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べと病(Downy mildew)対策の銅系殺菌剤の規制強化に、有機栽培のワイン生産者に不安が広がっている。
殺菌と抗菌作用を有する銅化合物は慣行農業だけでなく、有機農業でも広く使用されている。ブドウ栽培においてはボルドー液は19世紀以来、ベト病の防除に使われてきた。銅は150年間にわたり、ブドウ栽培の基礎となってきた。
フランスでは銅を有効成分とする植物保護製品は農業分野でベスト10に入っている。だが、人体や環境に有害な性質を持つとして、ヨーロッパでは成分を有する植物保護製品が各国の承認を受けて販売されてきた。
ワイン生産者にショックを与えたのは、フランスの食品安全・環境・労働衛生庁(ANSES)が昨年7月、銅をベースとした34製品の規制を発表したこと。労働者の健康被害や水質・土壌汚染などが理由。ヘクタールあたり年間4kgの使用上限、住宅地や水路付近の使用制限、週1回の散布、開花期の使用禁止など規制を厳格化した。
フランスでは記録上で最も雨量が多く、暑かった2024年はべと病が猛威をふるった。収量は激減した。コカール・ロワゾン・フルーロの醸造責任者トマ・コラルドは「晴れたと思ったらまた雨が降って、週末に休むまもなく銅の散布を迫られた」と明かした。
2024年にオーガニック認証を取得したルイ・ジャドの最高栽培醸造責任者のフレデリック・バルニエは「2024年はヘクタールあたり6キロの銅が必要になった。4キロに制限されたら大惨事になる」と語り、有機栽培を放棄する農家が増えるリスクを指摘する。
生産者はとりわけ、散布頻度が7日ごとに制限されることを批判している。ドメーヌ・デュガ・ピィのベルナール・デュガから品質を守る秘訣として「雨がちな気候の時は、天気予報をチェックして夜でも畑に出てスプレイした」と聞かされたことを覚えている。
ANSESによる銅を含む17種の製品の認可拒否は今年7月に施行される。この決定は2027年に発効する。販売承認が更新されていない製品は1月15日まで購入できるが、その後はどうなるか不透明だ。
気候変動と銅含有製品の規制強化は、有機栽培の生産者には生死を分ける。有機栽培から離脱する生産者が増えるリスクが増大する。
フランス有機農業機構(Agence Bio)によると、2024年のオーガニック認証ブドウ畑の面積は数十年ぶりに6724ha減少し、2023年比で4%の減少となった。一方で、ブドウ畑の2割を占める14万1000ha以上が有機栽培され、オーガニックワインの2024年の販売量は7%増加した。
FNAB(フランス全国有機農業連盟)、CNIV(フランス全国ワイン評議会)などの生産者団体は公的機関に対して訴えを起こしている。
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