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中国最高の輸入業者「ASCファインワインズ」、サントリーから渋谷善彦氏がCEOに

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 サントリー傘下の中国のトップインポーター「ASCファインワインズ」のCEOに、サントリーやファインズで高級ワイン畑を歩いてきた渋谷善彦氏が就任する。初めての日本人トップの起用で、発展する中国市場と日本のワイン事業のシナジーを狙う。
 ASCファインワインズは14か国の100以上のワイナリーを扱い、ドメーヌ・バロン・ド・ロートシルト、ドメーヌ・ルロワ、ギガル、ルイ・ジャド、ローラン・ペリエ、トリンバック、ベガ・シシリア、山崎、エビアンなど、世界のトップワインやウイスキー、ミネラルウォーターからなるポートフォリオを誇る。ドン・サン・ピエール親子が1996年に設立し、サントリー酒類が2009年に買収した。
 9日の発表によると、ブルノ・ボードリーの後任として、渋谷善彦氏が4月1日付けでCEOに就任する。ボードリーは引き継ぎのため、数カ月間は相談役としてとどまる。ボードリーは個人的な理由で日本に帰国する。ASCファインワインズのチェアマン・オブ・ザ・ボードで、サントリー・ワイン・インターナショナルの山崎雄嗣社長は「CEOとしての2年間の働きに本当に感謝したい。ASCの事業の過去2年間の回復の力になってくれた。指導力と業績に満足しており、CEOにとどまってほしかったが、辞任を受け入れざるをえなかった」と語った。
 渋谷氏はサントリーからファインズに移り、20年間にわたり高級ワインの世界で働いてきた。ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティや、ラフィット・ロートシルトを傘下に抱くドメーヌ・バロン・ド・ロートシルトなどとのパイプ役を務める。シャトー・ベイシュヴェルを所有するグラン・ミレジム・ドゥ・フランス社の共同経営者としてフランスに赴任し、5年以上にわたり、サントリーのヨーロッパでのワイン事業やワイナリーとの調整をしてきた。最近になってASCの役員に加わった。
 「ASCを率いる機会を得られてワクワクしている。変わり続ける中国、香港、マカオの輸入ワイン市場で、ASCチーム、サプライヤーのパートナー、顧客のサポートを得て、継続的な成長ができると強く信じている」とのコメントを発表した。
 トップの交替に伴って、サイモン・ウォンがCOOに昇格し、渋谷氏をサポートする。山崎氏は「ヨシの就任でサントリー・グループとASCの間のグローバルなシナジーを強化できると期待している」と語っている。
 中国のワイン市場はかつてのように、高級ボルドーワイン一辺倒ではなく、若い消費者がデイリーワインや中級価格帯のワインを飲むようになり、成熟した市場に変わりつつある。ヴィネクスポ事務局は、中国が2020年までに英国を抜いて、米国に次ぐ世界第2のワイン消費国になると予測している。
 ASCファインワインズは中国本土、香港、マカオに広大なネットワークを展開し、高級ワインは5つ星の国際ホテルグループに納入している。6か所の定温倉庫からすぐに配達できる体制も備える。またWSETのコースを中国で最初に開くなど、ワイン教育にも力を入れてきた。
 サントリー・グループは高級ワインの輸入だけでなく、日本ワインのアジア展開、高級ウイスキー「山崎」やビームの世界展開など多彩なグローバル戦略を加速させている。フランスの高級ワイン業界に人脈を持つ渋谷CEOの下で、日本国内のワイン事業と将来性を秘めた中国市場をつなぐビジネスを追求するものと見られる。ASCはドン・サン・ピエール・シニアとジュニアが、高級ワイン輸入の先駆者として発展させたが、サントリー・グループが買収してからも、トップは日本人以外だった。
 あるサントリー幹部は「グループは世界戦略を加速しているが、中国や米国で現地のスタッフを指揮できるグローバルな人材がいない」ともらしていた。ワイン・スピリッツで世界のスポットライトを浴びる中国で、日本人経営者が初めて誕生したという意味でも動向が注目される。
(C)ASC Fine Wines

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