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地図を見れば想像できるが、ニュージーランドのワインは多様性にあふれている。セントラル・オタゴを除いて、どの産地も海洋性気候の影響を受けているが、微気象、地勢、土壌などの違いで、歴史も主要品種も異なる。
18のGIをまず理解しよう
全体像を把握するには、2017年に法的に保護された地理的表示(GI)を理解しておくといい。18の産地が知的財産として保護された。消費者に安心感を与えると同時に、輸出市場で他国の生産者が勝手に産地を名乗るワインを販売するのを防げる。GIを名乗るには少なくとも85%のブドウを使っている必要がある。
認定された18産地は北から以下の通り
・Northland
・Auckland
・Matakana
・Kumeu
・Waiheke Island
・Gisborne
・Hawke’s Bay
・Central Hawke’s Bay
・Wairarapa
・Gladstone
・Martinborough
・Nelson
・Marlborough
・Canterbury
・North Canterbury
・Waipara Valley
・Waitaki Valley North Otago
・Central Otago
コミュニティの絆が強い
お買い得の見つかるネルソン
すべての場所が思い浮かべばかなりの専門家だが、どの産地にも特色がある。南島の北端に位置し、ソーヴィニヨン・ブランで知られる最大の産地マールボロに近接していながら、あまり知られず、優れたワインが見つかるスポットがネルソンだ。
実は歴史は長い。18世紀なかばにドイツ人が定着して、初めてブドウを植えた。現代的なワイン造りは1970年代に始まった。芸術とカフェの文化が根づいた歴史を感じさせる産地だ。栽培面積は1102ha。2万7800haのマールボロとは比べようもない小さな産地だ。
ブティック・ワイナリーが寄せ集まり、こじんまりしたセラードアを訪ねるのも楽しい。人間よりも放牧された羊の方が目に入る。日照が強く、海風が強い。三方を山に囲まれている。
新世界にはよくあるのだが、ワイン産地のコミュニティは強い絆で結ばれている。ゼロから開拓するから、住民同士の協力が欠かせない。収穫期にトラクターを貸し合ったり、醸造用の機器を貸し合ったりするのは日常茶飯事だ。
世界最大のワイン検索サイト、ワイン・サーチャーで、ホープ・ヴィンヤードのピノ・ノワールが2019年の「世界で最もお買い得なピノ・ノワール」に選ばれたグリーンホフも、地域のベテランからワイン造りを教わって成長してきた。
レストランとマーケティングをしていたアンドリューとジェニーのグリーンホフ夫妻が、オークランドからこの田舎に引っ越してきて、2008年にオーガニック栽培を導入。ビオ・グロの認証を取得している。
ピノ・ノワールのほかに、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリングなど5品種を栽培している。
ピノ・ノワールは全房発酵を導入し、シルキーで、ジューシー。沖積土壌のホープ・ヴィンヤードから造られるソーヴィニヨン・ブランはグラッシーでフレッシュ。オフドライのリースリングもうまみと塩味を帯びている。マールボロよりお買い得感が強い。
ほかにも、ネルソンで見逃せないのは、パイオニアのノイドルフだ。ここもオーガニック栽培で、樹齢35年以上のシャルドネから造るムーテリーはニュージーランドのトップを行く。コント・ラフォンのムルソーを思い出させるフレッシュ感とクリーミィなテクスチャーを有する。
多才な産地を探索するのもニュージーランドの楽しさだ。
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