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ドン・ペリニヨン2004、鉄人・森本の「ハマチ・タコス」と不思議な相性

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 カリフォルニア・ナパのダウンタウンにある「Morimoto NAPA」は、いつも満員だ。1晩で3回転し、1日に1600食が出る。森本正治シェフは米国で最も有名な日本人シェフだ。日本の「料理の鉄人」で、三代目の日本食鉄人を務め、米国の料理番組「アイアン・シェフ・アメリカ」でスターとなり、米国内外に6店を展開し、7月にはタイに出店する。

 和食とアメリカ料理をつないだフュージョン料理は、型破りのスパイス使いや素材の合わせが満載。ハマチにワカモレミックス、パクチーを加えてタコスの皮で包みライムを搾る「ハマチタコス」。ピザ生地にマグロ赤身を盛り、アンチョビやハラペーニョを加えた「ツナ・ピザ」。大ぶりのカニに豆板醤のアイオリ、コリアンダー、青いマンゴーをまぶした「スパイシー・アラスカン・キング」。伝統和食の料理人には思いもつかない料理の数々は、驚きに満ちている。


 森本シェフは「日本は出る杭は打たれる。いろいろ言う人もいるが、出過ぎた杭を打てるものなら打ってみろという気持ちでやってます」と潔い。米国の厳しい食業界を勝ち抜いてきただけあって、鋭いビジネスセンスとグローバルなものの見方を備えている。

 ここはワインと日本酒の売り上げが半々。飲み物も戦略的だ。「ワインリストはスパークリング以外はナパに限り、カルトからデイリーまで広くそろえている。Sakeバーには日本の産地地図を貼り、地元の塩を添えて枡で提供する。焼酎や酎ハイもそろえている」とビバレッジ・ディレクターのエドワルド・ディングラー。「アルガブランカ ブリリャンテ」(200ドル)も載せたリストは通受けする。Sake選びのコンサルタントは日本酒ライターのジョン・ゴントナー。遊び心あふれるようで、プロの目配りがそこかしこにうかがえる。


 江戸(エドワルド)のオススメは、シャンパーニュとハマチタコス。ドン・ペリニヨン2004と合わせた。おそるおそるだったが、フレッシュなライムの香りは、還元的なドン・ペリニヨンのジリジリと続く酸、柑橘系果実の香りと悪くなかった。ハマチタコスのパクチーはスパイシーだが、辛いわけではなく、シャンパーニュのセージの香りと調和する。果実が後半に持ちあがるのを助けた。ベストマッチではないが、不思議なペアリングだった。


 ホット&スパイシーなアラスカの極太のカニには、「ハドソン・ヴィンヤード アレアティコ ナパヴァレー 2014」を勧められた。ハドソンはカーネロスの王者と呼ばれる栽培農家。コングスガードやキスラーへのブドウ供給で知られる。トスカーナの黒ブドウを白ワインに仕上げたこのユニークなワインは、スパイシーさと柑橘の香り、フレッシュな酸が入り混じる個性的な味わい。フェノリックなタッチと清涼感のある酸が、辛い味わいを和らげるのに役立った。

 食のワンダーランドのようなレストランだが、飲み物リストやサービスに見習う点も多い。ヒスパニック系の給仕人も、細かくワインの温度に気を配っていた。チップが動機付けになるから、ツボを押さえている。資格は問題ではない。アメリカの食産業は奥が深い。

2016年2月21日 カリフォルニア・ナパの「Morimoto NAPA」で
シャンパーニュ ドン・ペリニヨン 2004
94点
390ドル:ボトルで
ハドソン・ヴィンヤーズ アレアティコ ナパヴァレー 2014
87点
20ドル:グラスで
森本正治氏と担当の岡野成隼シェフ(右)

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