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ナチュラルワイン(自然派ワイン)の代表的な造り手たちが、適切な基準を定めてナチュラルワイン造りを発展させようと、生産者団体「サンビオーズ」(Symbiose)を設立する。名ばかりナチュラルワインが氾濫する日本市場に、正しいナチュラルワインを広める志を持つ栽培醸造家(ヴィニュロン)が集まったのは画期的で、日本ワイン発展の重要なマイルストーンとなる。
「ナチュラルワイン」には厳密な定義がないが、有機栽培したブドウを使って、野生酵母で発酵させて、醸造過程で添加物を加えず、最小限の亜硫酸で瓶詰めするワインを指している。
20世紀後半にワイン造りの産業化が進む中で、カウンター・カルチャー的な動きとして広まってきた。ヴァン・ナチュール(自然派ワイン)の本場フランスでは、2020年にロワールの生産者団体がまとめた憲章が、ワインラベル表示などを管轄するDGCCRF(競争・消費・詐欺防止総局)に認められた。
日本では1990年代にビオロジックやビオディナミのワインが輸入され、愛好家が生まれた。それがナチュラルワインのブームに発展し、ここ10年はワインショップ、ワインバーなどで、「ナチュラルワイン」がマーケティング用語として広がっている。その中には過剰な酸化や揮発酸など欠陥のあるワインも少なくない。
「共生」という意味の「サンビオーズ」は、真のナチュラルワイン造りにフォーカスする造り手たちの危機感に根ざしている。自然農法の福岡正信を生んだ日本は、海外の生産者やトレードからナチュラルワインの本場と見られがちだが現実は違う。有機栽培せずに化学農薬を使いながらナチュラルワインを名乗る造り手もいる。
一般社団法人「サンビオーズ」の理事を務める岡山の大岡弘武さん(ラ・グランド・コリーヌ)は4、5年前から、小山田幸紀さん(ドメーヌ・オヤマダ)や佐々木賢さん(農楽蔵)、鈴木淳之さん(ドメーヌ・アツシ・スズキ)らと意見交換する中で「ナチュラルワインの定義を作って、知識と経験を共有する団体を立ち上げよう」という考えで一致した。
同じ志を持つ9人が組織を立ち上げ、会長に小山田さん、副会長に鈴木さん、理事に大岡さんと佐々木さんが就任する。3月16日に岡山市で設立総会を開く。今後は2年間に1回のペースでイベントを開く予定。
ナチュラルワインの定義として有機栽培(移行中も含む)は大前提。野生酵母(畑から採取した培養酵母も含む)で発酵させる。醸造中のフラッシュ・パストライゼーション、滅菌フィルター、補糖、補酸の禁止、SO2はリットルあたり30mgまでに限定する。
信念のある造り手ばかりなので、合意にいたる過程では議論が展開された。有機栽培に関しては、買いブドウまで含めると難しいため、自社畑に関しては100%オーガニックという規則で落ち着いた。
入会には2人の会員の推薦が必要となっている。栽培と醸造に関する情報の開示も重視している。
大岡さんは「私のイメージでは真剣に有機栽培してナチュラルワインを造っているのは国内に数十人もいない。勉強会を開いて、情報交換し、ナチュラルワインを発展させる。それが日本ワインの将来にとっても重要」と強調する。
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