審査員が参加し、55か国から約1万5000銘柄のエントリーがあった。1つのテーブルには「アソシエイト・ジャッジ」「ジャッジ」「シニア・ジャッジ」「パネル・チェア」が存在する。パネル・チェアはほぼMW(マスター・オブ・ワイン)で、シニア・ジャッジにもMWがいる。6人のコ・チェアマンは、ジェイミー・グッド、ティム・アトキンMW、ピーター・マッコンビーMW、オズ・クラークら世界的に有名なテイスターばかり。審査を何重にも確認するシステムがとられていて、それが厳格な評価につながっている。また、審査員同士が同じテーブルの審査員を評価し、コメントをする欄があり、審査員の質も常に検証されている。
私のテーブルのパネル・チェアは1日目がスウェーデンのマデレーン・ステンレスMW、2日目が英国のアン・クレベールMW。1フライトが5本前後。産地とヴィンテージ、品種は明らかにされている。「アウト」か「コメンデッド」か「メダル」という品質評価を短時間で行うので、集中力が必要となる。試飲ノートは不要。香り、バランス、テクスチャー、長さ、個性などを総合的に判断する。腐敗酵母(ブレタノマイセス)や過度な酸化のあるものはすべて「アウト」となった。
試飲するワインは、コート・デュ・ローヌからプロセッコ、チリのピノ・ワノール、ヴィンテージ・シャンパーニュ、アルザスのゲヴェルツトラミネール、バルバレスコ、ニュージーランドのピノグリなど実に多岐にわたる。ヴィンテージ・シャンパーニュはほとんどが「メダル」となったが、ほかの産地で、樽が強すぎたり、テクスチャーがラフなものは、「コメンデッド」か「メダル」かに迷うものもあった。ほかの審査員と判断が異なる場合は、その理由を説明する。自分の意見を根拠とともに主張するため、正確さが求められる。英国のスーパーのバイヤーらは、品質評価の精度が高く、日本との違いに驚かされた。
アシュトンは「市場で手に入るワインを評価する。コ・チェアマンが重複して審査することで、品質が保たれている。イングリッシュ・スパークリングも早い段階で品質を評価し、流行の先駆けとなった。審査は独立性が保たれ、スポンサーへの配慮も必要ない。そうした点が、高い権威性につながっている」と語った。
アソシエイトもジャッジも、ギャラは出ない。飛行機も宿泊も自己負担となる。審査員は英国を中心にヨーロッパの人間が多いが、米国や香港からきていた人間もいた。偽造ワイン鑑定の権威として有名なモーリン・ダウニーも、サンフランシスコから飛んできた。「ワイン鑑定の仕事とは無関係。私はワイントレードの出身。ワイン評価をするのは純粋に楽しい」と語った。
日本でワイン審査に参加した経験から言えば、透明性と厳格性の点でIWCのレベルは極めて高い印象を受けた。コンペティションは生産者から出品料をとっている。ある程度はメダルのワインを出する必要に迫られており、話し合いで下駄をはかせることもある。IWCは純粋に品質のみの判断で、それを検証する厳密な仕組みがある。朝9時に始まり、昼食をはさんで、約100本を試飲して終わるのは午後3時すぎ。ボルドーのプリムールと試飲する量はほぼ同じだが、プリムールはオープンで、素性もわかっている。星付きレストランを訪ねるようなものだ。世界のあらゆる産地の品質がバラバラなワインを試飲するIWCは、とぎすまされた集中力と体力を求められる仕事だった。
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