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オーストラリアのヴィクトリア州モーニントン半島を代表する「オーシャン・エイト」のワインメーカー、マイケル・アイルワード氏が、ブランド・アンバサダーのカビータ・フェイエラさんと共に来日し、大橋健一MWの解説付きのマスター・クラスを開いた。
モーニントン半島はメルボルンから南へ1時間のドライブ。西をポート・フィリップ湾、東をウェスタン・ポート、南西をバス海峡と、三方を海に囲まれた海洋性気候。半島北部アッパー・モーニントンは火山性の赤い粘土土壌が主体で、降雨量が多く、南部ロウワー・モーニントンは水はけのいい砂質土壌で、雨は少ない。栽培面積は1000ヘクタール。冷涼な気候を生かして、50%はピノ・ノワール、25%はシャルドネ、15%はピノ・グリで、残りはそのほかの品種を栽培する。
オーシャン・エイトはアイルワード家が2004年に設立した。1996年に創業して成功したクーヨンを、ポートフィリップ・エステートに売却し、職人的なワイン造りを目指した。マイケル・アイルワードはクーヨンのアシスタント・ワインメーカーをしていたが、売却後はブルゴーニュやアルザスを回って修業。ワインは短期間で高い評価を得た。「オーストラリアワインの重いイメージを変えたい。モーニントンのワインが世界のトップクラスに位置づけられるのが人生の目標だ」と言う。
豊かな粘土土壌のアッパー・モーニントンにピノ・グリを植え、砂質のロウワーにはピノ・ノワールとシャルを植える。生産量は6000ケース。「ピノ・グリ 2014」「ヴァーヴ・シャルドネ 2013」「ピノ・ノワール 2013」「アイルワード・リザーヴ・ピノ・ノワール 2012」を、同じ品種のワインと比較して試飲した。
オーシャン・エイトの「ピノ・グリ 2014」は、ストーニーなミネラル感と豊かな果実味、オイリーな質感があり、精妙なバランスがある。大橋MWは「オークバレルで熟成し、複雑性がある。オーストラリアのNo.1ピノグリだ。オリとの接触で中間が厚い。酸化と還元のど真ん中のバランス」とコメントした。同時に試飲したのは「テルラーノ ピノ・グリージョ 2014」と「ツィント・ウンブレヒト ピノ・グリ・リザーヴ 2012」。還元的なテルラーノ、残糖を含むウンブレヒトに比べると、オーシャン・エイトは、ニュートラルだった。
オーシャン・エイトの「ヴァーヴ・シャルドネ 2013」は白桃、レモンオイル、カキの殻、ノンマロでタイトなストラクチュア、還元的なスタイル。チョーキーな余韻が後を引く、シャブリ的なスタイルだ。「ブルゴーニュからインスパイアされた。シャブリやピュリニー・モンラッシェが私の好み。酸を重視して収穫を早めた」とアイルワード。同時に、「フレデリック・マニャン ムルソー・レ・ピュート・ヴィーニュ 2013」と「リッジ シャルドネ・エステート 2012」を試飲した。
大橋MWは「フルマロしたムルソーは、オーシャン・エイトより酸化的に感じる。リッジはアルコール度が高い。オーシャン・エイトはノンマロで、バタリーな性格がなく、マッチをすったような還元的なニュアンスとかすかにフェノールのタッチ。寿司を醤油で食べると、酸化的なブルゴーニュに合うが、オーシャン・エイトは塩をつけるとよくマッチする。オーシャン・エイトは低いPHで、野生酵母での発酵を維持する。補酸の必要もない」とコメントした。
「ピノ・ノワール 2013」はノンフィルターで、やや曇っている。湿った落ち葉の香り。繊細で、うまみがあり、香り高い。「アイルワード・リザーヴ・ピノ・ノワール 2012」は剪定によって収量を削減して造った世界でも珍しいリザーヴ。凝縮されていて、スパイシーで、一段と深みがある。同時に試飲したのは、「フレデリック・マニャン ジュブレ・シャンベルタンVV 2013」と「フェルトン・ロード ピノ・ノワール バノックバーン 2013」。マニャンは酸が強く、冷涼感があり、フェルトン・ロードはアルコール度が高く、リッチでパワフル。
アイルワードは「シャルドネとピノ・グリはどこでも安定感が得られるが、ピノ・ノワールはいい産地が限られる。薄い果皮からストラクチャーを造るのが挑戦だ。収量を下げるのが大切。ヴェレゾンの時期に房を落とすが、スタンダードのキュヴェで1本につき20から30房、リザーヴは10房程度。房が少ないほど、エネルギーが集中し、厚い果皮に育つ。除梗するので、スパイシーで、セイバリーな味わいはオリからくる。香りとスパイス感を大切にしている。500リットルのパンチョンで熟成する」と。
大橋MWは「オーシャン・エイトのスタンダードキュヴェはうまみがありながら、タンニンがしっかりとある。ジュブレ・シャンベルタンよりさらに冷涼感があり、テクスチャーがタイトで細い。除梗しているのに、ハーブのニュアンスがある。ブルゴーニュはグランクリュがトップにくるが、このリザーヴは収量の違いで造る点が珍しい。収量を減らすことの大切さがわかる。オーシャン・エイトが最も細いワインだったのは発見だった」とコメントした。
2016年1月27日 東京・青山のJプレゼンスアカデミーで
オーシャン・エイト ピノ・グリ 2014
89点
希望小売価格: 4500円
オーシャン・エイト ヴァーヴ・シャルドネ 2013
90点
希望小売価格: 5800円
オーシャン・エイト ピノ・ノワール 2013
89点
希望小売価格: 5800円
