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シャンパーニュの2024年出荷量は約9%減少、乾杯する気分冷める時期

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 シャンパーニュの2024年の出荷量は前年比9.2%減の2億7140万本となった。インフレ、各地の紛争、不確実な経済などで、消費者心理が冷え込み、乾杯する気分にならないのが原因と見られる。


 シャンパーニュ委員会によると、フランス市場向けの出荷量は7.2%減の1億1820万本。輸出は10.8%減の1億5320万本だった。輸出のシェアは56.4%で、相変わらず国内市場を上回っている。


 2023年のシャンパーニュの総出荷量は、前年比8.2%減の2億9900万本で、コロナ禍前の水準に戻ったが、2024年は減少に転じた。


 ユニオン・デ・メゾン・ド・シャンパーニュの出荷量統計によると、2024年の2億7140万本は2000年代に入って、2001、2000、2020年に次いで4番めに低い数字。2001年は9.11が起きた年で、2020年はパンデミックが始まった年だ。


 ヴィニュロン組合会長兼シャンパーニュ委員会共同会長のマキシム・トゥバールは「シャンパーニュは消費者心理を示す真のバロメーターだ。インフレ、世界的な紛争、経済の不確実性などがあり、フランスやアメリカといったシャンパーニュの最も大きな市場のいくつかでは、政治的に様子見の姿勢で、今は祝う時ではない」とコメントした。


 祝祭のお酒であるシャンパーニュは、時代の空気や飲み手の気分を反映する。インフレによる消費者の節約志向が高級飲料の購入を減らし、世界に漂う政治・経済の停滞ムードがパーティー気分を冷まして、シャンパーニュで乾杯する気分にならなかったと解釈できる。


 モエ・エ・シャンドンやドン・ペリニヨンなどシャンパーニュ、ワインとスピリッツのトップブランドを抱えるモエ・ヘネシーは、2024年最初の9か月間の売上高が8%減少し、グループの中で最も業績の悪い事業となっていた。


 シャンパーニュ委員会は昨年7月、2024年のヘクタールあたり収量を2023年より1400キロ下回る1万キロに設定した。世界的な地政学的・経済的状況、全般的なインフレ、過剰在庫などを考慮したため。その時点では、2024年の年末までの出荷量は、象徴的な基準の3億本を割り込んで、2億8000万本になると見込んでいたが、その予想を下回った。


 2024年のフランスのワイン生産量は不順な開花、干ばつ、雹、雨に伴う病害で、前年比23%減の3690万hlに落ち込んだ。シャンパーニュも南部のコート・デ・バールは困難な状況で、レ・リセの収量は1ヘクタール当たり2000kgと低かった。生産量も冷え込んでいるのは間違いない。


 

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