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ミュジニーの巨匠フランソワ・ミエ、透明なミネラル感にフォーカスするワイン造り

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 "ミスター・ミュジニー"のフランソワ・ミエが長男のジュリアンと一緒に来日した。家族メゾンのフランソワ・ミエ・エ・フィスとジュリアンが醸造責任者を務めるドメーヌ・レザストレルのワイン造りの話に耳を傾けながら、透明なミネラル感の表現にこだわるフランソワの哲学を改めて確認した。


 1956年生まれのフランソワは1986年にドメーヌ・ド・ヴォギュエの醸造責任者に着任し、陰りの見えていたドメーヌを立て直した。ド・ヴォギュエはミュジニーの7割の7.12haを所有する歴史的なドメーヌ。35年間働いて、シャンボール・ミュジニーを知り尽くしている。


 ド・ヴォギュエの1本裏の道にある自宅で、2016年に妻ミッシェル、息子のジュリアンとアドリアン兄弟の4人からなる家族メゾン「François Millet et fils」を設立。2017年が最初のヴィンテージ。人脈を生かして、共通の哲学を有する友人から購入するブドウで20のアペラシオンを手掛け、年産量は1万-1万5000本。


浸漬して全房発酵しないフランソワ
ミュニエやルーミエなど経験豊かな息子


 ドメーヌ・レザストレルは生物学者ジャン・マリーと薬剤師イザベルのシャピエ夫妻が、2019年にドメーヌ・ピエール・ネジョンを買収して設立した。ジュリアンはディジョン大学で醸造学を学び、地元のJFミュニエ、ブルーノ・クラブリエ、ニュージーランドのプロフェッツ・ロック、フェルトン・ロードで経験を積んだ。


 フランソワの醸造の特色は繊細な抽出と除梗。「抽出」ではなく「浸漬」(Infusion)という表現を好む。開放式発酵槽で低温発酵させる。パンチダウンはせず、バケツを使って優しいポンプオーバーを1度だけ行う。全房発酵はしない。小型の垂直圧搾機で搾る。


 「ピジャージュ(パンチダウン)すると力強すぎて、ミネラ感を壊してしまう。透明感を失わせせてしまう。長過ぎるマセラシオンもよくない。全房発酵は窓にカーテンをかけてしまうようなもの。テロワールの美しさを隠してしまう」


 ジュリアンと弟のアドリアンはド・ヴォギュエで3-4年にわたり経験を積んだ。アドリアンはジョルジュ・ルーミエでトラクターを操る栽培担当者だ。シャンボールのテロワールを学びながら父の哲学を吸収している。


 レザストレルとフランソワ・ミエのジュブレ・シャンベルタン・ラ・クロワ・デ・シャン(Gevrey Chambertin La Croix des Champs)の2022年を比較試飲した。


 ラ・クロワ・デ・シャンはD974の東側に位置する。2022年は6月に洪水被害があったものの、洗練されたタンニンと美しい果実味に恵まれている。今のところ2020年代で最良のヴィンテージと言える。


 「ドメーヌ・レザストレル ジュブレ・シャンベルタン・クロワ・デ・シャン 2022」(Domaine Les Astrelles Gevrey Chambertin Croix des Champs 2022)は淡い色調、フローラルでスミレ、ストロベリー、ジューシーな果実味、シルキーなタンニン、美しい輪郭があり、エレガントなフィニッシュ。90点。


 「フランソワ・ミエ・エ・フィス ジュブレ・シャンベルタン・ラ・クロワ・デ・シャン 2022」(Francois Millet & Fils Gevrey Chambertin La Croix des Champs 2022)はレッドチェリー、ブルーベリー、純粋でなめらかなタンニン、しっかりした構造。スパイシーな余韻は長い。レザストレルより硬質で力強い。90点。


 基本的なアプローチは同じだが、クラシックなフランソワ・ミエに対して、1987年生まれのジュリアンは若い世代の好むフレッシュ感とフィネスが詰まっている。ティエリー・モルテの娘リスや、ディジョン大学で一緒に学んだアルマン・ルソー当主のシリエルらと友人だという。


 「ドメーヌ・レザストレル ブルゴーニュ レ・マラディエール 2022」(Domaine Les Astrelles Bourgogne Rouge Les Maladieres 2022)はシャンボール・ミュジニーのD974に面するLes Athetsに隣接するCombe(谷)の区画。優しい口当たり、ラズベリー、ブラッドオレンジ、濡れた石、バラの花弁、生き生きした酸、精妙な美しいテクスチャー。ほのかにチョーキーで、プティ・シャンボール・ミュジニーの趣。89点。


 フランソワ・ミエの隠し玉はコート・デ・ジュラ。ミッシェルの実家の畑から造る。ブルゴーニュから1時間のジュラはジャン・マリー・フーリエやマルキ・ダンジェルヴィルらの造り手が進出し、カミーユ・ティエリーもブドウを買い付けている。


 「フランソワ・ミエ・エ・フィス コート・デュ・ジュラ 2021」(Francois Millet & Fils Cote du Jura 2021)は霜で打撃を受けたヴィンテージ。シャルドネ80%、サヴァニャン20%。白桃、ミント、ドライイチジク、ヘーゼルナッツ、すがすがしい酸味、まろやかなテクスチャー。塩気を帯びて、キレのいいフィニッシュ。うまみを帯びた余韻がじりじりと続く。91点。


 フランソワはストキンジャーのフードルやクレイヴァーのセラミック容器など新たな醸造容器にもトライしている。息子たちから刺激を受けて、気候変動に対応するワイン造りに挑戦している。


 輸入元は豊通食料。

フランソワ(右)とジュリアン・ミエ
左からアドリアン、フランソワ、ジュリアン。シャンボール・ミュジニーのカーヴで
小型の手動バスケットプレス Instagram@francoismilletetfils
シャンボール・ミュジニーの畑 Instagram@francoismilletetfils
ジュラの畑 Instagram@francoismilletetfils

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