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昨年10月にスペインのミシュラン2つ星レストランから160万ユーロ(約2億2500万円)もの高級ワイン45本が盗まれた「世紀の盗難」事件は、9か月におよぶ追跡の末、容疑者のカップルが19日、クロアチアで逮捕された。
この事件はスペイン西部エストレマドゥーラ州の城塞都市カセレス(Caceres)の2つ星レストラン「アトリオ」から、シャトー・ディケム1806、ロマネ・コンティ1990など約164万ユーロ相当のワイン45本が盗まれた。スペインのメディアで世紀の盗難と報じられた。
警察当局によると、犯行は用意周到で、カップルは事前にレストランを3回下見に訪れていた。昨年10月27日に、スイス国籍のパスポートを持つ女性がアトリオ・レストラン・ホテルにチェックインし、男性とディナーをした。カップルは多くの客と同様に地下のセラーを見学した。2人ともフレンドリーだったという。
女性はその後、キッチンが閉まった後に、レセプションに食事を注文してスタッフの気をそらした。部屋に運ばれているすきに、男性がマスターキーでセラーに侵入し、3つのバッグにワインを入れて運んだ。割れないようにボトルはホテルのタオルで包んでいた。
犯行は監視カメラに収録され、スペイン国家警察がTwitterで公開している。その動画はこちら
2人は翌朝5時半にホテルをこっそりと出て、数日後にスペインを出国した。警察当局はその後数か月間、ヨーロッパを旅行中の足取りを追っていた。スペイン、クロアチア、ルーマニアの当局がインターポールの強力を得て、クロアチアとモンテネグロの国境付近で逮捕した。スペインで裁かれる。
45本のうち38本がロマネ・コンティで、7本がシャトー・ディケム。イケム1806はロンドンのオークションで1万2000ユーロで落札し、レストランでは35万ユーロで供されていた。
アトリオの共同オーナー兼ソムリエのホセ・ポロは「犯人は我々の遺産の一部を盗んだ。苦労して築いた我々の歴史の一部を盗んだ」と声明を出した。
ワインの行方はまだわかっていない。イケム1806はきわめて有名で、ほかのワインにも番号がついている。このため、オークションなど合法的な市場で販売するのは困難と見られる。ただ、ブローカーが大量のコレクションにまぎれこませるなどの手法をとった場合、チェックをすり抜ける可能性がある。
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