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シャンパーニュの代替品、南アのコルマンのブリュット・シャルドネ

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 シャンパーニュは逆説的なワインだ。ブドウの糖度が上がらず、酸が強いという状況を逆手にとって、磨きをかけてきた。スティルワインと違って、技術的な蓄積がいる。パリの試飲会で、樹齢数年の完熟したナパヴァレーの赤ワインが、ボルドーを破ったようには、簡単にいかない。
 南アフリカの冷涼な産地では、ブルゴーニュ品種が成功している。スパークリングワインも成功しても不思議はない。代表格はグラハム・ベックで、そこに続く生産者が出ている。

 コルマンは風土と設備は恵まれている。「メソッド・キャップ・クラシック ブリュット・シャルドネ」は、ステレンボッシュ東部のフランシュック・ヴァレーのブドウを主に使っている。エッジのたった酸が強烈で、清涼感がある。ドザージュは少ない。リットル当たり5グラム前後だろう。青リンゴ、ライムの皮、ビスケットにかすかにミネラルのタッチ。果実はピュアで、混じりけがなく、泡は継ぎ目がない。適度な重さがあるが、中間から余韻にかけての複雑性がやや乏しい。
 小容量のタンクで区画別に発酵し、15%は樽熟成している。熟成期間は45か月間。グラハム・ベックとシャンパーニュからの醸造家が、コンサルタントを務める。ベルギーのオーナー、ジャン・フィリップ・コルマンは、人にも設備にも投資している。それでいて、シャンパーニュに追いつかないのは、2005年に設立された歴史の若さゆえだろう。蓄積が足りないのだ。

 メソッド・キャップ・クラシックは、他国で言うメソッド・トラディショネルのこと。南アでキャップ・クラシック連盟が設立されたのは1992年。歴史は浅い。この国スパークリングの主流はまだシャルマー方式だが、可能性はある。コルマンも区画やヴィンテージの違いを生かしたブレンド、ドザージュ、デゴルジュマン後の熟成などの細部を詰めれば、まだよくなるだろう。
 スパークリングの大切な要素である軽やかさ、フレッシュ感、快活さを備えているのはいい。品質は、上位のクレマンン・ド・ブルゴーニュをしのぎ、下手な協同組合のシャンパーニュは上回る。シャンパーニュの代替品となりうる1本だ。

2016年2月23日 自宅で
コルマン メソッド・キャップ・クラシック ブリュット・シャルドネ
88点
参考上代:4500円
輸入元:ラフィネ

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