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ワイン・アドヴォケイト前編集長、リサ・ペロティ・ブラウンMWが「ザ・ワイン・インディペンデント」創設

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 ロバート・パーカー・ワイン・アドヴォケイトから独立した前編集長のリサ・ペロティ・ブラウンMWが、倫理性と公平性を重視した消費者のためのワインレビューサイト「ザ・ワイン・インディペンデント」(The Wine Independent)の創刊を発表した。


 新ウェブサイトは、13年間在籍したワイン・アドヴォケイトを昨年末に去ったリサ・ペロティ・ブラウンMWと、スウェーデンの写真家ヨハン・ベルグルンドが共同で創設した。


 気候変動によってアルコール度が上がり、世界各地のワインのスタイルが多様化している。その状況を踏まえて、消費者が自分の味覚や哲学にあうワインを見つけられるように、幅広いフィルターを盛り込んだ「画期的な検索機能」を導入するという。


ボディとアルコールのフィルター設ける


 ペロティ・ブラウンMWはドリンクス・ビジネスの編集長パトリック・シュミットMWの取材に対して、「ボディとアルコールのフィルターを設けるべきと感じている。ライトボディや低いアルコールを持つワインを探す消費者にとってますます重要になっているから」とコメントしている。


 また、超高価なワインだけでなく、「新しい発見や素晴らしい価値のあるワイン」も取り上げる。「パーカーは偉大な発見で名をはせて、その後価格が上昇した。すべての高級ワインの指標を見るだけでなく、新しいものに光をあて、偉大で新しいレーダーに引っかかっていない人々を明るみに出す」と述べた。


 レビューのタイムリーさも重視し、「需要の高いワインや供給不足のワインが市場に出る時は、読者が十分な情報を得て決断できるよう、すべての事実とアドバイスを提供する」という。


 そこに、1999年にスウェーデンのフォトグラファー・オブ・ザ・イヤーを受賞したベルグルンドの物語性のある写真が盛り込まれる。


ワインレビューの裏でお金が動く現実
パーカーの高い倫理性への回帰


 新サイト設立の動機は、ワインレビューの裏側でお金が動いている利益相反に対する批判だ。ロバート・パーカーが1978年に広告をとらず、自費でワイナリーを訪問し、資金提供を受けない高い倫理性で、ワイン・アドヴォケイトを始めた原点への回帰である。それが消費者の信頼回復につながると信じている。

 

 ペロティ・ブラウンMWは「偽りのないワイン批評は、高級ワインの世界を探索する愛好家にとって重要。ワイン批評の出版物はほかのワイン関連団体から金銭を受け取ってはならない」とプレス・リリースで述べている。


 Vitisphereの取材に対して、彼女が明るみにしたいくつかの例は、ワインレビューの”収益化”が従来の単純な広告ではなく、読者の目に見えない裏側で巧妙に行われていることを示している。


 「ワインの試飲を有料にしている出版社があるのは知っている。ワイナリーから(イベントの)多額の参加費を取っているところもある。流通業者が秘密の超高額の定期購読を申し込めば、試飲ノートを事前に見せるものさえある」


 ワイン・アドヴォケイトは2019年11月にミシュランに100%買収されて、商業色を帯びたイベントが増えている。それが今回の立ち上げに影響したかどうか、彼女は語っていない。


 ワイン・インディペンデントは、ワイン業界と利害関係のないスウェーデンの少数の投資家が出資し、2人がメインの株主となる。購読料でまかなわれる。暫定サイトが立ち上がり、5月に本格オープンする。


”パーカー・スクール”優等生のマスター・オブ・ワイン


 ワイン・アドヴォケイトで働いた多くの評論家が独立して、影響力を放っている。


 ビジネス感覚に長けたVinous創業者のアントニロ・ガッローニ、彼の下でボルドーとブルゴーニュをカバーするニール・マーテイン、パーカーと同じくローヌに情熱の深いジェブ・ダナックら、多くの才能を輩出した。ロバート・パーカーはまさにワイン界のゴッドファーザーと呼んでいい。


 ペロティ・ブラウンMWからかつて「パーカーの高い倫理観と勤勉な仕事ぶり」を称賛する話を聞いたことがある。”パーカー・スクール”の優等生だが、だれもが羨ましがる立場を捨てて、自身のプロジェクトを始めたのは、商業化の進むワイン産業への反発だろう。彼女にはパーカー直系のDNAを受け継いだ志の高さがある。

 

 同時に、マスター・オブ・ワインとして、ワイン産業の構造やワイン造りの科学も把握している。並外れたテイスターであり、最新のワインを常にいち早く試飲してきた。市場を見る視野の広さは、ジャンシス・ロビンソンを核とする英国のジャーナリストや評論家をしのいでいる部分もあるとも言える。サイトの始動が楽しみだ。

リサ・ペロティ・ブラウンMW

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