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ネッドの造るグッドワインはチャーミング

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 マスター・オブ・ワイン(MW)の資格を取得したらどんなメリットがあるのか。

 ジャンシス・ロビンソンやジュリア・ハーディングのようにジャーナリストとして活躍するのは一握りだ。ワインの理解力と文章を書く能力は別だから。世界のワインを知り尽くした能力を最も発揮できるのはバイヤーだろう。

 バイヤーといっても、世界の有名なワインは発掘しつくされている。MWの価値はまだ知られないワインの紹介や開発にある。ブドウの調達から、醸造、育成、製品化まで。潜在力のある土地で、新たにワインを造るのは容易ではない。日本に住む唯一のMWであるネッド・グッドウィンが、南オーストラリア州で造り上げたのがこのグッドワインだ。

 冗談みたいな名前だが、中身は本物だ。赤はカベルネ・ソーヴィニヨン92%とシラーズ8%のブレンド、白はピノ・グリージョ100%。白の方が日本の食卓では活躍するが、赤もかなりいい。1619円とは思えないまとまりがある。

 かなり冷涼な畑のブドウを使っているようだ。アルコール度は12%前後。ギリギリ青さを感じさせない熟度があり、軽やかなボディも心地よい。タンニンがなめらかで、バランスがいい。冷やし気味で、魚料理や軽い肉料理と合わせるのに向いている。無理に抽出した感じがなく、かといってやせ細っているわけでもない。

 日本人の体力にあったチャーミングなワインだ。

 パッケージングもしゃれている。

 先日、カリフォルニア・ワインズ・サミットで会った英国のスーパー「ウィリアム・モリソン」のバイヤーも言っていた。

 「パッケージングは大切だ。パッケージングが良くないと、店頭で手にとってもらえない。リピートしてもらうために、中身が大切なのは言うまでもない」

 このバイヤーもMWを目指して2年目だったが、ニュージーランドでソーヴィニヨン・ブランの自社商品を開発する際は、1日100種のキュヴェを試飲すると話していた。そういう努力からコスト・パフォーマンスの高いワインが生まれるのだろう。

(2013年9月 自宅で)
グッドワイン 2009
希望小売価格(税抜):1619円
輸入元:盛田トレーディングカンパニー
週に一度は飲みたい度:85点

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