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日本人はブルゴーニュとピノ・ノワールにこだわりすぎる傾向がある。視界を広げれば、財布の許す範囲で手に入る優れたワインはほかにもある。フランスの赤ワインならロワールのカベルネ・フランがその1つだろう。優れたワインは程よい凝縮感とエレガンスがある。
カベルネ・フランというと、「青い」イメージがつきまとうが、それは量産型ワインの話だ。クロ・ルジャールを例に引くまでもなく、優れたワインは存在する。ボルドー右岸でもオーゾンヌやラフルールなどのトップシャトーはカベルネ・フラン(ブーシェ)の魅力を引き出している。ナパヴァレーにも広がっている。
次のブームはカベルネ・フラン…ミシェル・ロラン
ミシェル・ロランが数年前に「次のブームはカベルネ・フラン」と発言していたのを今も覚えている。世界の産地をカバーする彼の先取りセンスは正しい。温暖化が進んでタンニンが熟すようになってきた今、カベルネ・ソーヴィニヨンほど凝縮したタンニンがなく、フレッシュ感のある酒質は、日本人のパレットに合っている。
ロワールで注目すべき産地はシノン、ソーミュール、アンジュ、ブルグイユといったところだ。最近、発見したのはシノンのドメーヌ・ベルナール・ボードリー。クレヴァン・レ・コトー村で数百年の歴史を持つ。初代のベルナールが1975年にドメーヌを創設。2代目のマテューが2000年に参画して声価を上げた。ヴーヴレイのビオディナミ生産者ユエのノエル・パンゲの下で経験を積んだ。
栽培面積は32ha(シュナン・ブランは4ha)。2006年にオーガニック認証を取得し、ビオディナミを実践している。自家製コンポストを使う。石灰岩土壌の南向き斜面で栽培している。50人のチームで区画ごとに手摘みする。セメントタンクで発酵させて、セメントタンク、古樽、ステンレスタンクなどで熟成し、清澄やろ過を行わずに瓶詰めする。グリーンガイドで2つ星を獲得している。
カベルネ・フランをピノ・ノワールのようにジューシーでニュアンスに富むワインに仕上げる。軽やかで豊かなタンニン、ラズベリーやレッドベリーの香りがありエレガント。テロワールに恵まれて青さはない。
「ベルナール・ボードリー シノン レ・グレゾー 2023」(Bernard Baudry Chinon Les Grézeaux 2023)は砂利を含む樹齢50年の中腹の区画。レッドベリー、ワイルドベリー、生き生きした酸、程よい凝縮感、純粋な果実味。肉厚でスモーキーなフィニッシュ。樹齢は50年。6500円。91点。
「ベルナール・ボードリー シノン ル・クロ・ギュイヨ 2022」(Bernard Baudry Chinon Le Clos Guillot 2022)は斜面上部。クランベリー、ボイセンベリー、スミレ、ジューシーな果実味、まろやかなタンニン。力強く、豊かな風味、しっかりした骨格、余韻が長く続く。8000円。93点。
「ベルナール・ボードリー シノン レ・モリエール 2022」(Bernard Baudry Chinon Les Mollieres 2022)は標高100mの台地。ダークベリー、スミレ、なめし革、ジューシーな果実味、エアリーなタンニン。丸みと柔らかさがあり、心地よい余韻。6200円。90点。
フラッグシップの「ベルナール・ボードリー シノン ラ・クロワ・ボワセ 2022」(Bernard Baudry Chinon La Croix Boissée 2022)はプラム、リコリス、ドライハーブ、繊細なテクスチャー、チョーキーなタッチを帯びたタンニン、きれいな輪郭。彫りが深く、包み込むような大きさがある。エキゾチック。1万1000円。93点。
「ベルナール・ボードリー シノン ラ・クロワ・ボワセ 2016」(Bernard Baudry Chinon La Croix Boissée 2016)はブラックラズベリー、腐葉土、タバコ、濃密でグリップがある。まろやかなテクスチャー、タンニンは溶け込んで、力強い余韻が続く。フランの熟成力を示している。1万4000円。92点。
輸入元はヴァンパッシオン。
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