オーシャン・エイト アイルワード・リザーヴ ピノ・ノワール 2012
92点
希望小売価格: 1万円
輸入元:kpオーチャード
モーニントン半島はメルボルンから南へ1時間のドライブ。西をポート・フィリップ湾、東をウェスタン・ポート、南西をバス海峡と、三方を海に囲まれた海洋性気候。半島北部アッパー・モーニントンは火山性の赤い粘土土壌が主体で、降雨量が多く、南部ロウワー・モーニントンは水はけのいい砂質土壌で、雨は少ない。栽培面積は1000ヘクタール。冷涼な気候を生かして、50%はピノ・ノワール、25%はシャルドネ、15%はピノ・グリで、残りはそのほかの品種を栽培する。
オーシャン・エイトはアイルワード家が2004年に設立した。1996年に創業して成功したクーヨンを、ポートフィリップ・エステートに売却し、職人的なワイン造りを目指した。マイケル・アイルワードはクーヨンのアシスタント・ワインメーカーをしていたが、売却後はブルゴーニュやアルザスを回って修業。ワインは短期間で高い評価を得た。「オーストラリアワインの重いイメージを変えたい。モーニントンのワインが世界のトップクラスに位置づけられるのが人生の目標だ」と言う。
豊かな粘土土壌のアッパー・モーニントンにピノ・グリを植え、砂質のロウワーにはピノ・ノワールとシャルを植える。生産量は6000ケース。「ピノ・グリ 2014」「ヴァーヴ・シャルドネ 2013」「ピノ・ノワール 2013」「アイルワード・リザーヴ・ピノ・ノワール 2012」を、同じ品種のワインと比較して試飲した。
オーシャン・エイトの「ピノ・グリ 2014」は、ストーニーなミネラル感と豊かな果実味、オイリーな質感があり、精妙なバランスがある。大橋MWは「オークバレルで熟成し、複雑性がある。オーストラリアのNo.1ピノグリだ。オリとの接触で中間が厚い。酸化と還元のど真ん中のバランス」とコメントした。同時に試飲したのは「テルラーノ ピノ・グリージョ 2014」と「ツィント・ウンブレヒト ピノ・グリ・リザーヴ 2012」。還元的なテルラーノ、残糖を含むウンブレヒトに比べると、オーシャン・エイトは、ニュートラルだった。
オーシャン・エイトの「ヴァーヴ・シャルドネ 2013」は白桃、レモンオイル、カキの殻、ノンマロでタイトなストラクチュア、還元的なスタイル。チョーキーな余韻が後を引く、シャブリ的なスタイルだ。「ブルゴーニュからインスパイアされた。シャブリやピュリニー・モンラッシェが私の好み。酸を重視して収穫を早めた」とアイルワード。同時に、「フレデリック・マニャン ムルソー・レ・ピュート・ヴィーニュ 2013」と「リッジ シャルドネ・エステート 2012」を試飲した。
大橋MWは「フルマロしたムルソーは、オーシャン・エイトより酸化的に感じる。リッジはアルコール度が高い。オーシャン・エイトはノンマロで、バタリーな性格がなく、マッチをすったような還元的なニュアンスとかすかにフェノールのタッチ。寿司を醤油で食べると、酸化的なブルゴーニュに合うが、オーシャン・エイトは塩をつけるとよくマッチする。オーシャン・エイトは低いPHで、野生酵母での発酵を維持する。補酸の必要もない」とコメントした。
「ピノ・ノワール 2013」はノンフィルターで、やや曇っている。湿った落ち葉の香り。繊細で、うまみがあり、香り高い。「アイルワード・リザーヴ・ピノ・ノワール 2012」は剪定によって収量を削減して造った世界でも珍しいリザーヴ。凝縮されていて、スパイシーで、一段と深みがある。同時に試飲したのは、「フレデリック・マニャン ジュブレ・シャンベルタンVV 2013」と「フェルトン・ロード ピノ・ノワール バノックバーン 2013」。マニャンは酸が強く、冷涼感があり、フェルトン・ロードはアルコール度が高く、リッチでパワフル。
アイルワードは「シャルドネとピノ・グリはどこでも安定感が得られるが、ピノ・ノワールはいい産地が限られる。薄い果皮からストラクチャーを造るのが挑戦だ。収量を下げるのが大切。ヴェレゾンの時期に房を落とすが、スタンダードのキュヴェで1本につき20から30房、リザーヴは10房程度。房が少ないほど、エネルギーが集中し、厚い果皮に育つ。除梗するので、スパイシーで、セイバリーな味わいはオリからくる。香りとスパイス感を大切にしている。500リットルのパンチョンで熟成する」と。
大橋MWは「オーシャン・エイトのスタンダードキュヴェはうまみがありながら、タンニンがしっかりとある。ジュブレ・シャンベルタンよりさらに冷涼感があり、テクスチャーがタイトで細い。除梗しているのに、ハーブのニュアンスがある。ブルゴーニュはグランクリュがトップにくるが、このリザーヴは収量の違いで造る点が珍しい。収量を減らすことの大切さがわかる。オーシャン・エイトが最も細いワインだったのは発見だった」とコメントした。
2016年1月27日 東京・青山のJプレゼンスアカデミーで
オーシャン・エイト ピノ・グリ 2014
89点
希望小売価格: 4500円
オーシャン・エイト ヴァーヴ・シャルドネ 2013
90点
希望小売価格: 5800円
オーシャン・エイト ピノ・ノワール 2013
89点
希望小売価格: 5800円
オーシャン・エイト アイルワード・リザーヴ ピノ・ノワール 2012
92点
希望小売価格: 1万円
輸入元:kpオーチャード
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