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フランスの2020年のブドウ畑の取引件数は、新型コロナウイルスの影響で落ち込み、価格の伸びが鈍化した。高価な畑のシャンパーニュでは、ボトル出荷量の減少を受けて地価が下落した。
フランスの農地取引を監督する「SAFER」(農村土地整備公社)の発表によると、2020年の取引件数は8190件で、2019年より10.9%減となり、金融危機の影響を受けた2009年を下回る約30年ぶりの低水準となった。計1万4600haが8億6100万ユーロで売却された。
農家の畑の購入量の激減や延期が見られ、SAFERはパンデミックや米国の関税が取引にブレーキをかけたと見ている。
ただ、価格の上昇傾向は鈍化したものの、止まっていない。PDOのブドウ畑のヘクタール当たり平均価格は2019年の14万8100ユーロより1.3%上がって、15万500ユーロとなった。ただ、アルザス東部は14.1%下落し、ロワール中央部は9.7%上昇するなど、産地によって傾向は異なる。
ボルドー・アキテーヌ、ブルゴーニュ・ボージョレ・サヴォワ・ジュラ地方などは上昇傾向が激しい。シャンパーニュ、アルザス東部、ラングドック・ルーション、南西部は下落傾向にある。
SAFERはPDOの価格上昇は、裕福な実業家が投資する名声の高いアペラシオンがもたらしていると見ている。ボルドーで行われた8件のシャトー売却が取引額の72%を占めている。
シャンパーニュの取引価格は1.2%下落
一方、2020年の世界向け出荷量が18%減少したシャンパーニュ地方のブドウ畑の平均価格は、ヘクタール当たり110万2000ユーロで、既に減少傾向にあった2019年より1.2%下落した。取引件数は前年比10.3%減の730件となり、面積は24.9%減って150haとなった。
3万4000haの栽培面積の9割を小規模の栽培農家が所有するシャンパーニュでは、ブドウの売却価格はキロ当たり6ユーロを超えている。1本のシャンパーニュには1-1.2キロが必要。農家はそもそも”金の卵を産む”畑を手放すことはめったにない。高い原料に熟成期間やパッケージ代が加わるから、シャンパーニュはどうしても高くなる。
全体の66%を占め、モンターニュ・ド・ランス、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ、コート・デ・ブラン地区を含むマルヌ県の平均取引価格は120万ユーロ/haで1%下落した。メゾンの欲するグランクリュやプルミエクリュの畑の価格は堅調だが、コトー・シュッド・エペルネやヴァレ・ド・ラ・マルヌの取り引きは落ち込んでいる。
モンターニュ・ド・ランスとグランド・ヴァレ・ド・ラ・マルヌの平均価格は115万2000ユーロ/haで7%上昇し、コート・デ・ブランは3%下落したものの、163万5000ユーロ/haの高値を保っている。ブラン・ド・ブランの高値の理由の1つは、コート・デ・ブランのシャルドネの価格が高いからだ。
南部オーブ県の平均取引価格は3%下落の92万7500ユーロ/ha。マルヌ県とはやはり価格差がある。メゾンがオーブのブドウをブレンドする例は増えているが、投資する意欲は減退したようだ。
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