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マイクロ・ネゴスのオリヴィエ・バーンスタイン、古木のグランクリュを買える理由

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 ブルゴーニュのグランクリュの畑は小さい。栽培農家の持ち分は少ない。にもかかわらず、マイクロ・ネゴシアンはブドウを手に入れる。ルシアン・ル・モワンヌ、フィリップ・パカレ、バンジャマン・ルルー、そして、オリヴィエ・バーンスタイン。
 どうやって、優れた畑のブドウを手に入れるのか?
 その謎が、オリヴィエと話しているうちに少し解けた。収穫前にプレミアムを乗せて支払って、樹齢の高い畑のブドウを確保してしまうのだ。農家とオリヴィエの間に契約はない。畑で握手しているだけ。ヒョウや病気で収穫が減ったら、売ってくれない危険がある。
 「我々は自ら耕作している。それが土壇場でブドウを売ってくれないとなると、1年間、畑の面倒を見てきた苦労が水の泡となる。だから、収穫前に支払って押さえてしまう。フェルマージュ(賃借)だと、支払いは普通、収穫後に3回に分けて行う。農家は先に現金が入る方がうれしい」

 それなら、フェルマージュやメタヤージュ(折半耕作)の契約を結べばいいではないか?それも難しいという。同席したBB&Rのジャスパー・モリスが説明する。
 「近年は土地の借主の権利が強い。契約が切れても、返還を拒んで訴訟になる例が多い。だから、畑の所有者は契約を結びたがらない。畑で握手の方がいい」
 実際、畑の返還でもめる話はよく聞く。
 そうしたすき間を縫って、オリヴィエが古木のグランクリュを手にできるのだ。クロ・ドヴージョなどいくつかの畑の場所を教えてもらったが、「だれにも言うなよ。ほかの人間にとられると困るから」と言われた。財力がないと無理だが、オリヴィエがとびきりのグランクリュを数樽だけ造れる理由が少しだけわかった。

 そんな裏話をしながら、シャルム・シャンベルタン2009を飲んだ。初めて3年目のヴィンテージ。赤みの強いルビー。ブルーとブラックベリーが層をなし、生き生きしていて厚みがある。きれいに抽出されたタンニンと心地よい酸。中間の質感が素晴らしく、まとわりつく余韻がきわめて長い。にもかかわらず、樽から飲んだ2014の正確さと繊細さには及ばない。2009は秀逸なヴィンテージだが、密度も足りない。オリヴィエの進化を改めて確認した瞬間でもあった。

 オリヴィエは英国と米国を重視している。フランスへの割り当ては後回し。だから、評論家ミシェル・ベタンヌもまだ試飲に訪れていない。アジアで大2015年オスピス・ド・ボーヌ、新記録達成切なのは日本とシンガポール。割り当てに余裕がある今がチャンスだ。

2015年11月6日 ボーヌのオリヴィエ・バーンスタインで

オリヴィエ・バーンスタイン シャルム・シャンベルタン 2009

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