世界の最新ワインニュースと試飲レポート

MENU

  1. トップ
  2. 記事一覧
  3. リースのサンタ・クルーズの山ピノ、畑の違いを明確に表現

リースのサンタ・クルーズの山ピノ、畑の違いを明確に表現

  • FREE
 カリフォルニアの生産者と一緒に、畑を歩く機会は少ない。畑が各地に点在していて、栽培農家からブドウを購入するのが普通だからだ。リースのワイナリーの敷地内にあるスカイライン・ヴィンヤードを、ワインメーカーのジェフ・ブリンクマンと歩いて驚いた。ブルゴーニュ並みの密植度なのだ。ヘクタール当たり1万7000本。いや、並みのブルゴーニュよりも多い。

 「ユベール・ラミーのハイ・デンシティの畑みたいだ。ここと同じような斜面に2万本だから」
 「あそこはすごいな。手入れも大変だろう」とジェフ。当主のオリヴィエとよく相談しているそうだ。

 スカイラインの畑は表土が薄い。石灰岩がむき出しになった場所もある。下層土はシェールと砂岩が主体。半分は灌漑していない。密植とドライ・ファーミングによって、根は水を求めて地中深くに伸びる。それによって茎が乾燥するから、青さが出ず、全房発酵が可能なのだという。
 そのスカイライン・ヴィンヤードのピノ・ノワール2013は最初、全房100%とは思えなかった。ブラックベリー、焦がした肉、スモーク。ややタニックなのが畑の特色だが、シルキーで、バランスがいい。ニュイ・サン・ジョルジュ・ブドーを連想した。ヴォーヌ・ロマネ寄りの官能的だが、やや男性的な性格と似ている。アルコール度は12.6%。低いが、完熟している。それはサンタ・クルーズ・マウンテンの特色だという。

 斜面の畑で、樹勢が弱い。水不足によって、小粒の実をつける。標高は700メートル以上。カリフォルニアで最も標高の高いピノ・ノワールの畑だ。フォグラインの上にあることで、日照は十分に足りる。サンタ・クルーズの問題は冷涼さではなく、むしろ開花時期の霧で結実不良が多いことだそうだ。エイカー(0.4ヘクタール)当たりの収量が1から2トンと少ないヴィンテージもあるという。自然の力がもたらす低収量が、抽出によらない凝縮度を生んでいる。

 リースには単一畑を名乗るピノ・ノワールが6つある。アンダーソン・ヴァレーのベアワロー・ヴィンヤード以外は、サンタ・クルーズ・マウンテンに計5つ。ワイナリー周囲に広がるスカイライン、西の太平洋側に伸びるアルパインとホースシューとファミリー・ファーム、北米プレート側のホーム。アルパインには、小区画から生まれるスワンテラスというキュヴェもある。
 ベアワローの2013は、アンダーソン・ヴァレー特有のヨード、塩っぽさ、砕いた貝殻の香り。スカイラインより女性的で、シャンボル・ミュジニーを連想させる。質感がなめらかで、繊細さにあふれている。
 ファミリー・ファームは標高が低いため、サン・マテオ・カウンティを名乗る。こちらは男性的。濃密で、力強く、スパイシー。タバコや燻した木の香り。おおらかで、ゆったりしているのは、粘土が豊かで、表土が厚いせいだろう。コルトンを連想した。
 どの畑にも明確な個性がある。それを正確に引き出している。ブルゴーニュ的だ。アルコールどはいずれも13%前後。それでもきちんと熟している。山カベならぬ山ピノの独特のスタイルだ。

2015年12月7日 カリフォルニア・サンタ・クルーズ・マウンテンのリースで
リース ピノ・ノワール ファミリー・ファーム・ヴィンヤード サン・マテオ・カウンティ 2013
92点
リース ピノ・ノワール ベアワロー・ヴィンヤード アンダーソン・ヴァレー 2013
希望小売価格2万円
93点
リース ピノ・ノワール スカイライン・ヴィンヤード サンタ・クルーズ・マウンテン 2013
94点

輸入元:中川ワイン 

購読申込のご案内はこちら

会員登録(有料)されると会員様だけの記事が購読ができます。
世界の旬なワイン情報が集まっているので情報収集の時間も短縮できます!

Enjoy Wine Report!! 詳しくはこちら

TOP