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インバウンドが増幅する二次市場、真贋判断の重要なポイント

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 ブルゴーニュを筆頭にワイン価格が上昇しているが、市場が縮小しているとは簡単に言えない。ワインレポートが3月に開いた対談セミナー「ビヨンド・ブルゴーニュ ワイン産業の未来を先取りする」で、TATSUMIのワイン営業マネージャー水上雅央さんはこう語った。


 「ミドルクラスのレストランやワインバーはちょっと厳しいですが、3つ星レストランや富裕な顧客を抱えるワインバーなどは変わっていません。高価なブルゴーニュワインなどの需要は変わらず高く、しっかりとお客さんをつかまえているところは強い」


 インバウンドも日本の高級ワイン市場に活力を吹き込んでいる。世界的なリゾートのニセコから、インポーターやネットショップへの注文が増えているという。1週間の滞在で100万円は軽く使うアジアやオセアニアのスキー客には「日本の価格は海外より低めなのでお得感が強い」(ネットショップ店主)せいだ。このショップは1晩で100万円使うような富裕な中国人顧客を持つ都内の和食店に、シャンパーニュやモンラッシェを卸している。

 
 国内最大手のTop Lotのオークション参加者には、楽天市場で販売するワインショップも少なくない。入札する前に鑑定家の堀賢一さんにプロヴェナンスについて問い合わせる人もいる。堀さんは可能な限り丁寧に質問に答えている。ショップはTop Lotから仕入れたことで信頼を得られる。その信頼性を保持することはTop Lotにとっても重要だ。


島国ゆえに安心できる国内流通品
安心できるプロヴェナンスとは


 ワインの真贋鑑定は国際基準が重要だが、ローカルな事情にも左右される。日本のワインオークションは、香港やニューヨーク、ロンドンで国際的オークションハウスが開くオークションより安心できる面もある。世界に開かれた国際的オークションと違って、日本国内のオークションは国内で流通しているワインに絞られるからだ。


 海外の有名オークションハウスが日本へのバブル期に参入を試みたことはあるが、通関時に食品分析表が求められる面倒くささに嫌気がさして撤退した。日本のオークションに出品されるワインは、正規輸入品やコレクターが海外で購入したアイテムがメインだ。閉ざされた市場である点が安心できるプロヴェナンスを生んでいる。


 鑑定するまでもなく信頼できるプロヴェナンスのワインもある。例えば、大手デパートの外商部門にはDRCのワインが輸入元から慣習的に割り当てられている。それを裏付ける領収書があって、保管されている定温倉庫を確認できれば、そのワインは鑑定するまでもない。


 レストランの場合も、インポーターからの仕入れや倉庫への入庫がわかる書類があれば信頼性は高い。東京・銀座のフレンチ「アピシウス」が新型コロナウイルス期間中の2020年5月に、DRCや5大シャトーのワインを販売したことがある。その後、Top Lotにコレクションを出品した。これなどは完璧なプロヴェナンスの一例と言えるし、落札価格も上がる。


キャップシール、コルク、液面をチェック


 フランスのワインショップなど海外で購入したワインについては、クレジットカードのコピーが裏付け材料になる。ただ、DRCやペトリュスなどのワインは蔵出しでないものもある。ブローカー経由のものは所有者の変遷がわからない。その場合は、鑑定家がラベル、キャップシール、コルク、瓶の材質、ワインの状態など、経験に基づく知識を総動員して鑑定する。

 

 疑わしいDRCは空き瓶をそのまま利用して、自前で製造したキャップシールとコルクで封をしたワインが主流となっている。ラベルは本物だから顕微鏡を拡大して、印刷の品質を確認しても真贋判定の決め手にならない。本物は活版印刷で、偽物は業務用プリンターでドット印刷をしている。偽物の場合は紙質やフォントも異なる。最近はラベルに蛍光処理をほどこしているので、蛍光部分の有無は真贋判定の助けになる。

 

 画像で紹介している(1)はあるオークションで落札されたロマネ・コンティ2004のコルクの天面。所有者からワインを譲り受けた。キャップシールを切って露出したコルクの天面はフラットではない。ドライバーかハンマーのような硬い器具でハンマーなどで叩いて強く押し込んだようなへこみがある。


 画像の(2)の右側は同じロマネ・コンティ2004から切って外したキャップシール。ROMANEE-CONTIのハイフン(‐)の位置が中間にある。左側にあるのは公式の解説本「ル・ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ」(ワイン王国)に掲載された1998年のキャップシール。ハイフン(‐)が中央より下の位置にある。


 このロマネ・コンティ2004は、コルク天面もキャップシールも真正品とは異なる特徴を示している。


 コルクからは様々な情報が読み取れる。画像の(3)はTop Lotで鑑定された、キャップシールを切って露出したドメーヌ・アンリ・ジャイエのコルク。瓶詰めから20年以上を経ているにもかかわらず、ワインの液面が高い。コルク底部にワインの染みが少ない。ドメーヌ名とヴィンテージを示す2000の文字が極めて明瞭で、焼印ではなくプリンターで印刷したように見える。


 キャップシールについては、材質のチェックも重要となる。ワイン資材店で販売される汎用品を使っている場合は疑わしい。

 

 また、液体の見た目も判断材料となる。熟成していれば相応の澱が沈殿している。近年は清澄・ろ過をしないワインが増えているので、澱がないワインの方が珍しい。タンニンが熟して、果実も凝縮したヴィンテージは澱の量も多い傾向にある。


 

ドライバーかハンマーなどの硬い道具で押し込んだようなへこみのあるロマネ・コンティ2004年(1)
ロマネ・コンティ2004年のコルク断面画像
ROMANEE-CONTIのハイフンの位置が公式本「ル・ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ」掲載の1998年(左側)は中間よりやや下の位置。オークションで落札された2004年は中間の位置(2)
アンリ・ジャイエ2000年は瓶詰めから20年以上を経ているのに、ワインの液面が高い。コルク底部にワインの染みが少ない。ドメーヌ名とヴィンテージを示す2000の文字が明瞭で、焼印ではなく印刷したように見える(3)
Yahoo!オークションで高値取り引きされる空き瓶が偽造ワインに使われる
ロマネ・コンティのラベルでは蛍光塗料が偽造防止に使われる

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