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2021年の世界のワイン取り引きはパンデミックの反動で、数量・金額ともに過去最高を記録し、消費も部分的に回復した。だが、世界的なサプライチェーンの危機、エネルギー価格の高騰、ロシア・ウクライナの戦争など不安定な要因が多く、2022年の先行きは不透明になっている。
OIV(世界ブドウ・ワイン機構)の4月27日の発表によると、2021年の世界のワイン輸出量は2020年比で4%増えて、1億1600万hlと史上最大を記録した。輸出額は16%増の343億ユーロに達した。パンデミック後の結婚式やイベントなどで、スパークリングワインが好調だった。
世界のワイン消費量は2億6000万hlと推定され、前年比で0.7%増加した。パンデミックは終わらなかったものの、ロックダウンに対処できる電子商取引などのソリューションに助けられた。
国別消費量をみると、トップはあい変わらず米国で3310万hlだった。米国は輸入量で2位、輸入額で1位のワイン輸入大国。EU産ワインに対する関税が撤廃され、ボルドー、シャンパーニュ、ブルゴーニュの輸入が持ち直した。高価格、高品質なワインが好まれる世界的な傾向を象徴している。
2520万hlのフランス、2420万hlのイタリアに続いて、4位はドイツ(1980万hl)、5位は英国(1340万hl)。7位の中国は減少を続けており1050万hlだった。新型コロナウイルス関連の規制を受けて前年比15%の減少となった。
日本人1人当たりのワイン消費量は4本
1人当たりのワイン消費量は国別消費量とは異なる様相を呈している。トップはポルトガルの51.9L、2位はフランスの46.9L、3位はイタリアの46Lの順で、スイス(35.3L)、オーストリア(30.6L)と続く。
日本は3Lで、750mlボトル4本に相当する。これはロシアの8.8Lに次ぐ世界で21位。横ばい傾向となっている。
2021年の世界のワイン生産量は、上位生産国のイタリアとフランスが霜害や病害で深刻なダメージを受けて、過去30年間で最低となる可能性が予想されたが、結果的には2020年を1%下回る2億6000万hlに落ち着いた。世界のワイン生産量はイタリア(19.3%)、フランス(14.5%)、スペイン(13.6%)の3か国でほぼ半分(計47.4%)を占めている
ロシア・ウクライナ戦争の重圧
一方で、パンデミック期に起きたサプライチェーンの停滞、エネルギーコストの上昇などは、ウクライナ侵攻によってその重圧が高まっている。OIVのパウ・ロカ事務局長は記者会見で、ガラス瓶、段ボール、木材、半導体などの品不足を指摘した。
ロシアとEUの貿易が途絶える懸念もある。ロシアは2021年に世界の輸入量の2%を占める第10位のワイン輸入国で、販売額では第8位のワイン市場である。
2022年は困難な要因に対するワイン産業の対応が求められ、消費者への圧力もさらに増大することが予想される。日本でも輸送コストの増加に円安が加わり、値上がりと品不足が起きるのは間違いない。新型コロナウイルスの制限から開放されても、愛好家には厳しい1年となりそうだ。
OIVはブドウ樹、ワイン、ワイン系飲料、食用ブドウなどのブドウ製品に関する業務を行う科学的・技術的な能力を有する政府間機関。47加盟国から構成されている。
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