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新世代アルノー・ロバーツ、ルーロを連想させるシャルドネ

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 カリフォルニアの新世代に、マイナー品種にトライする動きがある。リボッラ・ジャッラ、ガメイ、トゥルソーなど16品種を手掛けるアルノー・ロバーツもその一つだ。「偉大なワインはどんな品種からも生まれる。畑を探し、カリフォルニアの可能性を探るのが楽しい」と言う。

 ケイマスやコングスガードで修業したダンカン・アルノーと、樽職人のネイサン・ロバーツがタッグを組んで始めた。ネイサンの祖母はロバート・モンダヴィ未亡人のマルグリット。父は樽職人で、母はモンダヴィのエグゼクティヴシェフだった。雰囲気のあるラベルはマルグリットの作品。だが、ネイサンは宣伝嫌いで、家系について多くを語らない。解散したREMのマイケル・スタイプに似たナイスガイだ。

 ヒールズバーグのカスタム・クラッシュでの試飲は、王道ワイン中心だったが興味深かった。新発見は「ガメイ・ノワール2013」。ラベルに「RPM」とある。「ロバーツ・パー・マイルズ」の略。ネイサンとラジャ・パーとダンカン・マイルズ(アルノー)を意味する。ダンカンの父がアルノー家に養子に入ったため、「アルノー」がワイナリー名になっているが、本来の名前は「ダンカン・マイルズ」なのだという。

 スミレ、ラズベリー、生き生きした酸とミネラルに縁どられた骨組み。ボージョレ・モルゴンの自然派に通じる透明感とピュアな果実が詰まっている。内陸部シェラ・フットヒルズのエル・ドラド郡の山岳部に花崗岩土壌を探し当て、2011年から造っている。5日間のカルボニック・マセラシオンを行い、500リットルの中古フードルで熟成した。プライベート・セラーにはマルセル・ラピエールやジャン・フォワヤールがあり、ニヤリとさせられた。
 最も大衆受けするのは、「シャルドネ ワトソン・ランチ ナパヴァレー」だろう。2014は緑がかった黄色、レモンの皮、セージ、砕いた小石、ブライトな酸があり、質感はまろやか。極めて正確。いつもルーロのムルソーを連想させられる。ドライ・ファーミングする石灰岩と粘土の土壌から。自然酵母でステンレスタンクで発酵。澱引きは樽に移す時の一度だけ。バトナージュはしない。マロは熟成の樽内で。「最も重要なのは酸」とネイサン。「フレンチ・ランドリー」のハウスワインに採用された。ヨーロピアン・パレットの客も多い3つ星なら受けるだろう。

 「ピノ・ノワール レガン・ヴィンヤード サンタ・クルーズ・マウンテン 2014」は、精妙さとミネラル感にあふれる。ラズベリー、オレンジ、ミント、スパイシーなタッチ。果実の集中感と酸のバランス感がいい。標高400メートル前後の南部の畑から。マウント・エデン・クローンを100%全房発酵で仕込む。「2014は霧が多くてミルデューが発生し、選別を厳しくした。これは4樽のみ」。サンタ・クルーズ・マウンテンは可能性に満ちているが、ブルゴーニュと同じくリスクも大きい。

 シラーは「ソノマ・コースト 2014」と「ケ・シラー・ヴィンヤード ソノマ・コースト 2013」の2つ。5つの畑をブレンドした「ソノマ・コースト」はソリッドで、スパイシー。全房発酵100%の長期熟成タイプ。果実と茎のニュアンスが統合されるのに時間がかかるだろう。「ケ・シラー・ヴィンヤード」はスモーク、ベーコン、なめし革タイトな構造で、酸が高いが、果実のポテンシャルはある。太平洋から3キロで、標高300メートルの涼しい畑。PHは3.1と低かった。シラーは酸化防止剤以外は何も添加しない。パンチダウンはせず、ポンプオーヴァーのみ。抽出は優しい。いずれも冷涼な気候のシラーの特色がよく表れている。

 シラーはややマニア向けだが、シャルドネとピノ・ノワールの抑制された味わいは興奮させられる。カーヴにはシャンパーニュのジェローム・プレヴォー、ジョルジュ・ラヴァル、ド・ヴォギュエ、コシュ・デリ、ティエリー・アルマンらの空き瓶があった。そういうテイストを好む造り手だ。

2015年12月8日 カリフォルニア・ソノマ郡ヒールズバーグのカスタム・クラッシュで

RPMワインズ ガメイ・ノワール エル・ドラド 2013
90点
アルノー・ロバーツ シャルドネ ワトソン・ランチ ソノマ・コースト 2014
94点
アルノー・ロバーツ ピノ・ノワール レガン・ヴィンヤード サンタ・クルーズ・マウンテン 2014
94点
アルノー・ロバーツ シラー ソノマ・コースト 2014
88点
アルノー・ロバーツ シラー ケ・シラー・ヴィンヤード ソノマ・コースト 2013
90点
輸入元:ワイン・イン・スタイル

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