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スワートランドのトップレンジ、マリヌーのシラーとシュナンブラン

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 南アフリカのウォーカー湾のブルゴーニュ品種は注目の的だが、スワートランドも忘れてはいけない。イーベン・サディという偉大な先駆者に続く生産者が登場している。マリヌーもその一つだ。自然な醸造や栽培に取り組む団体「スワートランド・インディペンデント」(SIP)のメンバーでもある。

 クリス&アンドレア・マリヌー夫妻は2007年にワイナリーを設立し、短期間で世界的な評価を得た。ティム・アトキンMWが発表した「2015ケープ・クラシフィシケーション」では、12生産者しかない1級に入った。南アのワインガイド「プラッターズ」で、2014年のワイナリー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。テロワール別に仕込んだ単一畑キュヴェも素晴らしいが、土壌の異なる畑をブレンドしたベーシックなキュヴェでも、ここのポテンシャルは十分に伝わってくる。

 「スワートランド ホワイト・ブレンド オールド・ヴァイン2013」はシュナン・ブラン80%、クレレット・ブラン13%、ヴィオニエ7%。シェール、シスト、花崗岩の多彩な土壌の5つの畑をブレンド。全房圧搾し、自然酵母で樽発酵。2000リットルの新樽フードルと3、4年目のフレンチバレルで11か月間、熟成する。カリン、黄桃の皮、ハチミツの香り、酸は生き生きとしていて、トロリとした口当たり、ほのかな甘みがあり、余韻には白コショーのヒント。3品種の備えるフレッシュ感、オイリーな質感、香り高さが絶妙にバランスしている。冷涼産地と温暖産地の品種のブレンドに成功した、発展途上中の南アらしい均整のとれたワイン。

 「スワートランド シラー 2012」は、ティエリー・アルマンを連想させる意欲作。7つの畑をブレンドし、50%の全房発酵による複雑性とフレッシュ感がある。計15%の新樽を含むフレンチオーク、500リットル、2000リットルのフードルで14か月間の熟成。ブラックベリー、甘草にシソと中華系スパイスが混じり、金属的なタッチ。シルキーなタンニンは生き生きとした酸と統合され、石を砕いたようなミネラル感が余韻に残る。テクスチャーはスムーズで、新旧世界の別を超えたバランスの良さがある。
 このシラーは3つの土壌タイプのワインをブレンドして作り上げたもの。土壌別のキュヴェは「アイアン」「シスト」「グラニット」に分かれていて、興味深いが、残念ながら日本ではほとんど手に入らない。土壌別に上級キュヴェを仕込んでいるのは白ワインも同じ。ここの甘口ストローワインの高品質もよく知られている。探索し甲斐がある。
 歴史は浅いが、複雑な土壌を持つ南アフリカの多様性の表現に挑戦する生産者。実売4000円以下という価格を考えれば、飲まずにいるのはもったいない。英米では既にブレイクしている。

2016年3月20日 自宅で

マリヌー&リーウ・ファミリー・ワインズ スワートランド ホワイト・ブレンド オールド・ヴァイン 2013
92点
価格:3890円
マリヌー&リーウ・ファミリー・ワインズ スワートランド シラー2012
90点
価格:4220円
輸入元:ベリー・ブラザーズ&ラッド


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