世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. お手頃でジューシー、見逃すのは惜しいシャサーニュ・モンラッシェの赤

お手頃でジューシー、見逃すのは惜しいシャサーニュ・モンラッシェの赤

  • FREE

 シャサーニュ・モンラッシェはかつて白ワインより赤ワインの生産量が多かった。18世紀は、シャサーニュ・モンラッシェのモルジョの赤ワインが白ワインのモンラッシェの2倍の価格で取り引きされていた。モルジョは今も長期熟成型の赤が主体を占める。


1970年代までは赤の生産量が多かった


 1980年代以降に消費者の嗜好が変わって、赤ワインから白ワインへの植え替えが進んだ。1970年代後半に赤ワインと白ワインの生産量は約7対4だったが、2010年代後半の5年間にほぼ逆転した。とはいえ、ヴィラージュでは赤の比率は4割を占めて、プルミエクリュでは白が8割を超す。白ワインの方が高く売れるから、プルミエクリュが白主体であり続けた。


 コート・ドールで最高の白ワイン産地とされる、ピュリニー・モンラッシェ、ムルソー、シャサーニュ・モンラッシェの3つのアペラシオンの中で、シャサーニュは少し低く見られていた。"白の聖地"ではなかった背景も関係しているかもしれない。赤から白に植え替えた造り手もいれば、その逆の例もあった。


 シャサーニュと南に隣接するサントネイは、ピュリニーのように純粋な石灰岩土壌と違って、粘土質や泥灰土の混じる土壌が複雑に入り組んでいる。そこがピノ・ノワールに適している。今回、来日したシャサーニュ・モンラッシェの9軒のドメーヌもそれがわかっている。優れた赤ワインを造る。価格も手頃で見逃す手はない。


 ピエール・イヴ・コラン夫人のカロリーヌ・モレは、白向きと赤向きの土壌は別とわかっていた。祖父や祖母の時代に植えられた古樹を引き継いで、ポテンシャルを引き出してきた。グランクリュのレベルとは違うが、コート・ド・ニュイと肩を並べると信じている。


 カロリーヌは2014年から2016年にかけて父ジャン・マルク・モレからシャサーニュ・モンラッシェ、サントネ、ボーヌの畑を受け継いだ。計7ha。夫婦で醸造する。赤は全房発酵を30-50%採用して介入は控えめ。350Lの樽で熟成する。ピエール・イヴの白と同様に抽出は穏やかだが、樽熟成期間は短い。繊細でたおやかでナチュラルなピノ・ノワール。飲みやすく、程よい深みがある。


 「ドメーヌ・カロリーヌ・モレ シャサーニュ・モンラッシェ ルージュ 2022」(Domaine Caroline Morey Chassagne-Montrachet Rouge 2022)はLes Chênes、Chambres、Les Pierresの古樹。淡い色調、クランベリー、ラズベリー、ブラッドオレンジ、繊細で、しなやかなタンニン、軽やかでジューシーな果実味。丸くて調和が豊か。アプローチャブルで気楽に楽しめる。90点。


 「ドメーヌ・カロリーヌ・モレ シャサーニュ・モンラッシェ・プルミエクリュ レ・シャンガン 2022」(Domaine Caroline Morey Chassagne-Montrachet 1er Cru Les Champs Gains 2022)は19世紀に既に赤で有名だった区画の中腹。レッドチェリー、ワイルドベリー、デリケートでかすかに土っぽいニュアンス。生き生きした酸味に支えられて、シルキーで調和がとれている。91点。


 カロリーヌの義弟のジョゼフもLes PierresとPoirier du Closから赤を造っている。「ジョゼフ・コラン シャサーニュ・モンラッシェ ヴィエイユ・ヴィーニュ 2023」(Joseph Colin Chassagne-Montrachet Vieilles Vignes 2023)は果実と酸味のバランスがとれていて軽やか。フローラルでレッドチェリー、ザクロ、砕いた石、塩気を帯びていて、余韻が長い。9500円。89点。


 三男のダミアンが造る「ドメーヌ・マルク・コラン・エ・セ・フィス サントネイ ヴィエーユ・ヴィーニュ ルージュ 2022」(Domaine Marc COLIN et Ses Fils Santenay Vieilles Vignes Rouge 2022)は樹齢80年を超す古樹。レッドチェリー、ラズベリー、洗練されたタンニン、程よい酸味、シャサーニュより濃厚な果実味が口中に広がる。純粋でなめらか、チャーミング。7200円。89点。


自立したフィリップとシモンのコラン親子


 親子で来日したフィリップ・コランとシモン・コランは別々のドメーヌを運営しながら、うまく関係を保っている。フィリップはPYCMの向かいにある醸造施設を息子に譲った。分割した畑でワインを造り、南アフリカ・フランシュックのトピアリーで多くの時間を過ごしている。


 シモンは父のドメーヌとトピアリーで働いた。米オレゴンのアデルスハイム、おじのブリュノ・コランで経験を積んで、ピュリニー・モンラッシェのソゼでブノワ・リフォーのアシスタント・ワインメーカーも務めた。フィリップから家業を継がないかと誘われたが、方向性が違うとして独立した。


 寛容な父親と自立的な息子だが、喧嘩別れしたわけでhない。父は優しく見守り、息子は好きにやらせてくれたことに感謝している。


 フィリップの白は説明不要だが赤も素晴らしい。ドメーヌ・ド・ラルロのジェラルディーヌ・ゴドが赤も白もこなす優れた醸造家になったのは、フィリップの下で経験を積んだからだろう。


 「ドメーヌ・フィリップ・コラン シャサーニュ・モンラッシェ・シャン・ド・モルジョ 2023」(Domaine Philippe Colin Chassagne-Montrachet Champ de Morjot Rouge 2023)は暑さを反映して濃厚な果実味、ダークラズベリー、凝縮していて、しなやかなテクスチャー。フレッシュで、果実味と上質なタンニンのハーモニーがある。スパイシーなフィニッシュ。9500円。91点。


 シモンの赤は濃密で、わずかに新世界的な力強さがある。オレゴンや南アフリカの経験の反映だろうか。


 「ドメーヌ・シモン・コラン シャサーニュ・モンラッシェ ルージュ 2022」(Domaine Simon Colin Chassagne-Montrachet Rouge 2022)はレッドチェリー、ワイルドベリー、タンジェリン、丸みがあり、リッチ。上質なタンニン、豊かな果実味が口中に広がる。1万1000円。89点。


 「ドメーヌ・シモン・コラン サントネイ・プルミエクリュ レ・グラヴィエール 2022」(Domaine Simon Colin Santenay 1er Cru Les Gravières 2022)は全房発酵45%。レッドチェリー、プラム、シナモン、生き生きしていて力強い。温かさがあり、シームレスなフィニッシュ。1万2800円。90点。


 シャサーニュ・モンラッシェの赤は軽めの肉料理や魚介料理にも合わせやすい。ラベルにこだわらない飲み手は多面的に使えるだろう。


 輸入元はラック・コーポレーション。
 

フィリップとシモン親子
若さあふれるシモン・コラン
看板は変わっていないフィリップ・コランの醸造所
南アフリカ・フランシュックのトピアリー
カロリーヌとピエール・イヴのコラン夫妻

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP